由起子は日曜日早朝、単身で岐阜に向かった。これからは関係者の事情聴衆が始まるだろうから、良一とは距離を置いた方が変な疑いを持たれずに済むだろう。
夫が殺されたショックは思ったほどなかった。冷たい人間に見られるかもしれないが、夫の女性関係がはっきりした段階で気持ちは離れていく一方だった。
良一は1日遅れで行く予定だ。9月に入り漸く仕事も区切りがつき、岐阜駅近くにあるビジネスホテルの予約を取った。当分由起子とは電話連絡だけになりそうだ。
岐阜に着いた由起子は二人の刑事に付き添われ、達彦の亡骸と対面した。達彦であることを告げると、早速取調室らしい所に連れていかれ、杉橋という刑事から質問が始まった。
「遠い所を急がせてしまいまして、すいません、検死の結果ご主人は先週木曜日の夜から夜中にかけて何者かに殺されたと判明しました」
帰る予定の前の晩だった。
「奥さんはその木曜日に何をなさっていたか、できるだけ詳しくお聞きしたいのですが」
「あの日は、昼間はずっと会社にいて、夜は8時頃家に戻りました」
「まっすぐ帰られたのですか」
「実家に子供を預けていましたので、子供を迎えに行って一緒に家に戻りました」
「家に帰られる時、誰かに会いましたか」
「家に入る時隣の奥さんと挨拶をしました」
「あのう、こういう質問で恐縮なのですが、何か人に恨まれる様な事とか、女性関係とかで気がつかれた事はありませんか」
由起子は隠すつもりは全くなかったので、井上玲子の件を有りのままに話した。
「奥さん、その人は今日も出勤しているんですか」
「そうだと思います、会社から欠勤の報告が入った時は他に何の話もありませんでしたから」
「そうですか、森川君、至急確認してくれ」
刑事の顔つきが険しくなってきた。
「奥さん、この後の予定はどうされますか」
「片づくまでいるつもりです」
夫が殺されたショックは思ったほどなかった。冷たい人間に見られるかもしれないが、夫の女性関係がはっきりした段階で気持ちは離れていく一方だった。
良一は1日遅れで行く予定だ。9月に入り漸く仕事も区切りがつき、岐阜駅近くにあるビジネスホテルの予約を取った。当分由起子とは電話連絡だけになりそうだ。
岐阜に着いた由起子は二人の刑事に付き添われ、達彦の亡骸と対面した。達彦であることを告げると、早速取調室らしい所に連れていかれ、杉橋という刑事から質問が始まった。
「遠い所を急がせてしまいまして、すいません、検死の結果ご主人は先週木曜日の夜から夜中にかけて何者かに殺されたと判明しました」
帰る予定の前の晩だった。
「奥さんはその木曜日に何をなさっていたか、できるだけ詳しくお聞きしたいのですが」
「あの日は、昼間はずっと会社にいて、夜は8時頃家に戻りました」
「まっすぐ帰られたのですか」
「実家に子供を預けていましたので、子供を迎えに行って一緒に家に戻りました」
「家に帰られる時、誰かに会いましたか」
「家に入る時隣の奥さんと挨拶をしました」
「あのう、こういう質問で恐縮なのですが、何か人に恨まれる様な事とか、女性関係とかで気がつかれた事はありませんか」
由起子は隠すつもりは全くなかったので、井上玲子の件を有りのままに話した。
「奥さん、その人は今日も出勤しているんですか」
「そうだと思います、会社から欠勤の報告が入った時は他に何の話もありませんでしたから」
「そうですか、森川君、至急確認してくれ」
刑事の顔つきが険しくなってきた。
「奥さん、この後の予定はどうされますか」
「片づくまでいるつもりです」
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