映画の演奏シーン、役者が本当に弾いているだろうか、は気になるところ。
楽器をやる人は指先をみて「ああ、やっぱり当て振りか」と、妙なチェックをして納得する。
ピアノなどはちょうど手元が隠れるのだが、弦楽器は両手が気になる。
いや、楽器を持って歩く姿で、持ち方で弾ける人かどうかわかってしまう。
配役が決まってから準備をする、映画俳優は大変だ。
ピアニストを演じるには何ヶ月も特訓をして演技に取り組む例も多いだろう。
さてWOWOWシネマで放送された「パガニーニ愛と狂気のヴァイオリニスト」を見ていて演奏シーンになった。
あれ、ものすごく正確なタッチで運指しているのを見ながら出ている音と弓の動きに引き込まれる。
ピチカートどころか、アルペジオみたいな奏法まで出てくるし、この人は何者だろう。
何より音楽が素晴らしいことと、それを主役がコントロールしている。
指が長いことで知られているパガニーニは数奇な人生を送ったようだ。
国際コンクールが毎年開催されるほどヴァイオリンの世界では難易度の高い奏者として有名だ。
さて演じたのはデイヴィッド・ギャレット、幼い頃からヴァイオリンに親しんだジュリアード音楽院出の音楽家だった。
なんでも5億円のストラディバリを使っているとか、久しぶりにヴァイオリンの可能性をこれでもかと聴かされた感がある。
史実では博打にのめり込んだとか、ガルネリを譲ってもらったとか、ギターも弾いたとか。
もともと病弱な上に水銀など当時の薬投与によって57歳で病没したようだ。
1800年代に現れた天才が英国に出かけてファンたちからもみくちゃにされる。
英国からビートルズが現れて世界中にツアーを行いファンたちからもみくちゃにされる。
「音楽に生きる」ってことは必ずしも幸せな一生を保証されるわけではない。
映画では画家と画商のようなパートナーとの確執がテーマになっていた。
様々な人とのお付き合いの中で要領よく生きてゆくことも必要か。
映画『パガニーニ 愛と狂気のヴァイオリニスト』予告編
David Garrett- La Campanella (Paganini)
David Garrett - Caprice No. 24