遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(377) 小説 岬または不条理(6) 他 今を生きる

2021-12-26 12:11:51 | つぶやき
          今を生きる(2021.12.15日作)


 今日という一日
 今という時は
 全宇宙を包含する
 悔いなく 今日という日の 今を
 生きる 生き切る 明日という日は
 今日という日の今には 見えない
 見えない明日に悩むより
 今日という日の 今 この時を 生きる
 生き切る 明日は明日 明日の
 命を生きる 明日の今日 明日の今を 
 生きる 生き切る 精一杯 生きる
 人に出来る事は それだけ
 吉凶 織り成す人の世 人生
 見えない明日 未来に悩むより
 今日という日の 今を
 今日という日の 命を
 生きる 精一杯生きる 生き切る その
 精神(こころ)の強さを持ちたい
  
   日々是好日 (にちにち これ こうにち) 









          ------------------





          岬
            または
                不条理(7)



「遅れてしまって申し訳御座いません」
 男は鄭重に言った。
「いや、わたしの方が予定より早めに来ていたんです」
 三津田は穏やかに言った。
 男は格別に周囲を警戒するような素振りも見せなかった。
 三津田に向き合って座った。
「では早速、用件を伺いましょう」
 三津田は言った。余計な無駄話しなど不要だった。
「そうですか。とにかく、わたしはまず、あなたがこういう機会をつくって下さった事にお礼を申し上げます。有難う御座いました」
 男はそう言ってから、一息入れるように上着の内ポケットを探って煙草を取り出した。無言のままその中から一本を抜き取り、口にくわえた。
「如何ですか ?」
 三津田に向かってピースの箱を差し出した。
「いゃ、結構です」
 三津田は無愛想に言った。
 男は黙ったままその箱をポケットにしまうと、ライターを取り出して火を付け、口元に運んだ。
 一息、吸い込んでから煙りを吐き出し、徐に切り出した。
「わたし共があなたにお願いしたいのは、ちょっとしたある物をある人に届けて戴きたい、っていう事なんです。無論、あなたに御承知して戴けました時には、わたし共としましては、それ相当の報酬はお支払いしたいと思っています」
「届ける ? 何をです ?」
 三津田は軽い拍子抜けの感を抱いて言った。それから言葉を続けて、 
「いったい、何を届けるのか分からないが、届けるだけなら郵便局でも運送会社でも、いくらでも方法があるじゃないですか。それなのに何故、わたしがわざわざそんな事をしなければならないんです ? わたしは何度も断っているんですよ」
 と軽い不満を滲ませた口調で言った。
「それが、わたし共の方にもいろいろ込み入った事情があるものですから、お頼みしたいと思った訳なんです」
「まさか、麻薬とか、そんな不法な物の取り扱いじゃないでしょうね。もし、そんなものだったら、わたしは、はっきりとお断りしますよ。悪事の手助けをするような事は出来ませんから」
「いえいえ、悪事だなんて。それに麻薬でもありません。ただ、わたし共としましては、企業秘密として、誰にも悟られたくないんです。証拠となるようなものを遺したくないんですよ」
