遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(322) 小説 晩秋(完) 他 絶対的一人

2020-11-29 12:52:27 | つぶやき
          絶対的一人(2020.7.26日作)

   人間は 絶対的一人 の 存在
   人の 死の瞬間を見れば 分かる事
   その死には 他者の 見守る事は出来ても
   介入する 余地は無い
   誰も 吾 一人 吾 の 命を 死んで逝く
   しかし 人間 一人では 生きられない
   絶対的孤独の存在 人間 その人間が
   弧では 生きられない 悲劇 喜劇
   喜び 悲しみ 生の矛盾が 生まれる
   絶対的孤独者 人間 その人間
   いかに他者と折り合い 溶け合い
   生きてゆけるか その
   融合技術 能力 その
   巧拙 高低 が 人の
   幸 不幸 を
   左右する



          -----------------



          晩秋(完)

 晩秋の午後の陽射しは静かだった。
 既に町並の舗道にも、駅前の玉砂利の広場にも、侵略者のような長い影が延びていた。黄色い陽だまりの暖かさの中を、買い物籠を下げて歩いて行く秋子自身の影もまた、例外ではなかった。
 秋子は、そんな自分の影を楽しむかのように、足元を見詰め、その影を踏みしめるようにしながら歩いて行った。

 午後三時四十八分のバスが来るまでには、まだ暫くの間があった。どのみち、停留所で待たなければならなかったが、黄色い銀杏の落ち葉に埋まる広場の隅にある待合室のベンチには、三、四人の地元の人らしい中年、老年の男女の姿が見られた。秋子の見馴れたいつもの光景だった。
 弘志との邂逅など、想像だにしていなかった。秋子が待合室の入り口で立ち止まり、ふと、今、自分が歩いて来た方へ視線を戻して町並を振り返った時、不意に背後から声を掛けられた。
「秋子さん」
 思わず、我に返ったように振り向いた秋子の眼の前に弘志は立っていた。
「高木弘志です」
 秋子は突然の出来事に一瞬、声を呑んだまま、硬直し、言葉が出て来なかった。ただ自失したように驚きの眼で声を掛けて来た男の姿を見詰めていた。
「久し振りですね」
 弘志は屈託のない柔和な微笑を浮かべて、今にも手を差し伸べて来そうな様子で言った。
「分かりませんた」
 秋子には、そう言うより他に出来なかった。
 そして、今、秋子の眼の前に立っているのは、紛れも無い一人の中年の紳士だった。肩幅も広く、胸の厚さも増して恰幅の良い男性に秋子は、昔の弘志を見る事は出来なかった。
「そうですか。でも、僕はすぐ分かりました。秋子さんだって」
 弘志は楽しそうに言った。
 秋子は黙って頷くより外なかった。
 弘志は幼い頃世話になった、「田舎の家」の叔父の七回忌があるので来たのだ、と言った。三回忌の時には海外での仕事とぶつかってしまって来られなかったので、今回はどうしても来たかった、と言う事だった。
「汽車の中で調べ物をしていて、気が付いたら次の駅だったので、慌てて降りて、ほんのちょっと前に、上りの汽車で一駅戻って来たところなんです」
 笑いながら弘志は言った。

 僅か十分か十五分のバス来るまでの間が、次のバスが来るまでの一時間以上の間になってしまった。
 何を話したというのでもなかった。駅前の小さな喫茶店で、話題はあれからこれへ、これからあれへと、取り止めも無いままにはずんだ。無論、秋子が弘志に何も言わず帰って来てしまった事、弘志が自分の胸の裡の鬱屈したものを表現したいんだと言っていた、その夢を実現させた事なども話題に上った。
 初めは自分が突然、帰って来てしまった事への、わだかまりのようなものを抱いていた秋子も、弘志の屈託の無い話しぶりや、幸福そうな現在の姿を見ているうちに次第に気持ちがほぐれて来て、なんの拘りも無く話せるようになっていた。のみならず秋子は、弘志が秋子に感じ取っているかのようにも思える、弘志への懐かしさのような感情さえも同時に抱いていた。
 そんな二人にとって、一時間と少しの時間は長いものではなかった。その間、はしゃぎ合い、笑い合う声さえなかったものの、二人にとっては、充実した満ち足りた時間であった。そして、秋子が弘志の乗ったバスを見送ったのは、既に夕闇が駅前広場に低く霞を棚引かせている頃だった。
 秋子は弘志の乗ったバスを見送ったあと、弘志が向かった、そして秋子の実家のある海辺の村とは反対側の山の手へ向かうバスに乗った。
 バスは乗客も四人のガランとした車内に明かりを灯して田圃と杉林の間に続く道を車体を揺らしながら走った。秋子は揺れる座席に身を任せたまま、十数年振りの弘志との再会を暗くなっているバスの車窓に思い描きながら、何かしら自分でも理解し得ない満ち足りた思いの中にいた。


          五


 秋子が帰った時、松林の中の家はすっかり闇に包まれていた。ガラス戸のガラスの白さだけが冷え冷えとした感触で眼に染みて来た。
 秋子は慌しく玄関のドアの鍵を開け、座敷に上がると電灯を灯した。
 家を出た時のままの座敷が冷たい部屋の沈黙の中に浮かび出た。いつも十畳の間に据えられたままの紫檀の大きなテーブル、その上に放り出されている新聞、編み物の雑誌。午後いっぱいは常に消されたままでいるテレビのブラウン管が冷め切った白さを見せている。カーテンの隙間から見える透明なガラス戸は外の闇を映して動きもしなかった。
 秋子は壁に掛かった結婚祝いに実家の両親から送られた柱時計に眼をやった。
 間もなく五時三十五分になろうとしていた。
 急かれる思いだった。
 夫が帰って来るまでに夕食の支度が出来ているだろうか ?
 夫はこのところ七時前後に帰っていた。
 それまでにお風呂を沸かし、御飯と味噌汁を作り、おかずを作り、家の中が冷え切ってしまわないうちに、雨戸も閉めなければならない。急いで取り入れた洗濯物も畳まなければならない。
 弘志との邂逅に思いを馳せている暇はなかった。ただ、夫がいつもより遅く帰って来てくれればいい、と願った。
 
 秋子が慌しく追い掛けられるように夕食の支度を終え、安堵の吐息を付いた時に夫が、いつものように自転車のブレーキの音を立てながら帰って来た。
 秋子は玄関に出迎えた。
 子供のいない夫婦にとってそれは、新婚以来、変わらない習慣だった。
 夫はまず、風呂に入った。
 秋子は夫の脱ぎ捨てた洋服を洋服掛けに掛け、新しい下着を揃えると夫が風呂から上がるのを待った。
 その後、二人だけの食事が始まった。
 この時間は秋子にとっては最も幸せな時間だった。昼は何時も一人だけの寂しい食事だったし、朝は朝でほとんど時間いっぱいまで床を離れない夫のせいで、落ち着いた食事などしていられなかった。この夜の食事のひと時だけが、夫婦の絆を紡ぎ合うかのようにあれこれ語り合い、くつろいだ気持ちで心ゆくまで時の経つのも忘れて過ごす事が出来た。夫の前には何時もビールの瓶と幾品かのつまみ物があった。
 秋子は当然の事ながら、夫には弘志との再会は話さなかった。話すべき事ではなかったし、話す必要もないと思っていた。総ては秋子の心の内に留めておけばよい事だった。
 夫に対するやましさはなかった。夫に対する愛情は秋子の裡では何一つ変わっていなかった。その愛情に秋子は自信が持てた。夫は秋子にとっては、誰よりも掛け替えのない人だった。二人の間には十数年に及ぶ時間を共に生きて来た強い絆があった。その絆を引き千切る事は誰にも出来ない。これからも秋子は長い人生を夫と二人で生きてゆくだろう。その事には揺るぎのない確信があった。そして、秋子はそれで幸せだった。この静かな松林に囲まれた家で。

