先日、タイで父が亡くなりました。
天寿だったのかなと思います。
タイに移住して約4年です。
当人の希望もあり、タイで葬式をして散骨を致しました。
将来、自分もタイに移住して、同じように最期を迎えられたらと思っています。
自分の為の記録、そして困っている方の参考になればと思い、残しておきます。
準備するもの:
・故人に着せるきれいな服(タイ式の正装を借りる?買う?事も可能)
・故人の写真。非常に大きなものが良い。黒枠も含めて個人で用意する。写真屋でも準備が可能ですが大きさに限界がある。
・白い封筒。お坊さんへのお供え(タンブン)や様々な支払いに使用します。
・大量の100b札。封筒に300bづつ入れて、準備します。300bを3日間で29個用意しました。
・もちろんそれ以外に支払い。(チップ等も含めて)
・
病院~お寺に運ぶまで:
最期の入院でかかった費用 約80000b。入院初期に40000bを入金、残りを不足分として支払いました。
病院では通訳としてのタイ人の女性がいらっしゃいました。
延命治療は断ったのですが、既に人工心肺が取り付けられており、体は既に冷たく、人工心肺に併せてしか動いておりません。
お医者様に聞いたところ既に亡くなっているとの判断ではあったが、
法律上、人工心肺は取り外しが出来ないとの事、その為、選択肢は2つでした。
家に連れて帰って、人工心肺を家族によって取り外す(病院内では家族でも取り外しが出来ない、また、お医者様は取り外しが出来ないようです。)
又は、心臓を強制的に動かしている点滴を取り外すかの2つでした。我々は点滴を外してもらいました。
それにより死亡が確定し、2時間たったら死亡確認が取れるとの事でした。
死亡が確定すると、着替える服を要求されました。シルクで作った背広が有ったので、下着、背広、ネクタイ等を準備しました。
病院の看護婦さんが、親父の服を着替えさせてくれました。
また、その際、注射をするかと聞かれました。防腐の為の注射のようです。
日本のようにドライアイス等が充実していないので注射を打つ必要があります。
何故なら、タイのお葬式は最低で3日、乃至は5日又は7日掛かるからです。
その後、通訳の方に付き添われて、清算、そして葬式作業への手続きをしてくれる人の所にいきました。
病院のすぐそば?敷地内?に部屋があり、そこの担当者と話をしました。
そこで、お葬式に関しての諸々を打ち合わせします。
棺桶は一番安い物で 6500bでした。我々は27000bのものにしました。中に敷く布団代で別に500b掛かります。
最初聞いたときは、棺は燃やさないように聞いたので、レンタル料かと思っていましたが、棺桶は燃やします。
また、故人にタイ式の正装をさせるか聞かれます。我々は良い背広を着せたので、それで行う事にしました。
また、飾る花についても聞かれました。当初は担当者より白い花を提案されそれで依頼しました。
しかし、入手出来なかったのか、白い花は持ちが悪いと言い始めて、急きょ蘭に変わりました。
その後、病室から故人はその担当者のいる部屋に映されて棺桶に入れられます。
お寺の受け入れ準備が出来ると、大きなライトバンに棺桶を載せ、お寺に運びます。
その際に男性で棺桶を担いで、ライトバンに載せます。
ライトバンの荷台には長椅子があり棺桶の横に乗るように指示されます。
家族全員でその長椅子に座って棺桶を支えながらお寺に運びます。
お寺に着くと本堂ではなく、脇に建物がありそこがお葬式の建物になるようで、棺を置く高い台が準備されております。
ここまでの代金、棺桶及びその他準備代はこの担当者に病院敷地内の施設で支払いをします。
準備~お葬式前まで:
葬儀の台に棺桶が設置されると、飾り付けの業者が動き始めます。
棺桶の置かれた台及び周囲、そして棺桶の上にも花を飾り付けます。電飾を付けて華やかにします。
線香をあげる台をセッティングします。線香に火をつけるようのオイルランプをセッティングします。
写真を飾ります。大きなスタンドに写真を飾り、花でデコレーションします。線香の台のそばに置きます。
お客様からの花を飾ります。
お祈りの準備をセッティングします。
この部分で業者に支払うお金は私の場合 6000bでした。
