荻野洋一 映画等覚書ブログ

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『理想の彼氏』 バート・フロイントリッヒ

2009-12-01 07:07:42 | 映画
 時間の合間にふらりと切符を買って見た『理想の彼氏』は、わりに見られる作品だった。どこがどう凄いということもない平凡な作品だが、ニューヨークの街頭や生活人の動き方などを、どうということもなく撮っていること自体が好ましい。ニューヨークという街は、フィルム・ノワールやアクション映画だけでなく、小市民喜劇的な作品においても、すばらしい舞台を提供してきた歴史を持っている。
 主人公のこぶつきバツイチ女性キャサリン・ゼタ=ジョーンズが、15歳年下のモラトリアム青年と恋に落ちる。監督のバート・フロイントリッヒはジュリアン・ムーアの夫で、この夫婦は10歳差の姉さん女房となる。演出のディテールには、監督夫婦の実生活がたくさん生かされていることだろう。
 また、映画の前半で、相手の青年(ジャスティン・バーサ)がノートパソコンでDVDを見るシーンがあり、これが妙に映画好きの心をそそる画面であった。どうやらこれは『Entre la mer et l'eau douce』(1967)というカナダ映画らしく、私は知らない作品である。モニターに映っていたのは、若き日のジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドだったと思うが、この人は、あのなつかしい宙づりスリラー『コーマ』(1978)で、ゼタ=ジョーンズの夫マイケル・ダグラスと共演している。ややこしい縁だが、まったく偶然というものでもないであろう。


丸の内ピカデリー他、全国で上映中
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