「さあ、今夜は早く寝るとするか。毎日、毎日、やれ試験だ。やれ練習だ、じゃあ疲れてしまうよ」
 夫は食後の安逸に倦み果てたように大きな背伸びをすると、屈託無く言った。
「試験の答案調べはしなくていいの ?」
 毎日、夜遅くまで机に向かっている夫を見ている秋子は言った。
「うん、後の分はそんなに急がないんだ」
 夫は時間のゆとりを見い出した幸福感のようなものを滲ませて言った。
 夫が寝室に向かったのは、それから十分程してからだった。
 秋子は食べ散らかした夕食の後の片付けをした後で風呂を済ませ、その体の温もりを冷ますように居間のテーブルに向かって膝を折った。田舎町の夜は既に深かった。まるで遠い地の果てにいるかのように、物音一つ聞こえて来なかった。ただ、時おり落ちる松かさの地面をたたく音だけが聞こえて来た。
 弘志は明日、午後二時十分の汽車で帰ると言った。秋子はだが、その弘志を見送る事はしないだろう。その心は決まっていた。弘志を送るだけの時間は充分にあるのだが。見送らないでこの静かな松林に囲まれた家で一人の時間を過ごすだろう。弘志の最初の小説を眼にした時、最後までそれを読まずに焼き捨てた事を秋子は弘志には話さなかった。秋子に取ってはそれが弘志との間の総てだった。
 寝室からは早くも安らかな夫の寝息が聞こえて来た。
 秋子はその時、なぜか寂しい自分の心の内を意識していた。


         完



          ----------------



          桂蓮様

          コメント 有難う御座いました
          バレエのお稽古 御夫婦共に
          お羨ましい限りです 六十代 
          まだ若いです 人生これからが   
          いろいろな制約から解放されての
          楽しい時ですよ
          それにしても二十四キロ
          映画の中で見るあの広大なアメリカ
          桂蓮様の御文章で実感出来る思いです
          落葉掃き 広ければ広いなりに
          御苦労も多いのですね 頑張って下さい
          コメント 決して不快ではありません
          どうぞ 御気になさりませんようお願いします
          いずれにしても世の中
          謙虚な人はなかなか表に出たがらず
          鼻持ちなら無い傲慢不遜な人間だけが
          幅を利かすものです
          此処は禅の心で何事も気にせず
          他人は他人 吾は吾
          有るけど無い 無いけど有る
          この心でゆきましょう 
          有難う御座いました

          takeziisan様

          有難う御座います
          ブログ 今回も楽しませて戴きました
          秋の京都 プラタナスの新宿御苑
          この季節ならの景色ですね
          それにしても この国日本は
          政治的 社会的には いま一つの所があって
          評価出来ませんが
          国土に関してだけは一級品ですね
          テレビ映像で見る限りに於いては
          この国の国土はまるで宝石の様な
          美しさと輝きを持った国だと
          思います この美しさが何時までも
          持続される事を願わずには
          いられません 
          野菜畑 楽しみがお有りで
          羨ましいです 一年一年
          月日の経過が速くなってゆきますが
          下り坂を走る車や電車と一緒で
          仕方のない事なのかも知れません
          でも人間 楽しむ心さえあれば
          元気でいられるのではないでしょうか 
          どうか お仲のよろしい奥様共々
          お体にお気を付け下さいませ
          いつもつまらない文章に
          お眼をお通し下さる事に
          心より感謝申し上げます

        
 

 
 
 
 





 

 
 
 
   
   
   

遺す言葉(321)小説 晩秋(2) 他 理解するという事

2020-11-22 12:41:52 | つぶやき
          理解するという事(2020.11,15日作)

 やたらに外国語を使いたがる人間は
 それが識者か知識人だか知らないが
 その言葉の根源 源への理解が及んでいないからに違いない
 その物の本質を理解している人間なら 日本に居て 日本人である以上
 日本語で思考しているはずだ
 その物に対する基本的思考をないがしろにして
 何処かの国の横文字書物などから取れ入れた
 にわか知識を物知り顔に披露するからこそ
 日本人としての思考の根源 日本語で表現する事が出来なくて
 借り物言葉の横文字言葉に頼るしか出来ないのに違いない
 真にその物に対する理解を得た人なら 日本語で思考している以上
 日本語で表現するはずだ

 職人は自分が造るものへの知識 理論は知らなくても
 その物が持つ本質はしっかりと理解 把握している
 実業者は借り物ではない自分の言葉でその物の本質を語る事が出来る



          -----------------


         晩秋(2)

 話しは順調に進んだ。その年の秋も早い九月には式を挙げていた。
 当然の事ながら、秋子は弘志には知らせなかった。

         二

 秋子の結婚生活は幸福なものだった。
 二階建ての新居は夫の実家からの贈り物だった。
 明るい松林の中にあって、いかにも新婚家庭にふさわしい清潔感に溢れていた。
 終日、豊かな陽射しが満ちていて、気の遠くなるような静寂が辺りを領していた。
 新婚家庭に伴う当初の煩わしさから解放されると、後には訪れる人もなくて、夫婦二人だけの静かな生活が残された。
 だが、そんな生活も実際には、長くは続かなかった。無論、不幸のためではなかった。夫がすぐにサッカー病をぶり返していて、生徒達の練習や試合などと、監督として、連日、飛び廻って歩くようになっていたためだった。休日と言えども、ほとんど、家庭に落ち着いている暇はなかった。
「うーん、もう。いつも、わたし一人ばかり置いてゆくんだから」
 秋子は度重なる不満から夫を咎めた。
 それでも何処か暢気な夫は、
「まあ、仕方がないよ。これも仕事の内なんだから」
 と、存外平気な様子で笑って言って、取り合おうとはしなかった。
 秋子はしかし、そんな状況に置かれながらも自分が不幸だとは思わなかった。口で言う程に夫を責めていた訳でもなかった。むしろ、生徒を指導する学校の教師として、当然の事のように思っていた。そんな夫が、誠実な人間であるようにさえ思えた。お互いがお互い、それぞれの時間を過ごした後の、ひっそりと心を寄せ合う夜のひと時の時間さえあれば、それで充分に思えた。
 秋子にしても、一人の時間は充分、充実した時間を持つ事が出来た。毎日、まだ新婚家庭の匂いも新しい開かれたばかりの庭に出て、せっせと花の種を蒔いたり、植木の手入れをしたりして過ごしては、時間が来ると、駅のある町まで買い物に出た。時には、ミシンや編み物に向かう事もあって、無聊に陥る事もなかった。
 二人の間には、半年が過ぎても子供が恵まれなかった。夫が秋子に尋ねた時、秋子は頼り無げに答えるよりほか出来なかった。一年が過ぎる頃には、夫や秋子の実家でも心待ちにするようになっていた。
「これも授かりものだから、仕方がないさ」
 夫が生来の暢気さでいてくれる事が秋子には救いに思えた。
 秋子は何時しか馴れていた新婚生活の中で、自分に子供のない淋しさを紛らすかのように、夫の実家の義兄の子供達を可愛がる事を覚えていた。八歳と五歳、三歳と、三人の子供達はそれぞれに秋子に懐いていて、三歳の女の子などはしばしば泊まっていったりもした。秋子もまた、そんな子供達が自分の淋しさを慰めてくれる存在に思えて、子供達のためにせっせとミシンを踏んだり、編み物をしたりして、時の経つのも忘れていた。
 地方都市の小さな田舎町はそうして総てが静かだった。秋子はそんな時間の中で自分が生きている事に穏やかな心の平穏を見い出していた。