また、食事関係の業者の人と、食事の事で打ち合わせをします。
最終日以外はお通夜です。(3日なら2日間、5日なら4日間、7日なら6日間と思います。)
お通夜は簡単な食事。基本はカオトム(タイ風おじや)で鶏・豚・海老などから選びます。
また、お通夜は地元の人などはパンとコーヒーなどでもするようです。ボックス型のセットの時もあるようです。
そして最終日は、ちゃんとした食事、この時はお坊さんの分も用意します。
メインは最終日になります。食事はタイ料理で、肉含めてなんでもOKです。
ただ、ある程度基本のパターンはあるようですので業者の人と相談してください。
日にちごとの食事の量も業者と打ち合わせしてください。
これは食事の内容と量によって変わります、私の場合は3日で約4000b。
お客様と家族で15~20人。最終日は人数少なくなってましたので、本来はもう少しかかるかもしれません。
飲み水と冷やす氷、お坊さんに提供するペット飲料も用意してもらっておりました。
それと私は知らず、お願いしなかったですが、タイの音楽を演奏してくれる業者を本来は雇って葬儀の時に演奏してもらうようです。
それと、仲の良かった方・親族へ葬式のスケジュールの連絡をしてあげてください。
お寺の場所等解りにくい可能性もあるので、業者に解り易いようにしてもらった方が良いかもしれません。
(ただ、私の時はどのソンテウの運転手も寺の名前を言えば知ってました。)
ただ、、最終日に棺桶を担いだりするので、お通夜より告別式(最終日)に来てもらうようにしてください。
お通夜にて:
お通夜が始まる前に、準備としては300bの入った白い封筒のセッティング。
私の時は、初日、2日目共に300b×6枚を準備するように言われました。
お坊さんにお供えするセットのお盆の上に封筒をセッティングします。これが4つ。
もう一つは仏様の祭壇に、同様にお盆の上に、もう一つはサポートするおじさん用でしょうか?
合計6枚です。(最終日は8枚・お坊さんの数が増えるため)
それと食事お準備も確認してください。
線香立てに太くて長い線香を一本火をつけ、立てておきます。
また、自分の分もお祈りをしてください。(仏様は線香一本)
お客さんが来たら、お水の提供と、親族の方で火をつけたお線香を渡して、お祈りを促すようです。(私はタイの方からそのように聞きました。)
たぶんお祈り開始は少し遅れると思います。
お坊さんが来たら、お通夜が始まります。お坊さんは一段高い座席に座って準備OKです。
まず、一人呼ばれます。(これは母で良いのか、長男がしなければならないのか解りませんが、私たちは母と長男交互に務めました。)
お坊さんに挨拶をした後に、火のついた一本のろうそくを持ち、祭壇(仏様のいる)の蝋燭に火をつけていきます。
左の大きな蝋燭、右の大きな蝋燭、中央の小さな蝋燭の左から順番に、付け終わったらお坊さんに挨拶して席に戻ります。
お経が始まって、しばらくすると4人呼ばれます。(基本家族)
4人はお坊さんの前に呼ばれます。
お坊さんに挨拶をして、お供え物をお坊さんに捧げます。特に女性はお坊さんに触ってはいけないので、お坊さんの前に供物を置くようにしてください。
それが終わると、聖水の入った徳利のような水入れの容器と、カップを渡されます。
行き渡った所でお坊さんがお経を唱え始めます。お経が始まったら容器に入った聖水をカップに全て注ぎます。
お経が終わったら、水の入ったカップと水入れ容器を持って席に戻ります。水がいっぱい入っているので気を付けて戻る必要があります。
後はお経が終わるまで特にする事はありません。
お経が終わってお坊さんが退席したら、カップの水をご神木の所に持って行って聖水を掛けます。
そして、お客様とともに、食事をしたら終わりです。セットだったら渡して帰ってもらっても良いかもしれません。
お通夜にくるお坊さんは初日は若いお坊さん、2日目は中堅のお坊さん、最終日は年のいったお坊さんになります。
ですから、初日のお坊さんが若いからと言って心配しないでも良いと思います。
基本は初日も、2日目も一緒です。
また、お寺側の方でお線香を絶やさずにいてくれる人がいました。
(当初、タイ人の方からは家族一人が泊まり込むと聞いていましたが)
