荻野洋一 映画等覚書ブログ

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『ウォンテッド』 ティムール・ベクマンベトフ

2008-09-21 08:50:00 | 映画
 この土曜日から上映開始された、アンジェリーナ・ジョリー主演のアクション映画『ウォンテッド』の監督は、ティムール・ベクマンベトフという名前である。まるでペルシャか中央アジアあたりの皇帝のごとき立派な名前であることよと感心していたのだが、友人Hにこの監督の出自を問いただすe-mailを夕べ出してみたら、先ほど返事が来た。結論から言うと、中央アジアという推理は当たり。わが地理・歴史感覚も伊達じゃないわい。以下は、友人Hからの返信の引用である。

 “ ベクマンベトフはカザフ人です。アジア人の顔をしています。1961年生まれ。監督になるきっかけはマルコ・フェッレーリを見たことだそう。徴兵されソ連兵をやっていた時には、まさかハリウッド映画を撮るとは夢にも思わなかったとのこと。
 『デイ・ウォッチ』『ナイト・ウォッチ』という二部作をロシアで大ヒットさせて、米国進出しました。後者は見たが、私はそれほど面白いとは思わなかった。しかし確かにロシアというよりは、異教的というかオリエントの香りが漂っている映画でした。”

 以上がe-mailの内容であった。『デイ・ウォッチ』『ナイト・ウォッチ』共に私は未見である。なるほど、ソ連と米国の間にはじつは多大なる親和性があるというのが、わが少年時代からの持論なのだが、こういう履歴の判明もその一例証なのである(20歳以下の方々はびっくりなさるでしょうけれど、カザフスタンは昔、ソ連を構成する一共和国だったのですよ)。また、ブログ「MINER LEAGUE」の主人が最近指摘していたアレクサンドル・ソクーロフのペキンパー的スペクタクル性というのも、例証その2である。
 嘘だと思ったら、レフ・クレショフやボリス・バルネットを見てみてごらんなさい見てみて!(加東大介ふうの力説口調 …「艦長、これで勝っててごらんなさい、勝ってて」)

 …お後があまりよろしくないが、しかしともかく、持つべきは友であるという教訓を改めて得た。


『ウォンテッド』は日劇PLEX他、全国で上映中
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