          三


 思いも掛けない文字に秋子は眼を見張った。
  
  " 高木弘志 "

 それはいかにも唐突な感じだった。
 秋子にとっては、その文字が眼底を突き抜け、意識の奥底にまで突き刺さって来るかのような感覚を覚えていた。
 咄嗟には、何事も判断出来なかった。混乱の中で眼を見張ったまま、暫くはその文字に見入っていた。

 " 今月の新人小説 高木弘志 「失われしもの」"

 文芸雑誌の広告の中に、大きな文字で書かれていた。
 秋子は激しい胸の鼓動の中で、なおもその文字を見詰めたままでいた。それからようやく、この高木弘志は、自分の知っている、あの高木弘志に違いない、と確信に近い気持ちを抱いていた。あの、自分の内面の鬱屈したものを表現したいんだ、と言っていた高木弘志。
 秋子はその時、改めて過ぎ去った歳月を指折り数えていた。
 既に七年と少しの歳月が流れていた。この静かな田舎町で過ごした時間が今更のように秋子の意識の中に蘇って来た。何事もなく、穏やかに過ぎて逝く時間。秋子はその中で依然として、この、明るい松林に囲まれた静かな家で、庭の花々や植木と共に、夫と二人だけの生活を生きていた。総ては十年一日の如く変わらない穏やかな日々だった。そして秋子は、その生活に別段の不満を抱く事もなく、日々、静かな時間を生きる事にささやかな満足を見い出していた。
 だが、時の経過の容赦はなかった。その間に、幼かった義兄の子供達はそれぞれに大きくなり、中学生、小学生となっていた。
「あれ、俺、もう白髪が出るのかなあ」
 と夫は言うようになっていた。
 今更ながらに秋子は時の経過の残酷さとその速さに驚くばかりだった。

 極めて親しかった人の名前を公の眼にさらされる新聞紙上で見た驚きと喜び。一方でまた、秋子の心の中には、奇妙な淋しさのようなものもあった。
 不意に意識の底から現れた高木弘志、秋子の親しかった人。それでいて、新聞紙上に見る高木弘志の名前とその存在は、秋子には奇妙に遠い感覚でしか掴めなかった。ただ、離れて逝くだけの存在。その遠さだけが実感出来た。常に心の内で何かを求めていたあの人。秋子は既にあの当時から高木との間に、この距離を感じ取っていたのだ、と今更ながらに思わずにはいられなかった。そして、秋子は今、此処に居る。
 二日後、秋子は買い物で町に出た折り、駅前の本屋で弘志の名前の出ている雑誌を求めると、家に帰り、早速、眼を通した。だが、秋子はその小説を最後まで読み通す事が出来なかった。弘志がそこで何を書いているのか、次第に明瞭になって来た。
 秋子は信じたくないと思った。しかし、信じない訳にはかなかった。総てが秋子にとっては明瞭な事実だった。弘志はその小説の中で、過ぎ去った日々に於ける秋子への愛の告白をしていた。
 秋子は思わず雑誌を閉じた。自分の心の中に起こる混乱が恐ろしかった。少なくとも今の秋子は、日々の生活に満足していた。夫と二人だけの穏やかな生活、それは現在の秋子にとっては掛け替えのない日々だった。これ以上、望むものはなかった。ただ、子供さえ恵まれてくれれば、と言う思いのない事はなかったが、総てに屈託のない夫との間では、それも大きな問題ではなかった。このまま総てが静かに流れて逝き、やがて、遠い岸に辿り着く小舟のように二人の間に人生の終わりが訪れる、それだけを願っていた。それで満足だった。今更に、過去でしかない愛の形は見たくはなかった。
 秋子はその雑誌は夫には見せなかった。次の日、夫が学校に出た後、庭の片隅で燃やした。
 再び、秋子が弘志の書くものに眼を通す事はなかった。弘志に対しては、憎しみも恨みも覚えなかった。ただ、総てが忘れられてくれればいい、と願った。
        

           四



 その日、秋子は買い物を済ませると、駅前の広場にあるバス停へ行った。



          --------------
 


          takeziisan様

          有難う御座います
          数々のブログ、拝見させて戴きました。
          相変わらず良いお写真の数々、楽しく    
          拝見させて戴きました。
          晩秋の雑木林、いいですね。この間、テレビで
          武蔵野の雑木林を映していましたが、何か
          昔の武蔵野の面影がなく、失望しました。
          このお写真の中の雑木林の方が余程、
          見応えがあります。
          「君の名は」「枯葉」懐かしいです。
          北沢彪、阿里道子、臼井正明、七尾玲子、
          ラジオ放送を彩った声優達の名前が浮かんで来ます。
          「枯葉」はイブ モンタンが映画「パリの門」
          の中で歌った名曲ですね。わたくしは特に
          日本の歌手、高英男の歌った「枯葉」が好きです。
          何度かステージで聞きました。
          シャコバサボテン、我が家ではまだ咲きません。
          蕾もあまり大きくありません。千葉県は全体的に
          温暖なので、その影響でしょうか。
          いつも有難う御座います。これからもお写真など
          楽しみに致してります。


          hasunohana1966様

          有難う御座います
          「般若心経の空」改めて読ませて戴きました。
          色即是空、有るけど無い 無いけど有る の
          世界ですね。何事に於いても拘りを捨てるという事が
          大事な事なのでしょうけれど、それのなかなか
          出来ないのが人間なのでしょうか。つまり「色」の
          世界をうろうろしている。「無」の世界、空の世界には
          なかなか辿り着けないようです。修行、修行という事
          でしょうか。人生は修行の場、という事のようです。
          「善と悪の裏表」の画、なかなかいいですね。御自身で
          お描きになったのでしょうか。正に禅画です。 
 
 
 


遺す言葉(320)小説 晩秋(1) 他 生きてゆこう

2020-11-15 12:07:23 | つぶやき

          生きてゆこう(2020.2.11.9日作)

