遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉 174 人間考-Ⅱ

2018-01-28 12:20:46 | 日記

          人間考-Ⅱ(2018.1.20日作)

 

   人間はみんな 他人の中に

   自分を映す鏡を持ている

   しかし 人間はみんな

   鏡に映っている自分を見て

   あれは他人だと言う

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   大声で叫ぶ人の言葉には 気をつけよう

   真の美徳 善行はしばしば

   見えない所で実行される

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   十年かけて築いた信用も

   一つの愚行 一つの愚かな言葉によって

   一瞬の間に崩壊する

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   人間は 自身の持つ尺度でしか

   行動出来ない

   その尺度を規定するものは

   その人が身に付けたものの大きさ

   深さによって 決定される

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   人間はあらゆる点に於いて

   自分が偉くなったと認識したら 御仕舞いだ

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   もう 行き止まりだ と思った所に

   真の出口がある

   その出口の扉を開けるのは

   生への強い執着心と 自身の努力

   創意工夫だ

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   人生は宝探し

   退屈している暇はない

   学ぶという事は

   宝を掘る道具を手に入れる行為だ

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   人間は他より抜きん出れば出るほど

   孤独になる

   一つだけ屹立する山は

   全身 風雨にさらされる

   

   

   


遺す言葉 173 神 及び 宗教

2018-01-21 11:58:56 | 日記

          神 及び 宗教(2018.1.20日作)

 

   神は心の内に育むべき存在で 頼るべき存在ではない

   人間が最後に頼り得るものは人の良心(こころ)であり

   何処にも縋る事の出来ない人間はその点で孤独だ

   心に神を持たない人間は不幸だ 一生を迷宮で過ごさなければならない

   心に何かしらの神を持つ時 人は その神に従い その神の下で

   安らぎを得る事が出来るだろう

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   気を付けなければならないのは

   宗教の名を借りてしばしば行われる統御だ

   人間は絶対的に孤独であり それが宗教を 神を生み出す

   悪徳宗教はそれを利用して人間を統御し

   自分達に都合の良いように変えようとする

   真の宗教は それに帰依する者の心の自由を保障するものでなければならない 

   人間を救うはずの宗教が 無理難題を押し付けるのは理に沿わない

   押し付けるだけの宗教は真の宗教とは言えない

   無論 その宗教が持つ戒律を帰依する者に解く事は

   宗教者として当然の行為だ

   それは統御ではない

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   世間一般的神は その存在を見せないから

   人間を統御し 支配出来るのだ

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   天に坐(ま)しますわれ等の神・・・・ではなくて

   我が心より生まれ出(い)づる神 

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   人生はほんの些細な事で

   大きな変化にさらされるものだ                                            

   


遺す言葉 172 ラストシーン

2018-01-14 12:51:01 | 日記

          ラストシーン(2016.10.24日作)

 

   婚期の遅れた娘を嫁がせ

   一人だけになった わが家へ戻った

   初老の父親

   無事 一人娘を嫁がせた

   安堵感と寂しさの中 椅子に座り

   リンゴを手にして 皮をむき始める

   一日の婚礼儀式を終えた疲労感が

   父親を襲い

   皮をむき始めたリンゴを手にしたまま

   思わず 居眠りをしてしまう

   リンゴの皮が ポロリと 切れ落ちる

   夕闇迫る部屋の中

   リンゴの皮を拾い

   父親を揺り起こす娘の姿は もう

   この家には ない

   迫り来る夕闇が 初老の父親の

   孤影を色濃く 映し出す

   小津安二郎監督 映画「晩春」

   映画はやがて

   人の世の永遠の営みを象徴するように

   鎌倉の海の

   波の繰り返しを映し出して

   終わる

 

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   睡眠薬に朦朧として

   夜の街に繰り出した 王女

   街角で居眠りをする王女に出会った

   王女とは知らない 通信社の男性記者

   二人の 翌日一日だけの 冒険 気まぐれ行動

   時は過ぎ 一日は終わり 王女は

   記者に送られ

   滞在先の豪奢な建物へ帰ってゆく

   眼を見張る記者 翌日

   王女の記者会見 記者は

   昨日の気まぐれ娘が

   王女と知る 王女は

   集う記者たちの中

   男性記者の「ローマの休日の印象は?」

   質問に答えるーーー

   二人の間に 微妙に通い合い

   微妙にゆき違う 心

   会見は終わり 王女は

   付き人を従え 豪奢な装飾の廊下を歩み去り

   分厚い扉の部屋の中へ 消えてゆく

   茫然としてたたずむ 記者 やがて

   一人残された長い廊下に 心を残し

   王女が消えた部屋とは反対

   宮殿の出口へ と向かう

   王女の消えた分厚い扉の部屋 と

   記者との間に広がる 距離 その間隔

   距離の大きさが 束の間 ひと時とは云え

   互いに心を通い合わせた 二人の

   永遠に結ばれ得ない 運命 距離の大きさを

   鮮明に映し出し 暗示する

   ウィリアム ワイラー監督 映画「ローマの休日」

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   深い余韻を残す名作 二つの作品の

   ラストシーン

   

   


遺す言葉 171 心は旅人 人は小舟 他一篇

2018-01-07 12:41:05 | 日記

          心は旅人 人は小舟(2017.12.10日作)

 

   人は誰もが 言葉を伝える 口を持っている

   人は誰もが 音を聞く 耳を持っている

   人は誰もが 物を見分ける 眼を持っている

   人と人とをつなぐ懸け橋

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   それでも人の心の奥には

   それらの橋を渡り切れない

   闇がある

   心の奥に潜んだ 深い闇

   言葉では 伝え切れずに

   音にはならない

   眼には見えない

   心の奥の永久凍土

   深い闇

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   心は孤独な旅人

   人はそれぞれ大海原の

   波の間に間に

   漂う小舟

 

 

          死(2017.10.25日作)

 

   命とは心

   心は命

   肉体は消える

   心は世代から世代へ 

   受け継がれ

   生き続ける

   心の継承 心が

   失われる時が

   人の死