告別式(最終日)にて:
最終日は朝から昼に掛けて実施されます。
丁度食事が、昼食になるような感じです。
基本的には、お通夜といっしょです。最終日はお坊さんの人数が6人。偉そうなお坊さんが来ます。(日にち毎に年齢が上がります)
蝋燭で祭壇に火をつけ、お供え物を提供して、水を注ぐ。
お経が終わったら、お坊さんが食事をなさいます。
室内に卓を準備して、お坊さんに食事や水の皿を渡します。
ここで気を付けなければいけないのはお坊さんに手渡しする形になるので女性でなく男性が渡すことです。
水も料理も男性が渡してください。(そう言われました。)
そして、お坊さんが料理を食べ終わるまで待ってます。
しかし、私の場合は偉いお坊さんが、食べ終わる前に食べてよいとの指示を出していただいたので、
お坊さんが引き上げる前に屋外に設置したテーブルでお客さんと食事をとりました。
食事が終わったら出棺です。
本来は車の付いた台に棺桶を載せて火葬場まで引っ張っていくそうなのですが、人数もいないし高齢の方も多いのでトラックで運ぶことに。
トラックの助手席はお坊さんが乗ります。
棺桶の載った台には白いロープが付いております。それの先頭はお坊さんが持ってます。
これは葬儀場から車に積むまでも一緒です。たぶん、故人を天国へ導く意味があるんでしょう。
トラックには棺桶の他、飾ってあった花、頂いた花、写真なども積みます。
*日本と違い、葬式に飾った花を持って帰ってはいけませんといわれました。縁起が悪いのか、すべて火葬場に飾ります。
そして男性陣はトラックに乗れと指示され荷台に乗って棺を支えながら火葬場に向かいます。
火葬場にて:
火葬場に着いたら、最後の式が始まります。
セッティングされた建物の前にトラックを付け、その前に献花台を設置します。
献花台の前に写真を飾り、式がスタートします。
建物の中には席が用意されており、目の前に焼き場が有りました。
こちらでも脇の方にお坊さん専用の席があります。
日中という事もあり、まず、お坊さんにお水を渡してからスタートです。
遺体の置かれた台の前の献花台に置かれる形で、その献花台の脇に式に使われる物が置かれます。
白い紙で作られた花。植物の葉で包まれた花。お坊さんにお供えするセット(お坊さんが身にまとうオレンジの服が入ってます。)
献花台には最初にはお供えを受ける台(器)とお通夜等に使った聖水を入れた容器のセットが置かれます。
ここでもお通夜の時と同じく叔父さんがお経を読み始め、スタートです。
まず、長男(いわゆる喪主なのでしょう)が、脇の机からお供えのセットと葉に包んだお花を受け取り、
献花台の上に置かれた器にお祈りしながら置きます。
すると、一人のお坊さんが来て、供物を取り、お経を唱えながら、聖水を容器に移していきます。
その後供物を受け取る器と水の容器は献花台から外されます。
次に、喪主と同様に近い親族がお坊さん分のお供えと花のセットを献花台に備えお祈りします。
献花台の所にお坊さんの数のお供えが置かれたところで、同じ数の聖水のセットが準備されます。
すると全員のお坊さんが出てきて、献花台の前に並び、お供えのセットに手を置いてお祈りを始めます。
読経をある程度したところで、我々がしたように、お坊さんが読経しながら聖水を容器に移していきます。
そしてお坊さんが再度席に着くと、献花台に器と聖水容器が再度置かれます。
そして、再度親族が呼ばれ、もう一度、お供えのセットを器に供えてお祈りします。
すると、一人のお坊さんが出てきて、再度、お供えのセットに手を置いて読経、聖水を容器に移す作業を繰り返します。
そしてもう一回、聖水の容器が準備されます。
もう一回親族が呼ばれ再度お供えします。(本当はお供えする親族にルールがあるのかもしれませんが、とりあえず兄弟で順番に行いました。)
すると、最後に一番偉いお坊さんが、うちわのような仏具を持ちながら出てきて、
同様にお供えセットに手を置きながら読経、再度聖水を移す作業を繰り返します。
それが終わると、献花台の上に器がもう一つ準備されました。
再度全員のお坊さんが出てきて今度は紙で作った白いお花と、葉で包んだお花のセットを