 人は どうしてこう 毎日
 辛くて 苦しい時の中 時間を
 生きているのだろう 苦悩と苦痛 困難
 土砂降りの時間の中
 生きているのだろう
 人が生きるこの世の中 世界は
 人 人 人 が 苦痛に耐え 必死に
 困難に立ち向かい 生きてゆくのに価する
 価値を持っているのだろうか ?
 愚かさ 卑劣 傲慢 強欲 無慈悲 無残 残酷
 人の心の負が溢れ 渦巻く この星 地球
 それでも人は 今日も生きている
 生きる心のその奥に 優しさ 労わり 思い遣り
 生きる心のその底に 秘かに そっと 
 そんな思いを 抱(いだ)きながら 遠い未来に
 希望を託し 夢を託し 多くの人が 人々が
 負の色 暗黒 黒の色に染まった世界
 その日々を生きている 必死に 生きている
 生きている
 遠い未来を夢見て 生きている 生きる事 人は
 遠くを見つめるその心 その眼差し
 どんなに辛く 苦しい時でも
 どんなに暗く 淋しい時でも
 その心 その眼差しを 失わない限り 人は
 生きて行ける さあ 今日も行こう
 たとえ どんなに苦しくとも
 たとえ どんなに辛くとも
 たとえ どんなに悲しくとも
 遠い未来 明日に希望を託し 夢を託して
 今日という この 苦しく 辛い時間を乗り越え
 明るい明日を夢に見ながら 夢見ながら
 今 この時 この瞬間 この苦しい時間の中を 
 生きて行こう 苦しいのは 君 あなた
 一人じゃない 愚劣な世の中 悲惨と悪の溢れる
 この世界 皆が皆 苦痛と苦悩の中を生きている
 必死に生きている 苦しいのは
 君 一人じゃない あなた 一人じゃない
 さあ 勇気を出して 力を振り絞って
 生きて行こう 
 涙を拭いて
 生きて行こう



          ----------------


          晩秋(1)

" 突然の事情で、帰らなければなりませんでした。弘志さんにお話しする暇もありませんでした。もう、東京へ出る事もないかも知れません。どうか、立派に御自身の道を進んで下さいませ。陰ながら、心よりお祈りしております。いつまでもお元気でいて下さい。 
                     
                    さようなら 秋子 "

 この秋子の手紙に弘志は

" 結婚するのですね。多分、そうに違いない。僕があまりに惨めで哀れなので、あなたは直接、僕に話す事が出来なかったのでしょう。でも、いいのです。僕はあなたを恨んだりなどしません。仕方のない事なのですから。あなたが居てくれて僕は幸せだった。どんなに慰められたか知れません。でも、もう終わりです。これから僕は当分、あなたの総てが僕の心の中から消えるまで、空漠の人生を生きるのです。何もありません。空っぽです。張り合いという張り合いが総て失われてしまいました。
 さようなら、僕も心からあなたにそう言います。そして、何時までもお元気でと。今の僕には、あなたに何もして上げる事が出来ません。それが残念でなりません。人生は不合理です "

 と、書いて寄越した。

 秋子が弘志に会ったのは、勤め帰りの電車の中だった。その頃、弘志は夜間高校に通っていた。秋子が東京へ出てから一年程が過ぎた頃だった。
 二人は同じ郷里の中学校で同級だった。中学校を卒業すると秋子は世間一般通りに高校へ進んだ。一方、弘志は働くために東京へ出た。
 二人の邂逅は五年ぶりだった。
 弘志はすっかり変わっていた。中学生時代は丸顔のふっくらした、陽気で茶目っ気のある少年だった。それが五年ぶりの邂逅で見る弘志は、何処かに暗い影を宿した、常に何かを思い詰めているような無口な青年に変わっていた。
 無理もなかった。その頃の彼には、東京という大都会で一人で生きてゆくという重荷が、全身に圧し掛かっていたのだった。
 彼の家族は戦争でことごとく亡くなった。父はシンガポールで戦死し、母とまだ幼かった弟妹は東京大空襲の夜に、家もろとも焼け死んでいた。母方の祖母の家に疎開していた彼だけが生き残った。
 少年の頃はそれでも、叔父夫婦や祖母の愛情に育まれて何不自由のない毎日を過ごしていた。しかし、祖母が亡くなり、学校生活を終えて世間に出ると、世の荒波はもろに少年の小さな肩に掛かって来た。
 中学生時代を弘志は優秀な成績で終えていた。高校、大学と目指して当然の頭脳を持っていたが、極一般的な農家で七人の子供のいる叔父夫婦の下では、無理の言える立場ではなかった。叔父夫婦はせめて高校までは、と言ってくれたが、弘志は自身納得の上での東京生活を始めていた。
 東京での就職先は学校で紹介してくれた玩具問屋だった。夜間高校へ通うようになったのは、翌年からだった。
 秋子との間は三年と少しだった。
 自らの力だけが頼りの弘志は高校を卒業すると大学へ進んだ。二人の会う時間はそれでも保てた。
 弘志は大学へ通う傍ら、家庭教師などのアルバイトを掛け持ちし、生計を立てていた。二人の会う時間は必然的に、週に一度、或いは二週に一度というように限られた。それでも会えばお互い心が弾んで、喫茶店などでの取りとめのない会話で時間が過ぎた。
 弘志は何時からか、自分の内面の鬱屈するものを表現したいんだ、と言って、文学の道を志すようになっていた。
 秋子にはだが、それが、何処か遠いところの物事のような気がして、興味を持って聞きながらも、深く入り込んでゆく事は出来なかった。
 それでもなお二人の間には、幼い頃から育まれて来た強い信頼感のようなものが存在していて、それの崩れる事はなく、会えば心が満たされた。
 そんな二人の間に影を落として来たのが時間の経過だった。
 当然の事のように秋子の身の上に降りかかって来たのが年齢の問題だった。
 当時、秋子は伯母の家に厄介になっていて、話しはそのお膝元、伯母の口から出て来た。
「秋ちゃん、あなたどう、お見合いしてみる気はない ?」
 秋子自身は今まで考えてもみなかった事だった。突然の伯母の申し出に秋子は戸惑うのと共に、これまで弘志と過ごして来た時間の中で自分が何時までも中学生時代のままでいる自分に気付いた。
 秋子も東京へ出て来てから既に四年が過ぎていた。まもなく二十四歳になろうという年齢だった。なんとなく気乗り薄な気持ちで聞いて、その見合い話しは断っていたが、正月に田舎へ帰ると今度は父が、
「何時までも伯母さんの所に厄介になっている訳にもゆかないだろう。何時かは結婚しなければならないんだし、こっちへ帰って来て、その準備をする気はないのか」
 と聞いて来た。
 秋子はその時、淋しい自分の心の裡を自覚した。

 正月三が日が終わると秋子はまた、東京へ戻った。
 弘志は田舎へも帰らなかった。一人で東京で過ごしていた。
 そのあと、最初に弘志に会った時、既に秋子の心の裡には微かな変化が生じていた。秋子はだが、弘志には何も話さなかった。

 秋子が郷里へ帰ったのは、それから半年後だった。弘志には一言も胸の裡を明かさなかった。弘志が書いて来たように、結婚の目的があっての事てはなかった。ただ、何かの均衡が秋子の胸の裡で崩れていた。それが何なのかは、秋子には分からなかった。ただ、弘志が限りなく遠くに感じられた。

