遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(492) 小説 希望16) 他 多様性

2024-03-31 12:10:55 | 小説
             多様性(2024.3.25日作)


 人にはそれぞれ その人なりに
 持って生まれた運命 人生 世界がある
 その運命 人生 世界が 他者に害を与え
 不正なものでない限り 他者は
 その人の運命 人生 世界を 軽んじ 嘲笑
  軽蔑する事は許されない
 この世界 人間社会で 人の為に尽くし 尽力
 その尽力に成功した人は それなりに評価
 賞賛されて然るべき それでもなお
 尽力 人の為に尽くす事の出来ない人 その人を
 無能 無益 と批判 批難する事は許されない
 人 おのおの それぞれ それなりに独自の世界
 運命 個性を持って この世に生を受け 生きている
 その個性 独自性 他者に無いもの 人間社会 
 この世に存在する人の数だけ 存在する
 多様性 豊かな森は 樹一本では生まれない
 多様性 多様な樹々 その密集
 密集する樹々の一本一本 おのおの それぞれ
 各個が持つ個性 独自性 その一本一本が
 豊かな森を生 み 育む
 人の社会 この世界 人それぞれ おのおの持つ個性
 その個性 独自性が育む人の森 人間社会
 豊かさ 深さ 厚さ 堅固さ 人それぞれ おのおの
 各自が持つ個性 独自性によって 揺るぎない 人の森
 人間社会が形成 形作られる
 人 それぞれ 各個が持つ個性と独自性 その尊重
 多様性の失われた世界 やがて衰退 消滅 へ




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              希望(16)




「みんな、きれいな子ばっかりね。こんなの見てたら我慢出来なくなっちゃうでしょう」
 女将さんはそう言って再び熱に潤んだような眼差しを修二に向けた。
 修二は羞恥で赤くなった。
 女将さんはそんな修二に、
「でも、若いんだもの、しょうがないわね」
 と言って、微笑みと共に修二を見た。
「アダルトビデオは無いの ?」
 そう言ってから女将さんは部屋の中を探す様に周囲を見たが何も無かった。
「無いみたいね。あれば一緒に見られたのにね」
 と、意味ありげに言って再び修二を見た。
 修二は赤くなって身体を堅くしたままでいた。
 女将さんはその修二には構わず、
「あんた、夜は何処へも出ないの ?」
 と聞いた。
「はい」
 そう答えただけだった。
「今夜、わたしここに泊っちゃおうかな」
 女将さんはまるでからかうかのように依然として、意味ありげな眼差しを修二に向けたままで言った。
 修二は息が詰まった。
 何時だったか、鈴ちゃんが「女将さん、修ちゃんの所へ行かない ?」と言った時の言葉が途端に思い出された。
「なんだか、帰りたくなくなっちゃったの」
 微笑み掛ける女将さんの眼が潤んでいた。
 修二は突然の思わぬ言葉に狼狽した。その狼狽のまま、
「駄目ですよ。俺、困りますよ」
 と、思わず言っていた。
「あら、どうして ? 大丈夫よ。今夜、うちの人、帰って来ないから」
 女将さんは修二を説得する様に言った。
「違いますよ。そんな事じゃないんですよ」
 強い口調で言っていた。
「じゃあ、何故 ? どうしてなの ?」
 女将さんの眼差しも真剣みを帯びていた。
 修二には咄嗟には答えられなかった。
「怖いんでしょう。あんた、初めてで怖いんでしょう」
 女将さんは修二を追い詰める様に言って、なおも熱のこもった熱い眼差しで修二を見詰めた。
「違いますよ !」
 修二は投げ捨てる様に言った。
「大丈夫よ、わたしが教えてあげるから」
 女将さんは昂ぶる気持ちを抑え切れなくなった様に言って修二の方へ身体を寄せて来た。
「違いますよ ! そんな事じゃないんですよ。帰って下さい。俺、困るから」
 怒りの感情に捉われたまま修二は厳しい口調で言っていた。
 女将さんはそれで漸く修二の本心を理解したようだった。修二を見詰める眼差しがみるみるうちに憎悪に満ちて来た。
「何よ ! 意気地なし。せっかく心配して来てやったのに !」
 女将さんの声は怒りを含んで涙声になっていた。
 その声の震えに気付いて修二は我に返った。
 女将さんに強い言葉を返した事に心の痛みを覚えた。
 その痛みに耐えるように呆然としてその場に立っていた。
「いいわよ ! もう、あんたの事なんか心配してやらないから」
 女将さんは修二の愚鈍を責める様に言って立ち上がると、そのまま入口近くに立っていた修二を押し退けて部屋を出た。
「覚えてらっしゃい。意地悪をしてやるから !」
 叩き付ける様に言って階段を降りて行った。
 修二は呆然としたままその場に立っていた。
 女将さんの足早に階段を降りて行く足音が聞こえて来た。
 乱暴に表のシャッターが引き下ろされる音がして、女将さんが外へ出た事が分かった。
 修二はその場を動かなかった。
 女将さんが残していった女の匂いが部屋の中に籠っていた。
 それに気付くと女将さんの薄手のセーターの下に見えた胸のふくらみや、白い脚のしなやかだった事が改めて思い出された。
 あの時、確実に手の届く距離に普段の夜とは違う、温もりを感じさせる女の肉体があった・・・・
 その現実が修二を息苦しくさせた。
 それでも結果的には後悔はしていなかった。
 女将さんの機嫌を損ねた事だけが唯一の気懸りだった。
「覚えてらっしゃい。意地悪をしてやるから」
 憎しみを浮かべて言った女将さんの顔が眼に浮んだ。
 明日からの店での生活を思うと不安になった。
 此処での生活が出来なくなってしまうのだろうか ?
 マスターはなんて言うだろう・・・・ ?
 考えてみても仕方がなかった。
 布団の上に仰向けに転がって頭の下に両手を組み、天井を見詰めた。
 漸く馴れて来た穏やかな生活が思いがけず突然乱されて、明日からまた不安定になる・・・・。
 女将さんの愚行を思って腹立たしさを覚えた。
 女将さんがこんな事をしなければ、悩む事など何もなかった !
「女なんか大ッ嫌いだ。みんな薄汚い !」
 鬱憤を晴らす様に思わず声に出して言っていた。
 女将さんも母親も高木ナナも、みんな小狡(ずる)くて薄汚い !