 男は三津田の言葉を強く否定して言った。
「いいですか。もう一度聞きますが、いったい何故、わたしがそんな事などしなければならないんです。その訳を聞かせて下さい」
「いえ、どうしても、あなたでなければならないっていう事ではないんですが、あなたがとても優秀な方だとわたし共は理解していて、お願いしている訳なんです。もし、どうしても駄目だとおっしゃるなら、断って下さっても結構です」
 男の口調はあくまでも静かで丁重だった。
「わたしは断ります。以前にも何度もそう言ってるはずです。でも、あなたはわたしが断ると嫌がらせをして来る。そうじゃないですか」
 三津田は相手を問い詰めるように強い口調で言った。
「わたし共が嫌がらせをする ?」
 男は心外だと言うように言い返した。
「そうじゃないですか。これまでもあなたは間違い電話を装ったりして、何度もわたしの所に無言電話を掛けて来たり、一度は車で突っ掛けようとしたりして来たじゃないですか」
「ちょっと、変な事を言わないで下さい。それに確かな証拠があるんですか。あるんなら、はっきりと見せて下さい。間違い電話なんて、何処にでもある事ですよ。それに車で突っ掛けようとした ? それがわたしだったんですか。思い過ごしではないんですか ?」
 男は始めて気色ばんだ様子で強く言い返して来た。
 三津田はそこまで言われるとそれ以上の確かな証拠を示す事は出来なかった。あの車の件でも、後部座席に居たのがこの男だという確かな証拠はなかった。ただ、似たような年配の人物が居たというだけの認識にしか過ぎなかった。
「そうですか。分かりました。これで、あなたの気持ちもはっきりしましたし、わたく共としましても、そこまで言われて、あなたにお頼みする事は御座いません。これで今までの事は総て、無かった、という事に致しましょう。もう、わたしがあなたにお目にかかる事はないでしょう」
 男は静かに言った。
 その口調は静かだったが、三津田はだが、その時、男の表情の中にこれまでにない冷酷、強烈な意志の決断を見たような気がして、瞬間、心の凍るような思いに捉われた。三津田は咄嗟に自身の身の危険を意識した。その意識と共に思わず言っていた。
「いいですよ。遣りますよ。せっかく、こうして話しを聞いているんですから、その仕事は引き受けますよ。でも、その仕事を済ましてしまえば、あなた方がわたしに係わって来る事はもう、一切、無いんですね。それは約束してくれますね ? どうです」
 三津田も強気に出てきっぱりとした口調で言った。
「無論、御座いません。そんな事はありません。わたし共としては、この一度きりの仕事をなんとしてでも秘密裡に済ませたいと思ってといるだけなんですから、あなたに迷惑をお掛けする事は以後、一切、御座いません。わたし共としましても、誰にも知られたくない、その思いばかりですから、仕事が済んでしまえば忘れるだけの事です」
 男は冷酷な表情を崩さぬままに静かに言った。
「分かりました。それでわたしは何をすればいいのか、言って下さい。わたしの方にも仕事の都合がありますから、その調整しなければならないので」
「分かりました。後ほど、はっきりとした事は御連絡致します。その時に日時などを打ち合わせしましょう。それで、こちらからお電話を差し上げたい時には何処へ掛ければ宜しいでしょうか」
 男は言った。
「会社のわたしのデスクへして下さい。家族は巻き込みたくはないりので」