 秋子は実家へ戻ると、正月に帰った時には父の話しに反発に近い感情を抱いていたはずだったのに、自分から進んで結婚の為の準備を始めた。東京の伯母の元で勤めの間に全う出来なかった華や洋裁、和裁、編み物、料理などの習い事を新たに始めた。地方都市の静かな田舎町でひっそりと生きてゆく自分に秋子は満足を見出していた。

 それからほぼ一年後、初めての結婚話しが持ち上がった。相手は駅のある町で材木問屋を営む、裕福な家の三男坊だった。近くの中学校の教師をしていて、東京の大学にいた時分には可なり名の通ったサッカー選手だったという事だった。それがある実業団チームに入団して一年目に怪我をして、サッカー選手としての再起の望みを断たれた時、きれいさっぱりと諦め、郷里へ帰って中学校の教師になったとの事であった。秋子よりは四歳年上だった。まだ足に多少の怪我の後遺症があって、軽く引き摺るような所があったが、見た眼にも気にならなかった。秋子は勧められるままに、駅に近い町の料亭で見合いをした。 



          ----------------


          桂蓮様

          度重なるコメント、有難う御座います
          かなり、御苦労なされた御様子ですが、
          でも、過去は過去、現在の私はこうして今、
          生きている。これが私自身の今現在の姿、
          今が良ければ総て良し、過去は再び戻らない。
          そう割り切って生きてゆくより
          仕方がないのではないでしょうか。
          幸い、現在の桂蓮様は御主人様とのお仲も
          羨ましい程にお宜しいご様子で、どうか、今の
          御幸せを大切になさって下さいませ。
          今が良ければ総て良し、過去の苦労は、
          現在の幸福を築くための下作業だったのだ、
          そう思えば過去の苦労も無駄には思えなく
          なるのではないでしょうか。禅にも
          「即今」という言葉があります。今が総て
          過去、未来、関係なし。今が総て。
          何時も愚にも付かない文章にお眼をお通し戴き
          有難う御座います

          今回のブログも好いですね。
          今の世の中、何事も広告宣伝なしでは
          成立しないようです。それならそれで、
          自分自身をしっかりと確立して対処する。
          それ以外、ないようです。
          お写真の滝、いい滝ですね。
          気持ちがすっきりします。



          takeziisan様

          コメント、有難う御座います。
          読書好きのtakeziisan様に
          そう仰って戴きますと、
          張り合いも一入です。
          「海辺の宿」では、九十九里浜への
          限りない郷愁と共に、人間の生きる事の
          寂しさのようなものを書いてみたいと思いました。
          もし、それが少しでも、お伝え出来ていれば
          幸いなのですが。
         
          ブログに溢れる数々のお写真、いつも楽しくわくわく
          する気持ちで拝見させて戴いております。
          どのお写真も、色彩の美しさに魅了されます。
          これからも季節ごとの美しい景色の拝見出来ます
          事を期待しておりますが、どうぞ、御無理のない
          範囲でお願い致します。
          野菜の植え付け、収穫、なんだかだと仰りながら、
          文字の上からわくわくしている御様子が伝わって来ます
          羨ましい限りです。
          有難う御座いました。

          


          
 
 
 
 



 
  
 

遺す言葉(319)小説 海辺の宿(完) 他 三つの不思議な出来事(3)

2020-11-08 12:47:13 | つぶやき
          三つの不思議な出来事(2010.7.31日作)
               (3)
  
   わたしは根底に於いて
   霊魂の存在を信じない  
   人は死によって 総ての幕を閉じる
   生きている時が人の華
   死は人の総てを奪い取ってゆく
   ただ一つ その人が
   生前に生きた心だけは
   のちの世界を生きる人たちの
   心に伝わってゆく
   今を生きる人たちが
   亡くなった人たちの霊前に 花を供え
   食べ物 飲み物を供えるのも
   その人が生前生きた心を
   今を生きる人たちが 受け継ぎ
   のちの世界を生きる人たちに 繋いでく
   その意志の表れにほかならない
   心の伝承だ
   死の世界は無
   花を供えても 供物を供えても
   死の世界の人たちに
   通う事はない
   その人たちが生きた 心
   その姿 それのみが
   のちの世界を生きる人たちの心に残り
   伝わるのだ
   
   わたしの父は十七年前に
   母は四年前に亡くなった 
   わたしはその時 一人で
   父や母と暮らした家に住んでいた
   母が亡くなった翌年 夏
   盆の入りだった
   夕食を済ませたあとわたしは 暑さに辟易して
   片付け物もせずに横になっていた すると
   いつの間にかうとうとしていた その時間が
   どれ程だったのかは分からない 
   わたしは急に 背中の辺りに
   ざわざわとした人の気配を感じて 同時に
  「そんな所に寝ていないで 早く片付けちゃえば」
   と言う 人の声を聞いて 慌てて飛び起きた
   当然ながらに 部屋の中には誰も居なかった 多分
   浅い眠りがもたらした
   夢の中の出来事であったに違いない そして
   その言葉を掛けて来たのが 
   父であったのか 母であったのか それも
   分からない
   ただ その時わたしは 確かに
   背中の辺りに ざわざわとした
   人の気配を感じて その言葉を聞いていた それは
   夢の中の出来事とは思えない 
   確かで 強烈な 現実感を伴って
   わたしの感覚を捉えて来た 
   その感覚は 今でもなお 
   わたしの心の中に残っている
   
   わたしは霊魂の存在を 今なお 信じない
   しかし この時起きた この現象は
   いったい なんであったのか
   夢の中の出来事と言うには 
   余りにも生々しい現実感覚が
   今もって わたしの不思議を誘う



          -----------------


          海辺の宿(完)


