マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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切幡の弓始め

2017年10月17日 09時32分27秒 | 山添村へ
切幡の小正月行事はかつて1月15日だった。

その日は垣内ごとのトンドが終わってからは上出、下出垣内ごとの弓始め行事があった。

今でもしていると思われた弓始めを拝見したくなって、この年の当家がどの家であるのか、教えてもらって行事の家を訪ねる。

小正月行事には違いないが、日にちが替わったのはいつだったろうか。

これははっきりしている。

ハッピーマンデーの施行日である。

週休二日制が全国に浸透し始めたのは平成時代に入ってからであろう。

「国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律」および「国民の祝日に関する法律及び老人福祉法の一部を改正する法律」が定まって、平成10年に「成人の日」と「体育の日」がハッピーマンデーの月曜日に移った。

「海の日」に「敬老の日」は平成13年になってからだ。

切幡の弓始めがハッピーマンデーの「成人の日」に移行して、早や19年。

月日というものは早いものである。

村の安全や五穀豊穣を願う年初の行事。

初祈祷のオコナイは1月7日の山の神の日。

これは昔も今も替わらない年初の村行事。

7日は山の神行事が終わってからオコナイ行事をされる。

成人の日はトンド行事が終わってから弓始め行事がある。

なんとか間に合うと思われた今年の弓始め行事の場は上出のトンド場の真ん前の家だった。

今、まさに始めようとしていた当家は馴染みのある人だ。

急な撮影にも応じてくださったのが嬉しい。

弓始めは儀式であるが、弓を射る人も当家家族も普段着で行われる山添村切幡の弓始め。

平成22年の1月11日に取材させてもらったときとなんら変わっていない。

射る矢はアマコダケ(ススンボ竹)。

弓は青竹で作ったという。

平成22年に聞いていた弓の材はシンブリの木で弦はフジツルであった。

矢の本数は特に決まっていないが、射る方角は最初に天を。

次が地である。



東、西、南、北に矢を放って最後の〆に鬼を射る。

的の鬼は手書きでなくカラー色の写し。



ダンボール紙に貼り付けていた鬼の絵は平成22年に拝見したときも写しであったが、デザインは違っていた。

矢を射る人は村神主に次年度に村神主を務めるミナライの二人。

打ち終わって二人に問う下出の弓始め。

それについては、今はない、という。

ないというよりも4年前に上出、下出それぞれにあった当家制度を村一本化にした。

そういうことで弓始め場も統合化、ということである。

村行事のあり方は少しずつ変化させてきた。

今後もまた改革することになるだろうと話していた。

(H29. 1. 9 EOS40D撮影)