 三津田に取っても、その決断は重いものだった。無論、気の進まない仕事だった。だが、三津田は自分がその仕事を断った後のあれこれを考えると、やはり、この決断は仕方がなかった、と自分に言い聞かせた。あの男の「もう、わたしがあなたにお目にかかる事はないでしょう」と言った時の、あの男の眼の中に見た暗い影が、どうしても意識の中から払拭出来なかった。自身に降り掛かる身の危険が明確に意識された。恐らく、あの男が直接的に係わって来る事はないだろうが、多分、組織の内側にいるチンピラか部下などが、その仕事をして来るだろう。そして、その実行犯は僅か何年かの後には刑を解かれて出所して来るに違いない。そんな光景が眼に浮かんだ。
 それにしても、いったい、何故、俺が ?
 三津田には依然として、その思いを拭い去る事が出来なかった。
 こんな訳の分からない事柄になぜ、巻き込まれなければならないのか、如何にも理不尽な事だという気がしてならなかった。
 この日、張り込んでいた警官は、この時の状況の一切を観察していた。密かに会話の録音もしていた。


    (なお 次回は休載します スタッフの皆様 一年間
     有難う御座いました どうぞ 良いお年をお迎え下さいませ)





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          桂蓮様


          コメント有難う御座います
          今回の新作記事 コメント なんと生き生きとした
          息吹が感じられる事か 充実した人生を生きている
          そんな雰囲気が両方の文面上から明らかに
          立ち上がって来ます いいですね 拝見している方も
          なんとなく 生き生きとした気分に包まれます
           バレー 練習風景が眼に浮かびます 以前にも
          書いたと思いますが わたくしはバレーが好きで
          放送のある限り見ます それだけに練習風景も
          想像出来ます それにしても 人生には何か
          打ち込む事の出来るものがあるという事は
          必要ですし それがあると言う事は好い事ですね
          それのあるか無いかでは生きる価値も大きく
          違って来ますものね 人生の観劇者 傍観者ではなく
          主人公 何時までもそうありたいものです
           五十代後半 まだまだ老け込むには早い年代です
          人生百年時代 ようやく半分を過ぎたばかりです
          これからも今回のような生き生きとした御文章
          お待ちしています
           来年 ぜひ十分間回転ですか 実現して下さい
           三分に三年かかっても コツを身に付けてしまえば
          後はその身に付いたものが補ってくれますよ 禅で言う
          身体が「悟った」という事ですね
           それにしても人生を楽しんでいる御様子 どうぞ
          来年も良いお年でありますよう

           なお 次回 わたくしは休載しますので
          改めて新年からまた 宜しくお願い致します
           今年はいろいろお励まし戴き 
          有難う御座いました 新しい年もまた 
          御主人様共々の御活躍を
          お祈りしております



          takeziisan様


          今年一年 有難う御座いました
          このブログにお眼をお通し下さった事に
          感謝 御礼申し上げます
           なお 次回は休みますので宜しくお願い致します
          野菜の収穫 楽しげな雰囲気が伝わって来ます
          見事な野菜 自分の手で収穫出来る喜び 羨ましい
          限りです それにしても大きな白菜の安さ なんだか
          農家さんに気の毒な気がします 消費者としては
          嬉しいのですが
           当地では野鳥の姿がめっきり少なくなりました
          何年か前 自宅の前の電線に それこそ ヒッチコック
          映画の「鳥」を思わせるように大群のヒヨドリが夕刻に
          なるととまっていたりして 驚いたものですが 最近は   
          見えません スズメも ツバメも 見なくなりました
           メープル街道 楽しませて戴きました それにしても
          あのゆったりとした雰囲気 羨ましい限りです 
          移住したい国 ナンバーワン 分かる気がします
           雪景色 味噌造り 田舎の風景そのまま 
          懐かしくもあり 郷愁に胸の熱くなるものがあります
           ウスゲショウ 始めて見る美しさです 同類の緑は
          自宅にもありますが
           折句 笑いと皮肉 簡単明瞭 何時 拝見しても
          楽しめます これからも是非 お続け下さい
          楽しみに お待ちしています
           一年間 有難う御座いました どうぞ 奥様共々
          良いお年をお迎え下さいませ
           有難う御座いました
          新しい年もまた 宜しくお願い申し上げます


         
      
  
 


 




遺す言葉(376) 小説 岬または不条理(5) 他 自己と自由

2021-12-19 12:25:32 | つぶやき
          自己と自由(2019.6,20日作)


 人間は自己という存在に於いて
 自由である
 自己が 自己の存在を司る
 しかし 人間は 生の上に於ける奴隷
 人間の生は
 自己の存在のみでは
 成立し得ない
 成立し得ない生が 成立する条件
 他者の中にあっての 自己 自己の生
 その生あっての 自己
 その生あっての 自己という存在
 他者に対する自己の存在
 その存在は
 他者の生に束縛される
 他者の生の上に成立する 自己という存在
 他者の生の劣化 衰退 崩壊は
 自己の生の劣化 衰退 崩壊に
 繋がる
 他者なくして 自己はない
 自己なくして 他者はない
 他者への侵害 自己への侵害





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           岬
             または
                 不条理(5)