「--女将さんが此処へ来て長いんですか ?」
 男はなんとなく、女将さんへ寄せる老人の思いのようなものを感じ取りながら聞いた。
「ええ、それはもう、女将さんが二十代の頃だったと言いますから・・・・。でも、旦那もいい人だったんで、女将さんは此処へ来てからは幸せだったんじゃないですか。たとえ、家庭は持てなかったにしても。この宿も女将さんのものとして残してくれたし」
「そうですか」
 男は静かに言ってウイスキーのグラスを口に運ぶと、すぐにカウンターに戻して言葉を継いだ。
「三時頃、雨が上がったんで散歩に行ったんです。そしたら、松林の中に偶然、墓地を発見して、そばへ行ってみると雑草の黄色くなった中に真新しい墓がありました。花や線香に飾られていて、ああ、これがさっきの人のお墓なんだ、と思いました」
「ああ、あの丘の上の・・・・」
 老人は微笑んで頷いた。
「ええ、海の見える松林の中の」
「そうですか。女将さんにしてみれば、年々、衰えの度合いを増して、話す言葉も不自由になってくる妹さんが亡くなって手が掛からなくなり、ほっとしただろうとは思うものの、やっぱりこの世でただ一人の肉親を亡くして淋しかったに違いありません。あの雨の降る墓地にいつまでも一人で立ち尽くしていました」
 老人は言った。その眼がうるんでいた。
 男も女も何も言わなかった。
 宿全体を包むかのように波の男が響いていた。
 男はグラスを手に取ると、底に残っていたウイスキーを口に空けた。
 女はカウンターに置いたブランデーのグラスに手を掛けたまま、黙っていた。
 老人は男の空になったグラスを眼にして、
「注(つ)ぎますか ?」
 と聞いた。
「ああ、どうも」
 老バーテンダーが男のグラスにウイスキーを注いだ。
 老バーテンダーはウイスキーの栓をするとうしろの棚に戻した。振り返ると、
「あの墓地には、わたしの家内も眠っているんですよ」
 と、なぜか嬉しげなほほ笑みを見せて言った。
 今度は男が虚を突かれたように言葉を呑んだ。
 女は顔を上げて老人を見た。
「わたしの家内も死んで、もう八年、いや、九年になりますかなあ」
 と老人は、やはり静かなほほ笑みで言った。
「この村で亡くなったんですか ?」
 東京のホテルで働いていたという老人の言葉を思い出しながら男が聞いた。
「はい、そうです」
「じゃあ、今は ?」
「一人です。一人でここから三百メートルほど離れたところにある家に住んでせいます」
「お子さんは ?」
 女が尋ねた。
「子供はいます。もう、それぞれに独立して、三人の子供が東京にいます。孫もいます。でも、わたしは子供達のところへは行かないんですよ。いえ、仲が悪いわけじゃありません。上二人が男で、一番下が女なんですがね、自分で言うのもなんですが、それぞれによく出来た子供達なんですよ。でも、わたしは子供達のところへは行かないんです。年寄り一人をこんな田舎に置いておくのは心配だから、来い来いと言ってくれているんですがね」
 老人は話しをするのが楽しいらしかった。自分から進んで話した。
「この村は家内の故郷なんです。家内の故郷と言っても、とっくに実家の代は変わってしまいましたがね。家内の兄も、もう死んでしまって、その子の代で、それも間もなく変わろうとしているところなんです」
「奥さんは、何で亡くなられたんですか ?」
 男が聞いた。
「胸の病気でした。しばらく東京の病院に居たんですが、一時的に良くなると、急に故郷のこの村へ帰りたいと言い出しましてね。当時、わたしもまだ、ホテルに勤めていたんですが、そろそろ歳でもあるし、家内がそれ程までに言うんなら、と思って、此処へ来た訳なんです。でも、此処へ来ると家内は、二年と経たないうちに死んでしまいました」
 老人は遠くを見る眼をした。すぐに思い直したように言葉を継いだ。
「生前、家内は口癖のように言っていたんです。もし、わたしが死んだら、あの海の見える墓地に埋めて下さい、あそこにはわたしの両親も眠っているんですってね。家内にはもう、分かっていたんですよ。たとえ、病気が一時的に良くなっても、自分の人生が長くはないって事がね。それで、あんなにも故郷へ帰りたがっていたのに違いありません。そして、ある朝、なんの苦しみもせずに死んで逝ったんです。そばに寝ていたわたしに気付かれもせずに。わたしは家内の言葉通り、あの墓地に家内を埋めてやりました。以来、わたしはずっと家内の墓を守りながら、今日までこうして生きて来たような訳なんです。ですからもう、子供達のところへ行こうとも思わないんですよ。わたしは女将さんに頼んであるんです。もし、わたしが死んだら、家内の遺骨と一緒にあの海の見える墓地に埋めて下さいとね。その為の準備ももう、すっかり出来ているんです。女将さんは親切な人なんです。わたしが家内に死なれて独りぼっちになってしまった時、わたしが東京のホテルに居た事を知って、人手が必要でもなかったのに、気晴らしの為に、ここに来て働くようにって言ってくれたんです。わたしは初め、御迷惑をお掛けしてもと思い、辞退したんですが、あまりに熱心に誘ってくれるもので、ついつい、こうして今日まで御厄介になってしまったという訳なんです」
 老人は話し終えると満足気な表情を浮かべて微笑んだ。
 玄関入り口広間の時計が一つだけ、ゆっくりとした響きで時を打った。
 波の音が相変わらず、宿全体を包み込むかのように聞こえていた。
「いや、失礼しました。ついつい、老人の愚痴などをお聞かせしてしまいまして」
 老人は時計の音で我に返ったように言った。

          四

 女は先にバーを出た。
「おやすみなさい」
 と、老人は言った。
 男が部屋へ帰った時、女はソファーに掛け、膝を毛布でくるんで編み物をしていた。男がドアを開けて入っていっても顔を上げなかった。
 男はそばへゆくと、
「なにを編んでいるんだい ?」
 と聞いた。少し、酔っているようだった。
「セーターへよ」
 女は顔も上げずに言った。
「誰のセーターだ ?」
 男は編み物の針を運ぶ女の手元に視線を向けて聞いた。
「誰のものでもないわ」
 女は乾いた声で言った。
「誰のものでもない ? 男物だな」
 男は編み物を覗き込むようにして言った。
「あなたのではないわ」
 女は素っ気無く言った。
「誰かに遣るのか ?」
 男はなお、執拗に聞いた。
「誰にも遣らないわ」
「誰にも遣らない?」
「ええ、誰にも遣らないわ。当てなんてないわ」
 女は毛糸の玉をずらしながら言った。
「バカだよ」
 男は軽く言った。
「なぜ ?」
 女は静かに聞いた。
「死にに来て、セーターを編んでいるなんてバカだよ」
 女は黙っていた。それから、
「そうね」
 と言った。そして、また黙った。
 男も女も何も言わなかった。相変わらず夜の中に響く波の音だけが聞こえていた。
 夜は深かった。
 宿の中には物音一つなかった。あの老人はもう、帰ったのだろうか ?
「おれは明日帰ろうと思う。きみはどうする ?」
 男は長い沈黙のあとで言った。
「先に帰って下さいな。わたし、あとから帰ります」
 女は編み物に視線を落としたままで言った。
「きみはこれから、どうするつもりなんだ ?」
「分からないわ。よく考えてみたいと思うの」
 女は言った。

          完



       ーーーー-----------------



       takeziisan様

       有難う御座います
       秋一色 いいですね
       小山田緑地公園 こういう環境がお近くにあって
       いいですね わたくしの家の前にも大きな公園が  
       ありますが 街中の公園 とてもこのような訳には
       ゆきません
       竹林 わたくしの居た田舎の家にも竹林があり
       しばらくの間は筍の季節になると 兄妹みんな揃って
       採りにいっていましたが そこも今では太陽光発電の
       パネルが置かれています
       おすそ分け なんだか楽しそうですね
       浮き浮きした様子が眼に浮かびます
       河口湖 お近くなのでしょうか
       もう 三年ぐらい前になりますけど 家族で
       旅行した事があります 遊覧船にも乗りました
       朝になってカーテンを開けると眼の前に大きな   
       富士山がデンと控えていてびっくりし
       喚声を上げた事を覚えています しかも
       その姿が わたくしの家の屋上から見えるその姿と
       全く同じで一層 感動した事でした お写真を拝見して 
       懐かしく思い出しました
       でも 短い旅行ゆえ このような隠れた小さな景色は
       見る事がありませんでしたので このお写真は新鮮です 
       奥様は何処かお悪いのでしょうか
       病院通い大変な仕事で どうぞ お体にお気を
       お付け下さい



