「 九州 ・ 沖縄 ぐるっと探訪 」

九州・沖縄・山口を中心としたグスク(城)、灯台、石橋、文化財および近代土木遺産をめぐる。

「 高齢者虐待から見えて来るもの 」

2014-03-02 05:44:41 | 介護関係
高齢者虐待の現状



要介護施設従事者等による虐待

要介護施設従事者等による高齢者虐待の酒類・類型は、
身体的虐待が70.8%、ついで心理的虐待が36.5%となっており、
被虐待高齢者は、女性が74.7%を占め、年齢は80歳代が42.5%であった。

養護者による虐待
養護者による高齢者虐待の種類・類型は、身体的虐待が63.4%、
ついで心理的虐待が39.0%となっており、
被虐待高齢者は、女性が76.5%、年齢は80歳代が42.2%となっている。
相談・通報者としては、 「 介護支援専門員等 」 が43.4%で最も高い割合を示している。
また、認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ以上の者は、被虐待高齢者全体の47.1%を占め、
虐待者の続柄では、 「 息子 」 が42.6%で、 「 夫 」 が16.9%、
「 娘 」 が15.6%であった。


家庭内の虐待

家庭内の高齢者虐待は、高齢者自身が閉じこもりがちだったり、
判断力の低下などで本人が直接的に被害を伝えられなかったり、
家族をかばったりすることもあったりして、
虐待を見つけること自体が困難な場合が多い。
そのため周囲が兆候に気づき早期に対応することが重要となる。

その適切な対応のためには、虐待の第一発見者になりやすい介護職はもとより、
各専門職の連携が重要であるが、
その対応がこれまで十分になされていなかったのが現実である。

家族からの虐待が疑われても、日本では家庭内への介入をためらう風潮が社会にあり、
そのため対応が遅れがちになることも少なくない。


虐待の背景

高齢者の虐待場合、養護者の人たちも介護疲れなどで地域社会などから孤立し、
ある意味で被害者である場合も多いことに配慮しなければならない。
高齢者虐待のリスクは高齢者が認知症の場合が顕著であるが、
介護に対する知識不足などからも引き起こされるものである。

介護と生活の現場において実際にケアを行っている家族や施設などに裁量として
ケアが任されている部分があり、そこについて周りが口を出しづらい部分があるのも
事実である。

虐待は施設を含め、密室化した場所で起こり、
虐待している人は虐待をしているという意識を持ってなかったり、
被虐待者は虐待者にケアを依存しているので声高に糾弾 ( きゅうだん ) したりせず、
かえってかばうなどで、深刻になるまで見過ごされがちになることが多い。




「 虐待の種類と内容 」

2014-03-01 00:03:41 | 介護関係
身体的虐待


身体的虐待は、目に見えてわかりやすいものである。
平手打ちをしたり、殴る、蹴る、火傷を負わせるなどに加えて、
薬漬けにするなどの行為で行われている。
さらには、ベッドに縛り付けたりする拘束なども含まれている。



放任 ・ 放棄 ( ネグレクト )


放任・放棄は、消極的な怠慢や資源の供給を怠ることである。
家族が本人に必要な介護や生活の世話を放棄していたり、
ゴミや汚物など劣悪な生活環境のなかで清潔が保てないまま、
医療や介護など必要なサービスも利用させず、
水や食事が十分でないまま放置している状況など、
不作為、何もなされないことで起きる問題である。

施設では、高齢者を衰弱させるような減食、
または長時間の放置その他の高齢者を養護すべき職務上の義務を著しく怠ることである。



心理的虐待


心理的虐待は、 「 死んでしまえ! 」 「 この役立たず! 」 など、
言葉で罵倒する、侮辱する、無視するなどによって、
高齢者が生きる気力を失ったり、落ち込んだり、
投げやりになることにつながる見えない虐待である。
また、著しく拒絶的な対応も高齢者に対して心理的外傷を与えるものである。



性的虐待


性的虐待は、キスや性的関係の強制などだけではなく、
高齢者にわいせつな行為をしたり、させたりすることや、
排せつの失敗を見せしめのために
下半身を露出させたまま放置することなども含まれている。



経済的虐待


定期的な現金収入が年金だけというような高齢者の意思を問わないまま
家族の生活費に使われるというようなケースが潜在的に多いと思われる。
また、高齢者の財産を不当に処分したり、銀行の口座から勝手に引き出したりし、
高齢者から不当に財産上の利益を得ること。



「 個人の尊厳と介護保険制度 」

2014-02-28 05:19:41 | 介護関係
高齢者の尊厳と介護保険制度


介護保険制度の目的は、要介護・要支援状態になっても、
高齢者が出来る限り自立した生活を送れるようにその自立を支援し、
高齢者の尊厳のある暮らしの実現を支援するものである。

1 高齢者の選択による利用者本位の制度
2 自立を支援する保健医療・福祉サービスの提供
3 介護支援専門員による支援
4 地域包括ケアの推進



介護保険法の目的


介護保険法 ( 目的 )
第1条

この法律は加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、
入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに
看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、
これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、
必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、
国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、
その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、
もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。


介護保険法
第76条第6項

指定居宅サービス事業者は、要介護者の人格を尊重するとともに、
この法律又はこの法律に基づく命令を遵守し、
要介護者のため忠実にその職務を遂行しなければならない。

要は、要介護者の人格を尊重し、高齢者の尊厳を損なわないようにすることである。


「 ノーマライゼーション と( バリアフリーとユニバーサルデザイン )」

2014-02-27 06:25:41 | 介護関係
当たり前が当たり前に出来ることに感謝


ノーマライゼーションの思想は、人間の尊厳を基本としているのである。
現在では、ノーマライゼーションは障がい者に限らず、高齢者や病気など、
何らかのハンディキャップを負った人にまでその対象が拡大され、
これらの人々が普通の人と同じように生活できるようにして行くことを意味するものである。



