自殺教唆疑いの占い師 “コロナ不況で仕事取れず” 遺書偽造か NHK 2025年3月12日 19時15分
5年前、和歌山県内の海岸で死亡した信者の男性2人に自殺をそそのかしたとして、占い師として活動していた62歳の容疑者らが逮捕された事件で、容疑者が当時、男性の名前で「コロナ不況で仕事が取れなくなった」などという内容の遺書を偽造していた疑いがあることが警察への取材で分かりました。
5年前の2020年8月、和歌山県広川町の海岸で60代の元会社社長と、50代のアルバイトの男性が死亡しているのが見つかり、警察は2人に「命を捨てて悪いものを取り除く」などと伝えて自殺をそそのかしたとして、占い師として活動していた大阪 河内長野市の濱田淑恵 容疑者(62)ら2人を自殺教唆の疑いで逮捕しました。
このうち濱田容疑者が元社長の名前で、「コロナ不況で仕事が取れなくなり、私の夢は打ち砕かれた」という内容の遺書を偽造した疑いがあることが警察への取材で分かりました。
遺書には死後の手続きなどを別の信者に一任するとも書かれていて、容疑者は逮捕前の調べに対し、「自分たちの関与をカモフラージュするために偽造した」と話していたということです。
亡くなった男性2人は2008年ごろから信者となり、献金などを行っていたということで、警察が詳しいいきさつを調べています。
容疑者らの逮捕後の認否については明らかにしていません。
“占い師”の活動実態は
警察によりますと、濱田淑恵容疑者は遅くとも10数年前から占い師として活動を始め、「スピリチュアルカウンセリング」という名目でホームページなどを通じて相談者を募っていました。
そのうえで、面接や電話で悩みの相談に応じていたといいます。
数人の信者がいて、活動を通じてみずからを「創造主」と信じ込ませ、精神的に支配していたとみられるということです。
今回の事件に先立って、濱田容疑者はことし1月、女の信者2人とともに別の男性に対する恐喝の疑いで逮捕されました。
容疑者はその後起訴され、起訴状などによりますと、「お前と両親の全財産をいったんささげろ」などと男性に要求し、合わせておよそ8000万円を脅し取った罪に問われています。
警察は濱田容疑者が女の信者2人を精神的に支配し、恐喝などに加担させていた疑いがあるとみています。
女の信者2人のうち、東京 中野区の無職、滝谷奈織容疑者(59)は今回の事件で元社長など2人に自殺をそそのかした疑いで、大阪 河内長野市の無職、寺崎佐和子容疑者(47)は濱田容疑者とともに遺書を偽造した疑いで11日逮捕されました。
警察によりますと、死亡した元社長とアルバイトの男性の2人はいずれも2008年の夏ごろ、容疑者のホームページを見たことがきっかけで信者になったとみられています。
その後、元社長はみずからの給料や両親の不動産を売却して得た資金などを容疑者に献金し、アルバイトの男性はかつて住んでいた神戸市から濱田容疑者が住む大阪 河内長野市に移住したうえ、献金を行っていたということです。
今回の事件は、恐喝の被害に遭った男性が警察に対し、2人の死亡についても話したことがきっかけで発覚したということですが、この男性は「濱田容疑者から『あいつらは死んだ。お前も覚悟しておけよ。どうなるか分からないからな』と言われた。次は自分かと不安がよぎり、その後、金を脅し取られた」と話していたということです。
専門家「マインドコントロールの典型的な例」
今回の事件について、霊感商法や宗教の問題などに詳しい加納雄二弁護士は「悩みを聞くことから始めてしだいに相手の心をつかみ、精神的に支配していくという、マインドコントロールの典型的な例だと思う。いったん支配下に置かれてしまうと、被害者は正常な判断能力を失い、言われることを何でも信じてしまう。そうなると、みずから被害に気づくことは難しい。また、指示をうのみにして犯罪行為などに加担する加害者側になってしまうこともある」と指摘しています。
そのうえで、「本人が被害に気づきにくいことなどを踏まえ、周囲の人が被害や異変に気づいた場合は弁護士や警察に相談してほしい」と話していました。