       桂蓮様

       有難う御座います

       大統領に関する御文章 拝見しました
       わたくしの考えていた事と何一つ違いません
       実は 今までテレビの大統領演説を見ていたところです
       今度の選挙にはわたくしも アメリカの事ながら    
       非常に気をもみました 普段 あまりテレビを見ないのですが
       今回だけは 選挙結果が気になって ニュースの時間になると
       しきりにテレビを点けていました
       トランプ現大統領には 大統領としての見識も資質も
       品格もありません 滅茶苦茶な大統領で 
       この大統領がこれからもアメリカ政治を指揮する
       のかと思うと息苦しくなる程でした とりあえず今度の結果に
       安堵しています これで世界を滅茶苦茶にされる事も
       なくなるのではないでしょうか
       とりあえず桂蓮様と共に喜びを分かち合い 
       祝杯を挙げたい気分です
       有難う御座いました

       (女性のハリス副大統領 この人は
       いいですね 頭も切れそうですし
       実はわたしは バイデン大統領よりも 密かに
       評価しています それにしても 二人とも
       演説が上手いです 日本の政治家の紙を見ながら
       くちゃくちゃ 口の中で言葉をこね回すような
       演説とは訳が違います 自分の言葉を持っている
       という事です)
 



 
   
   
   

遺す言葉(318)小説 海辺の宿(4) 他 三つの不思議な出来事(2)

2020-11-01 11:51:56 | つぶやき
          三つの不思議な出来事(2010.7.31日作)
                      (その2)
 

 戦後しばらくは
 この国は まだ貧しく
 国民一人一人が貧しさから抜け出す為に
 必死に働き 懸命に生きて来た
 その頃 わたしたち家族は
 東京大空襲で深川の家を焼かれ 
 千葉県の田舎 母の郷里に身を寄せて
 生活していた 父一人が
 仕事の関係で東京に住み
 十日に一度の休日にだけ わたしたち
 家族のもとへ帰って来た
 そんな不便な生活が続く中で ある時
 父がひと月ほど 帰って来ない事があった
 電話も不便な時代で 父に何があったのか
 知る手立てはなかった
 当時 田舎の家には母と わたしたちの祖母
 わたしたち兄妹六人の 計 八人が暮らしていた
 田舎に居ても 農業をしていなかった一家は
 父の収入のみが頼りで
 その父が帰って来ない事は わたしたち一家の
 収入が途絶える事であった
 母は父に何が起こったのか 心配したが
 連絡を取る術はなかった
 母はある日 意を決して 父に
 会いに行く事にした
 十日に一度の休日の前日 母は
 生まれて間もない末の妹を背負い
 四歳だったか 五歳だったかの弟の手を引き
 父に会いに行く為に家を出た
 交通事情も不便な時代だった
 東京へ行くには汽車で行き 途中 
 千葉駅で乗り換えなければならなかった
 母は その乗り換え駅で汽車を降り
 ホームを歩いて 上りの電車が出るホームへ
 行こうとした その時 父は偶然
 下りの田舎へ向かう汽車の中に居て
 ホームを歩いて行く母の姿を発見した
 父は母に声を掛けた
 そこで二人は すれ違う事なく
 無事 出会えた この偶然
 もし 一分でも あるいは
 三十秒でも 父と母の間に 出会う為の
 " ずれ " が生じていた時には 二人が
 出会う機会は失われていた事だろう
 人の動きの激しく 慌しい乗り換え駅 その
 ホームでの出来事だ その中から
 父はどのようにして 母を見つけ出し得たのか
 母はなぜ 父の眼に留まるような場所を歩いていたのか
 この偶然 偶然としか言いようのない この
 二人の出会いの中には いったい
 どんな力が働いていたのだろう 何が
 人の往来の激しい駅のホームで
 二人を引き合わせる偶然を創り出していたのだろう
 わたしには この偶然の持つ不思議を
 思わずにはいられない



          ---------------



         海辺の宿(4)

 女は編み物の針を動かし続けていた。
 男は所在無いままに畳に腹ばいになり、雑誌を開いていた。 
 女は、今は窓辺に立っている男の声で始めて我に返ったように、編み物に向けていた視線を上げた。
「お散歩 ? ああ、雨が上がったのね」
 窓の外に眼を向けて女は言った。
「うん」
 二人は眼を合わせなかった。
「あなた、行って来たら。わたしはいいわ」
 女は編み物を手から離す時間が惜しそうだった。
「じゃあ、一人で行って来るか」 
 男はなんのこだわりもないように言った。
「雨上がりのあとの晴れた景色って新鮮でいいわ」
 女は早くも編み物に視線を戻していて言った。
 男は黙っていた。
「何処へ行くの ?」 
 編み物から眼を離さずに女が聞いた。
「分からない。その辺を歩いて来る」
「雨でまだ、草が濡れているから気を付けたほうがいいわよ」
「うん」
「秋の午後の陽射しって寂しいものよ」
 男は黙っていた。
「わたし、嫌いだわ」
 男は不満そうに黙っていた。
 女は無言で編み物を続けた。
「じゃあ、行って来る」
 と男は言った。
「ええ」
 と女は言った。顔を上げて男を見送る事もしなかった。
 
「あなた、帰らなくていいの ?」
 夕食が済んだあと、女が心配そうに聞いた。
「そのうち帰るさ」
 男はソファーに掛けて煙草を吹かしていた。
「いつ帰るの ?」
「分からない。明日にでも帰ろう」

          三

「下の食堂にいい洋酒のビンが並んでいた。行ってみないか ?」
 すでに九時を過ぎていた。宿の門灯も消されていた。葬儀があったせいに違いなかった。宿中がひっそりしていた。
「呑むの  ?」
 女が聞いた。
「うん。こんな田舎の宿に、あんないい洋酒のビンが並んでいるなんて、珍しいじゃないか」
「でも、まだ、やっているかしら ? お葬式があったりして」
 女は相変わらず編み物を手にしていた。
「さっき、前を通ったら明かりが点いていた」
「そう」
 女は編み物に眼を落としたまま、気のないように言った。
「きみも付き合えよ。もう一緒に呑む機会もないかも知れない」
「そうね」
 女は気の進まない様子だった。
「あとから来いよ。先に行ってるから」
「ええ」
 女はやはり気のないように答えた。

