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2019-11-18 | 宮部みゆき


宮部みゆき
『模倣犯4』★★★

正直後半戦になってきて、やっと気持ち的に安定

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そこは見捨てられた場所ではなかった。最初から用意された場所なのだ。
あるひとつの舞台劇のために、ひとつのセットが組まれた。それは完璧な廃墟のセットだ。素晴らしい出来だ。後は脚本があがってきて、ここで俳優たちが文学で書かれた筋書きに命を吹き込むのを待つばかりだ。
そして脚本は完成し、ここで芝居が演じられる。陰鬱な気が滅入るような芝居だが、しかし素晴らしい出来だ。嫌というほどの真実が盛り込まれた芝居だ。
しかし、芝居はいつか終わる。終われば、完璧な廃墟のセットも用無しだ。しかし、あまりにも美しい廃墟だから、取り壊すのは惜しい。誰かにこのセットにふさわしい脚本を書くものはいないか。誰かこのセットを使い、もう一度このセットを活かしてはくれないものか。
廃墟は待ち続ける。ふさわしい筋書きが現れるのを。だからけっして見捨てられたわけではないのだ。廃墟は辛抱強く時を待つ。
そして、とうとう、最初の脚本と同じくらい素晴らしい脚本の書き手がやってくる。
今再び彼らが、この廃墟に命を与えてくれるだろう。
この廃墟は脚本のためにつくられた。最初の脚本は強欲と幻滅の物語であり、後の物語は支配と絶望の物語である。前者はバブル時代にこの場所に建てられようとしていた施設とそれをめぐる金の物語であり、後者はこの場所で社会に向かってひとつの死体を掲げ、もはや現代に殺人のタブーは存在しないことを納得させようとしたふたりの若者の物語である。








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人は誰でも、自分の幻想という小さな王国のなかでは、ちっぽけな王冠をかぶり王座に座っている。そういう部分があること自体は、けっして邪悪でもなければ罪深くもない。むしろ、軋轢の多い現実世界を生き抜いてゆくためには、なくてはならないことなのだ。
だがしかし、この王座に腰かける王にも、専制君主への憧れはある。それもまた誰でも持っている自然な心の指向性だ。彼もしくは彼女は、早晩外の世界へと目を向ける。領土を広げ、自分の築いた城塞都市の内側に入る国民の数を増やすのだ。ある程度の「練習」を重ね、自分の力量を確かめたくなった時点で、王は出立を決意する。
しかし、その先は千差万別だ。彼もしくは彼女がどこまで行かれるか。何をもって満足するか。どれぐらいの規模の王国をつくるか。そこで善政を敷くか圧制者となるか。結局のところ、それが人生ではないかと武上は思う。







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利発と鈍重。攻め手と受け手。



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さて最終章・・5巻へと続く。



































ハート型に見えない?
ガリガリボリボリ 結構な食べ応えに笑える。
天草に行った際はお土産に是非どうぞ(笑)

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