5年前、和歌山県内の海岸で死亡した信者の男性2人に自殺をそそのかしたとして、占い師として活動していた62歳の容疑者らが逮捕された事件で、容疑者が当時、男性の名前で「コロナ不況で仕事が取れなくなった」などという内容の遺書を偽造していた疑いがあることが警察への取材で分かりました。
5年前の2020年8月、和歌山県広川町の海岸で60代の元会社社長と、50代のアルバイトの男性が死亡しているのが見つかり、警察は2人に「命を捨てて悪いものを取り除く」などと伝えて自殺をそそのかしたとして、占い師として活動していた大阪 河内長野市の濱田淑恵 容疑者(62)ら2人を自殺教唆の疑いで逮捕しました。
このうち濱田容疑者が元社長の名前で、「コロナ不況で仕事が取れなくなり、私の夢は打ち砕かれた」という内容の遺書を偽造した疑いがあることが警察への取材で分かりました。
遺書には死後の手続きなどを別の信者に一任するとも書かれていて、容疑者は逮捕前の調べに対し、「自分たちの関与をカモフラージュするために偽造した」と話していたということです。
亡くなった男性2人は2008年ごろから信者となり、献金などを行っていたということで、警察が詳しいいきさつを調べています。
容疑者らの逮捕後の認否については明らかにしていません。
“占い師”の活動実態は
警察によりますと、濱田淑恵容疑者は遅くとも10数年前から占い師として活動を始め、「スピリチュアルカウンセリング」という名目でホームページなどを通じて相談者を募っていました。
そのうえで、面接や電話で悩みの相談に応じていたといいます。
数人の信者がいて、活動を通じてみずからを「創造主」と信じ込ませ、精神的に支配していたとみられるということです。
今回の事件に先立って、濱田容疑者はことし1月、女の信者2人とともに別の男性に対する恐喝の疑いで逮捕されました。
容疑者はその後起訴され、起訴状などによりますと、「お前と両親の全財産をいったんささげろ」などと男性に要求し、合わせておよそ8000万円を脅し取った罪に問われています。
警察は濱田容疑者が女の信者2人を精神的に支配し、恐喝などに加担させていた疑いがあるとみています。
女の信者2人のうち、東京 中野区の無職、滝谷奈織容疑者(59)は今回の事件で元社長など2人に自殺をそそのかした疑いで、大阪 河内長野市の無職、寺崎佐和子容疑者(47)は濱田容疑者とともに遺書を偽造した疑いで11日逮捕されました。
警察によりますと、死亡した元社長とアルバイトの男性の2人はいずれも2008年の夏ごろ、容疑者のホームページを見たことがきっかけで信者になったとみられています。
その後、元社長はみずからの給料や両親の不動産を売却して得た資金などを容疑者に献金し、アルバイトの男性はかつて住んでいた神戸市から濱田容疑者が住む大阪 河内長野市に移住したうえ、献金を行っていたということです。
今回の事件は、恐喝の被害に遭った男性が警察に対し、2人の死亡についても話したことがきっかけで発覚したということですが、この男性は「濱田容疑者から『あいつらは死んだ。お前も覚悟しておけよ。どうなるか分からないからな』と言われた。次は自分かと不安がよぎり、その後、金を脅し取られた」と話していたということです。
専門家「マインドコントロールの典型的な例」
今回の事件について、霊感商法や宗教の問題などに詳しい加納雄二弁護士は「悩みを聞くことから始めてしだいに相手の心をつかみ、精神的に支配していくという、マインドコントロールの典型的な例だと思う。いったん支配下に置かれてしまうと、被害者は正常な判断能力を失い、言われることを何でも信じてしまう。そうなると、みずから被害に気づくことは難しい。また、指示をうのみにして犯罪行為などに加担する加害者側になってしまうこともある」と指摘しています。
そのうえで、「本人が被害に気づきにくいことなどを踏まえ、周囲の人が被害や異変に気づいた場合は弁護士や警察に相談してほしい」と話していました。