 食堂にはテーブルが十脚ほど並んでいた。
 左手奥にバー形式のカウンターがあった。中の棚には様々な洋酒のビンが並んでいた。
 小柄な老人が背中を見せて洗い物をしていた。男が珠すだれをくぐって入る気配に気付いて、老人は振り返った。
「いらっしゃいませ」
 老人は静かに言った。
「こんな時間でもよろしいですか」
 男は尋ねた。
「はい、どうぞ」
 老人は穏やかに言った。
「お葬式などがあったので、どうかと思ったんですけど」
 男はカウンターに歩み寄りながら言った。
「はい、大変、御迷惑をお掛けしました」
 老人は小さく、ゆっくりと頭を下げた。白い上着に黒の蝶ネクタイ姿だった。どこかに垢抜けした感じがあったが、上着にもネクタイにも時代を経た古色が滲み出ていた。
「亡くなったのは宿の方ですか ?」
 男は老人の近く、カウンターの前の丸椅子に腰を下ろしながら聞いた。
「はい、女将さんの妹さんです。長い事、患っていたんですが・・・・」
 老人は静かに言った。それから「どうぞ」と言って、男の前に湯気の立つ小さなタオルを置いた。
「ああ、すいません」
 男はそれを手元に引き寄せた。
「なにか、呑みますか ? それとも、お食べに ?」
 老人はカウンターに両手を置いたままで聞いた。
「呑む方にします」
 男はタオルを使いながら言った。
「そうですか」
 老人は納得顔のほほ笑みを浮かべた。
「いい洋酒が揃ってますねえ」
 男は棚に並んだ様々なビンに視線を走らせながら言った。
「はい、旦那が来ていた頃からの習慣で、ものだけはいいものを揃えています」
 老人は得意気に言ってから、
「なにをお呑みになります ?」
 と聞いた。
 男は日頃から好んでいるウイスキーの銘柄を言ってから、「ロックで下さい」と注文した。
「かしこまりました」
 老人はすぐに丸くなった背中を見せて棚に向かった。
「旦那って、この宿のですか ?」
「はい、そうです。亡くなってからもう六年になります」
 老人は背中を見せたままで言った。
「この土地の人ではなかったんですか ?」
 老人が言った、旦那が来ていた頃・・・という言葉にこだわって男は聞いた。
「はい、東京の方だったんです」
 老人は再び振り返って男の前にグラスを置くと、中に氷を入れてウイスキーを注(つ)いだ。
「お邪魔します」
 女が珠すだれを分ける音をさせながら入って来た。
「ああ、奥様、いらっしゃいませ」
 老人はにこやかな笑顔で迎えた。顔馴染みに向ける眼差しだった。
 女はすぐに男のわきの椅子に腰を降ろした。
「お呑みになりますか ?」
 老人はすぐ聞いた。
「はい、戴きます」
 二人の間でいつも交わされているような遣り取りだった。
「いつもので宜しいですか ?」
「はい」
 女は物慣れた口調で答えた。
「いつも呑んでいたの ?」
 男は女に聞いた。
「ええ、ときどき」
 女に悪びれる様子はなかった。
「奥様は女らしいセンスを持った方です」
 と、老人は言った。
「ウワバミですか ?」 
「とんでもないことです。とてもセンスの宜しい方です。洋酒の心というものを知っています。わたしも長い事、東京のホテルでバー勤めをしていましたから、多少の知識は持っているつもりです」
「暁ホテルのバーに四十年もいたんですって」
 女が言った。
「ほう」
 と、男は感心したように言った。「いつ頃までいたんなですか ?」
「もう、辞めて十年以上になります。昔の事ですよ」
 老人は過ぎ去った日々への追憶を拒むかのよう、乾いた口調で言った。
「そうですか」
 男はなぜか満足気な様子で頷くと、
「この宿の旦那っていうのは、暁ホテル関係の人だったんですか ?」
 と聞いた。
「いえ、違います。耐火煉瓦などを造る会社の社長でした。いい人だったんですよ。それで、今でも昔のお仲間が社長を偲ぶようにして来てくれますので、このバーも社長の健在だった頃のままにしてあるんです。もともと、ここは釣り宿だったんですが、釣り好きの社長が買い取って今のような宿にしたんです」
「・・・ああ、もう十時だわ」
 女が玄関の広間の大時計がゆっくりと十時を打つのを耳にして言った。
「今夜は女将さんも疲れてしまって、早く自分の部屋へ入ってしまいました」
 老人は女の言葉に答えるかのように言った。
「亡くなった妹さんという人は・・・、お幾つぐらいだったんですか ?」
 男がウイスキーのグラスを手に、思い付いたように聞いた。
 老人はふと、思いも掛けない質問を受けたように、戸惑いの表情を浮かべたが、それでもすぐに、ゆっくりと答えた。
「五十歳をちょっと過ぎていたと思います」
 老人はそう言ってから一呼吸置いて、亡くなった人を偲ぶかのように、
「仲のいい姉妹だったんですよ。妹さんは若い頃からの脊髄の病気で、ずっと寝たままでした。それで女将さんが面倒をみていたようなわけでして」
 と言った。
「・・・女将さんって言うのは ?」
 男は朝方、挨拶に来たとき眼にした、何処か垢抜けした感じの女将さんを思い浮かべながら遠慮がちに聞いた。
「東京の人でした。旦那と知り合って、ここへ来るようになったのだ、と言ってました」
 老人はそう言ってから、すぐに言葉を続けた。
「考えてみれば、女将さんも不幸な人なんですよ」
 と、言わずもがなの事まで言った。さらに続けて、
「幼い頃に戦争で両親を亡くし、それ以来、ずっと一人で病気の妹さんを守って生きて来たっていうんですから。それこそ、若い時分には妹さんの病院代を稼ぐために、人に後ろ指を差される事のない仕事なら、どんな仕事もして来たって言っていました。それが旦那と知り合って此処へ来るようになって、ようやく落ち着く事が出来たっていう事です。それだけに妹さんも女将さんの苦労は分かっていて、亡くなる時には、お姉さん、長い間有難う、と言って亡くなりました。それが最後の言葉でした」
 老人は姉妹の人生を思い遣るかのように、しみじみとした口調で言った。



          -----------------



         桂連様
         コメント 有難う御座います
         御主人様との御旅行 お羨ましい限りです
         なんだか コロナは人の生活を滅茶苦茶に
         していますね 全く 困ったものですが
         これが人が生きる世界の現実というものなのでは
         ないのでしょうか 何事も自分の思い通りには
         ゆきません 結局 こつこつ地道に生きる それしか
         人に出来る事はないのではないのではないでしょうか
         経験する 禅の世界では自分の体で
         体得したものしか認めません 直視(じきし) 直感 
         理論や理屈は禅の世界では通用しません
                 「一棒を喰らわす」座禅で心が乱れた時打たれる
         あの棒 理屈で教えるより 直接 体で教える
         まさに修行です
         桂連様のおっしゃる通り 地道に修行 稽古をして
         経験し 会得する事が 真に「知る」という事に
         繋がるのだと思います 理論 理屈はあくまでも
         「知識」にしか過ぎません
         人の居ない家というものは淋しいものです
         本当に二、三日留守にするだけで暗くなってしまいます
         庭の落ち葉掃除 いいですね
         そんな生活がしてみたいものです
         何時もお読み下さいまして 有難う御座います


         takeziisan様

         有難う御座います
         今回もいろいろブログ 拝見させて戴きました
         ショーン コネリー亡くなりましたね
         ポンド物は見てないのですが 他の作品では
         しばしば眼にしていました ポンド役で
         イメージが固定してしまう事を嫌がり
         降りたという事ですが 後の作品群では
         性格俳優として いい演技を見せていました
         昭和記念公園のお写真 巣篭もり状態の近頃
         すっきりと心が洗われるようです
         コスモスの花はわたくしの大好きな花です
         お母様の亡くなられた事を読んだ句
         わたくしも実際に経験しています事なので
         直に 心に響いて来ます 良い句ですね
         野菜の収穫 いいですね 見ているだけで
         楽しくなります 羨ましいです
         その他 いろいろ拝見させて戴いておりますが
         余り下らない文章にお引止めするのはと思い
         打ち切ります
         これからもよいお写真 御文章 お待ちしております
         くれぐれもお体はお大切に