お祈りしながら器の上に手向けていきます。
全員のお坊さんが終わり席に着くと、今度は全員で同様に白い花と葉で包んだお花のセットを手向けます。
それが終わるれば火葬場での式が一通り終わり、確かここでお坊さんは退場します。
最期に焼く前の式になります。
棺の周りに飾られていた花は、皆で手分けして、今度は焼き場の建物の周囲に飾り始めます。
続いて、トラックから棺を下します。
読経していた叔父さんが、お坊さんの代わりに(?)棺についていた紐を持ち、棺を担いだ男性たちが焼き場まで担いで運びます。
焼き場の入り口の前に棺を置いて、最後のお別れです。
まず、棺を開けて、遺体の上でヤシの実を金づちで割り、ヤシの汁を遺体に掛けます。
ヤシの汁は清浄な水と考えられているようです。
その後、それぞれがお棺に白い紙の花と葉で包まれた花を棺にお別れとともに入れていきます。
皆が入れ終わったら再度、男性が棺を担いで、焼場の中に入れます。
そして、再度親族が機械を操作して、扉を閉め、火を入れて終わりです。
後は、焼き場の係の人が翌朝骨壺に入れて準備しておいてくれます。
焼き始めたら遺影は裏返しにして体に密着させて下さい。
写真が見えたらだめだそうです。
これは火葬場を出るまではずっとです。
ちなみにトラックの叔父さんたちにもこの時点で金を払います。2人いたので各300b位併せて600b程かと思いますが、確認しておいてください。
散骨:
私たち家族は、お骨を日本に持ち帰らずに故人の遺志で散骨にしました。
希望は花火で打ち上げる気持ちだったのですが、ダメだと言われました。
それで、河への散骨にいたしました。
まず、朝市で火葬場に行き、係の人からお骨を受け取ります。骨壺に布がかぶせてあり、中には骨と花が入っています。
散骨前に、分骨する分の骨を取っておきます。
散骨自体には(たぶん)届出は不要のようで、川沿いのお寺(我々はチェンマイ市内のワット・チャイ・モンコン)に行き、ボートを頼みました。
そんなに高くないと聞きましたが、正確には解りません。
ボートに参列してくれた人と共に乗り込み、その地点まで行きます。
そこで、家族が骨を花とともに流します。(順番に交代しながら)、基本は家族のみのようです。
骨を流し終わったら、壺に掛けてあった布を押し込み、壺を河の水で満たして沈めます。
それで最後のお別れです。この時が、一番しんみりしました。
ちなみに、骨を日本に持ち帰るなら、日本大使館にて骨である証明を発行。封印してくれます。
(骨であるので、殺人等、空港で問題になる恐れがある為、分骨した少量でも容器に入れて持参すればすべて封印してくれるそうです。)
届出関係:
病院 ~ 病院で死亡届の発行をしてもらいます。死亡届はすべてタイ語。ですので名前もローマ字ではなく、タイ語に変換されます。ですので「つ」などはタイ語にないので、再三、確認されます。
役所 ~ 死亡証明を発行してもらいます。これがないと火葬できません。私たちは病院のスタッフの女性が付いてきてくれて助かりました。パスポートを持参してください。パスポートのコピーも用意しておいた方が良いかもしれません。
大使館 ~ 死亡証明の翻訳とパスポートを使用不可にします。大使館に話をすると別室に通されます。そこで、いろいろ教えてもらうとともに、何気に問題ない死亡か聞き取りをされます。死亡原因とか、状況とか。ここでも病院のスタッフの人が同席してくれたので助かりました。死亡届の翻訳には時間がかかります。三日から五日程度。状況によっては急いでくれますが、限界はあります。また、上にも書きましたが、遺骨を日本に持ち込む際の封印をしてくれます。各種書類の翻訳もしてくれます。
銀行 ~ 死亡届とともに、基本として銀行口座は封鎖されます。(言わなければわからないと思いますが、大金なのでちゃんとした方が良いでしょう)、タイ語の死亡届、日本の除籍証明の翻訳書類、大使館の印鑑つき。もう一つ何か書類が必要だった気もします。大使館の人も言ってましたが、銀行によって対応が違う場合もありますので、確認してください。その上で、日本に戻って死亡手続きをして書類発行して再訪問です。
以上が、わかっている限りの タイでの葬式手続きです。
将来の為に、残しておきます。