荻野洋一 映画等覚書ブログ

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仏カイエ・デュ・シネマ2009年ベストテン

2009-12-18 02:08:46 | 映画
 「自分が紹介するのも、甚だお門違いだろうが」などと、馬鹿のひとつ覚えのごとく七面倒な前置きをしたあげく、それでも毎年紹介している仏Cahiers du cinéma誌のベストテン。まだ12月だというのに、編集部選出の2009年ベストテンが早くも発表されている。
 現在のカイエ・デュ・シネマは、ジャン=ミシェル・フロドン編集長(先だって更迭)の「ずさんな方向性」などがたたり、存亡の危機にまで達し、ついに英国資本傘下に入ってしまったという、激動の時を過ごしていると聞いた。フロドンがどれほどダメだったのか、私は詳細を知らない。ただ、私が日本版の編集委員を務めていたころ(1991-2001)の、ティエリー・ジュスやロランス・ジャヴァリニ、ニコラ・サーダやマリ=アンヌ・ゲランといった非常に優れた同人たちの名が誌面から消えて久しく、私にはもうよくわからない時代になっている。
 梅本洋一氏の引率により、ティエリー、マリ=アンヌ、私の4人で湘南電車に乗って鎌倉へ遊山に赴き、小津安二郎の墓参りをしたり、「山の音」に耳を傾けたり、海辺の道で煙草を吸ったり(全員スモーカー)、鎌倉彫の箸を買ったりしたのも、15年も昔のこととなってしまった。あれらのことは、我が人生の中でも最高に楽しい思い出のひとつである。


■La choix de la rédaction des Cahiers
1- Les Herbes folles(アラン・レネ)
2- Vincere(マルコ・ベロッキオ)
3- イングロリアス・バスターズ(クエンティン・タランティーノ)
4- グラン・トリノ(クリント・イーストウッド)
5- Singularités d’une jeune fille blonde(マノエル・ド・オリヴェイラ)
6- Tetro(フランシス・F・コッポラ)
7- ハート・ロッカー(キャスリン・ビグロー)
8- キング・オブ・エスケープ(アラン・ギロディ)
9- トウキョウソナタ(黒沢清)
10- Hadewijch(ブリュノ・デュモン)