バリアフリーとユニバーサルデザイン


ノーマライゼーションを実現するためには、
介護などの日常生活の支援だけではなく、
建物や鉄道・バスなどの交通機関のバリアフリー化、障がい者や高齢者を支援する施設を
町中に造るといった街づくり、さらには成年後見などによる意思表示の支援など、
ハンディキャップを負った人々の生活に関するあらゆる場面で、
ノーマライゼーションの考え方が活かされるようにしなければならない。

バリアフリーという言葉は、物理的障害だけではなく、
高齢者や障がい者が支援なく自立した日常生活や社会生活を送れるように、
心理的、社会的、制度的障害、さらには情報の障害など、
すべての障害を除去するという、より広い意味を持っている。

ユニバーサルデザインは、障害の有無、年齢、性別、人種などにかかわらず、
多様な人が快適に利用できるデザインのことを言うものである。

1 誰にでも公平に利用できる。
2 使用するうえで柔軟性に富んでいる。
3 使い方が簡単で解かりやすい。
4 必要な情報がすぐに理解できる。
5 単純なミスが危険につながらない。
6 身体的負担が少ない。
7 接近して使える寸法や空間になっている。

以上の7つの条件を原則として定められたものでなければならない。


「 自立と共生、そしてエンパワメント 」

2014-02-26 06:27:41 | 介護関係
自立と共生



自立が個人として尊重することを基本とすると言っても、
それは、個人が社会から孤立して生きることを意味するものではない。
人間は社会の中で他者と共に生きて行く社会的存在である。
自立と言っても、それは他者との共生のなかでの自立を意味するものである。

要介護高齢者のように身体の機能が低下し、
自分の力だけでは自立した日常生活が送ることが困難な場合には、
社会が必要な援助を行い、日常生活の自立を支援することが必要になる。
これによって、その高齢者は人格的自立を獲得し、
自らの望みを実現しながら生きることが出来るようになる。



エンパワメント



ひと口に高齢者と言っても、実際の高齢者はさまざまな事情を抱え、
さまざまな考え方を持っている。
高齢者の自立と言っても、その前提となる高齢者像は多様である。
したがって、自立の在り方も多様なものになる。

このことを理解したうえで、出来る限り一人ひとりの高齢者が
その生活の在り方を自ら決定できるように支援することが 「 自立支援 」 なのである。

自立支援の考え方をさらに進め、利用者自身の力 ( パワー ) に着目した支援方法を
” エンパワメント ” という。
エンパワメントとは、利用者が個別援助計画に掲げられた生活目標を達成に向かう
課題解決過程で、自ら身体的・心理的・社会的な力を獲得していくことを言う。

自立支援にあたっては、常にエンパワメントの視点を持たなければならない。




「 老いることは、生きること 」  自立の考え方。

2014-02-25 21:48:41 | 介護関係
介護保険制度や成年後見制度


高齢になると、足腰が弱って自由に活動できなくなったり、
自分一人では十分な判断が出来なくなったりするため、
自分の望むような生活を送ることが困難になる。
その結果、高齢者の自立が損なわれ、
ひいては人間としての尊厳が脅かされることにもなりかねない。

このように高齢期になると心身の機能が低下するため、
高齢者が自立した生活を送るためには、
個人の努力だけでは限界があり、高齢社が望むような生活を送れるようにするための
社会的な支援が必要となる。
この自立支援のための社会制度として、介護保険制度や成年後見制度などがある。



自立を基本とすることは、個人の 「 尊 厳 」 を基本とすることだ。


自立には、人格的自立だけではなく、経済的自立、社会生活における自立、
日常生活における自立などがある。

そして、 「 自立 」 と言う考え方の基本には、個人を尊重する考え方がある。
社会における価値の根源は個人にあると考え、
何よりも個人を尊重する考え方を 「 個人主義 」 と言い、
これを基本として、他者との関係に着目して表現したのが 「 自立 」 である。

つまり、自立を基本とすると言うことは、個人の尊厳を基本とすることである。



介護職員初任者研修 「 終末期介護 」

2014-02-09 05:38:41 | 介護関係








昨年の9月14日から毎週土曜日に行われている介護職員初任者研修も昨日で20回を消化した。
あと5回の研修で全て終了するが、この初任者研修から修了試験が採用される。
これは、これまでヘルパー2級時代には無かったものである。
予定されたカリキュラムを消化すれば良かったヘルパー2級の講座と違って、
試験があるだけに、どの受講生も真剣である。

前回まで6回にわたって行われた介護実技演習が終了し、
昨日の介護職員初任者研修の単元は、
こころとからだのしくみと生活支援技術という項目の中の
「 死にゆく人たちに関したこころとからだのしくみと終末期介護 」 についてだった。

その中で、 「 あなたが余命6か月と宣告れたらどうしますか? 」 の問いに、
「 自分だったら、行きたい場所に行き、逢いたい人に逢って、
食べたい物を食べ、悔いが残らないように過ごす。
そして自分が旅立った後に家族が困らないように身辺整理をし、
最期は家族に囲まれて天に旅立ちたい 」 と答えた。
さらに、 「 自分は介護支援をする立場になろうと思う人間であるが、
自分自身は人の手を煩わせるような介護を受けることなくコロリと逝けたらと思う 」 と、
付け加えた。