          五


 夜の明ける前に此処を出てしまおうか ?
 明日の朝、女将さんと顔を合わせる事を思うと不安だった。
 どんな顔をして挨拶すればいいんだろう ?
 女将さんに無視されたり、嫌味を言われたりして傷付く事を考えると耐えられない気がした。
 漸く得た心の平安がまた、何処かへ行ってしまった。ーー
 明け方までとうとう眠る事が出来なかった。


              (都合により 次週は休載します)
           


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             takeziisan様

         
              有難う御座います
             ようやく春の気配 と言うより初夏の気配 昨日はちよっと動くと汗をかきました
             気紛れ天気には翻弄されます
             野菜の新鮮な緑 羨ましい限りですが 苦労無くして収穫は無い
             何事も現実は甘くはない という事ですね
             それにしても野菜の値段の高い事 軒並み 例年の二倍近くの値段です
             家計の遣り繰りの苦労が偲ばれます
              川柳 相変わらず楽しいですね 好いですね
             何時も楽しく拝見しています
              由布院 辻馬車 中学校卒業旅行の折り 塩原の町中で見た
             辻馬車の光景をふっと思い出し郷愁を覚えました
              昭和二十年代前半 わたくしの居た村にも馬車の姿が見られたものでしたが
              何時の間にか消えてしまいました
              ポールモーリアサウンド 懐かしいですね 相変わらず好いですね
              言葉の問題 言葉には専門 最も敏感であるべきはずの
              アナウンサーの中にも近頃は首を傾げたくアクセントや
              使い方をする人が多く見られる様な気がします
              もともと言葉は時代と共に変化する ものとは言え             
              せめて言葉を専門にするアナウンサーぐらいは基 本をしっかり
              押さえて置いて貰いたいものだと思います
               見事なウスラウメの花 実は食べられるのですね
              豊かな食の世界羨ましい限りです
               御忙しい中 御眼をお通し戴き有難う御座います


                   
 


















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