 妻には相談しなかった。自分一人の判断だった。
 妻には余計な気苦労をさせたくなかった。
「出来事を最初から、なるべく明細に話してみて下さい」
 担当の警察官は言った。
 三津田は最初からの経緯(いきさつ)を一つ残らず話した。
「自分の神経的なものだと考えた事はありませんか ?」
 五十代かと思われる警官は静かな口調で聞いた。
「いえ、そんな事はありません。総ての事が一つの関連性を持って行われているような気がします」
「そうですか、分かりました。警察としては兎に角、市民の安全の為には出来得る限りの努力はしますが、あなた自身も充分、気を付けて下さい。今の段階で護衛を付けるという訳にはゆきませんが、差し当って、夜などはお宅の周辺に警官を送って、それとなく状況を見てみましょう。あなたの方でも、もし、怪しいと思ったら、その時点ですぐに連絡して下さい。直ちに警察が駆け付けるるように手配して置きますので」 
 三津田は、例の得体の知れない男が自分を見張っているとすれば、こうして警察に駆け込んだ事も、当然、知られるに違いない、と考えた。そしてそれが、凶と出るか吉と出るかはまるで見当も付かなかったが、それよりも、ただ漠然となんの手伊達もないままに日々を過ごす事の方に、三津田はより大きな不安を覚えるようになっていたのだった。
 平穏な日々が続いた。
 それが警察に駆け込んだ事の効果かどうかは、無論、分かりかねる事だった。ただ、この日々が長くずっと続いてくれればいいが、とだけ思った。
 もともと、三津田に相談を持ち掛けて来た男が、仕事を依頼して来た、というその事自体が、根拠に乏しい、言ってみれば思い付きにしか過ぎない事のように思えた。三津田に取っては、見ず知らずの男だったし、当然ながらに、仕事を頼まれなければならない理由など、何処にもなかった。それだけに男は、三津田が警察に駆け込んだ事を察知して、危険から身を引くように、三津田への依頼事を諦めたのかも知れなかった。
 そんな平穏な日々は、ひと月を過ぎてもなお続いた。
 三津田の住む地域ではこの頃、頻繁に、周囲に眼を配るようにしてゆっくりと、街中を移動してゆく警察のパトロールカーの姿が見られるようになっていた。三津田が仕事から帰る夜の遅い時間帯にも、その姿はしばしば見られた。
 三津田自身、そんな事の安心感から得られる気持ちの落ち着きと共に不思議に、人気の無い住宅街の細い路地を歩く時にでも、背後に聞こえる人の足音を気にする事がなくなっていた。朝の通勤電車の中でも、あの男の姿を見る事がなくて、三津田に取ってはその時点では、総てが一時の悪夢であったかのような感慨さえ覚えるようになっていた。

「まあ、お珍しい、三津田さん」
 バー「茜」のママは三津田の顔を見ると嬉しそうな笑顔で言った。
 三津田自身、何日、いや、何ヶ月振りになるのか分からなかったが、久し振りの賑やかな店内の雰囲気に包まれると、一気に気持ちが緩んで来て、心地よい陶酔感に浸されていた。
 三津田はカウンターに着くと顔馴染みのホステスやママを相手に、思わぬ速さでグラスを傾け、御機嫌になっていた
 店内は適度に混んでいた。
 その男が、三津田が来る前から居たのか、後を付けて来たのかは三津田自身には分からなかった。三津田の右横隣りのカウンター席が空いた僅かな瞬間を衝いて、男は三津田に身体を寄せるようにして席を取った。初めは何食わぬ顔でいたが、ホステスが三津田の前から離れた瞬間を狙って話し掛けて来た。
「如何ですか、三津田さん。その後」
 男はにこやかな笑顔で囁くように言った。
 男の行動は総てが迅速だった。誰もが疑念を差し挟む余地がない程に自然でもあった。
 三津田は言葉もなかった。言うべき言葉を知らなかった。ただ、断崖から突き落とされたような驚きと混乱の中で意識の総てが空白になっていた。茫然としているだけであった。
「暫く御無沙汰していましたが、如何でしょうか、例の件。お引き受けお願い出来ませんでしょうかね」
 男は言った。
「なんの事です」
 三津田はぶっきら棒に、初対面でもあるかのように言った。自分には一切、関係ない。
「この前、あなたにお頼みした事なんですが」
 もし、三津田がこの時、酔いにおぼろげな頭のままでいたなら、それ程に素早い頭脳の回転はなかったに違いない。だが、三津田の酔いは男の出現と共に一気に吹き飛んでいた。身体の堅くなる程の緊張感と共に三津田は、冷静さを取り戻していた。素早く回転する頭で計算をしていた。
 " この男を警察に引き渡す事だ "
「いったい、あなたがわたしに頼みたいっていう事はなんなんです。なぜ、それ程までにわたしに拘るんですか。わたしに拘る理由はなんなんですか。それを言って下さい。そうすればわたしも、あなたの依頼をお引き受けする事が出来るでしょう。わたしは一度、はっきりとお断りしているはずですよ。これ程までにあなたがわたしに拘る理由はいったい、なんなんですか」
「いえ、わたし共が特別、あなたに拘る理由なんてものはありません。ただ、あなたが、あなたの社内でも指折りの優れた人材だという事を承知していまして、そんな優秀な方にこの仕事をお引き受け願いたいと思って、お頼みしている訳なんです」
「そうですか。あなた方はとんでもない買い被りをしているようですが、伺いましょう。いったい、わたしは何をすればいいんです ?」
「御承知戴けますか。そうですか、それは有り難い。わたし共としましては決心して下さった事に感謝申し上げます。それで、もし、宜しかったら御都合を伺いたいんですけど、何時がお宜しいでしょうか」
「あなた方の都合は何時がいいんですか ?」
「わたし共としましては、なるべく早くこの件を片付けてしまいたいと思っておるんですが、お頼みするあなたの御都合もあると思いますので」
「分かりました。じゃあ、金曜日の午後九時、東京駅前にある喫茶店、「R」へ来て下さい。そこで話しを伺いましょう」
「そうですか。金曜日、明後日、午後九時ですね」
 男は改めて確かめるようにその言葉を口にした。

 三津田は、兎に角、この事を警察に連絡しようとまず始めに思った。相手の男がどのような提案をして来るのかは、皆目、見当も付かなかったが、いずれにしても、真っ当な仕事でない事だけは明らかだった。
 警察に張り込んで貰えれば、それだけ気を強く持っていられる。
 後の事は警察に任せればいい。
 その夜、三津田のテーブルの近くに二人の刑事が別々に坐った。
 三津田が一人で席にいると約束の時間に男は現れた。





          ---------------





          桂蓮様

          有難う御座います
           新作 拝見しました
          生き物の世界って本当に不思議ですね
          長い長い年月を掛けてこのように進化して
          来たのでしょうが、考えれば考える程 すべてが
          合理的で 理に適っている気がします 実際 神
          という存在を信じたくなるのも 無理の無い事だと
          思います なぜ 生まれたものが死ぬのか 死が
          なければこの世界は存在不可能なものに
          なってしまうのでしょうが 生まれたものが死ぬ
          しかも死ぬ時には自身の生命の宿った種卵を残して・・
          いつもこの事に不思議な思いを抱いていました
          一度生まれたものが衰えてゆく 誰が 何が
          そのように仕向けたのか やっぱり神の存在を
          人間はそこに見て来たのでしょうか 
           コロナ いろいろな所に影響しますね それにしても
          何時果てるのやら 
           努力している心算はない 天性のものですね
          生まれ備わった資質 他人には真似の出来ないものです
           天才は自分を天才だとは思わない 何故なら
          それが自分に取っては当たり前の事で 大騒ぎを   
          する程のものではない それと同じです
           身に備わった才能 貴重です 日常の中でその事が
          出来る 貴重な才能 資質です
           雪とのこと こちらもさすがに寒くなって来ました
          いつも お気遣い戴き 有難う御座います
           桂蓮様も 痛めた身体 無理をなさらぬように
          無理をして慢性化してしまっては大変です
           どうぞ お大事に
           有難う御座いました



          takeziisan様

           有難う御座います
          畑仕事 てばらせた 良い言葉ですね この響き
          いいです なんだか無意味に感動的です
          畑仕事 何日かのちの収穫を思い描いての作業
          後の収穫 手間がかかり 身体に負担が掛かっても
          それだけの収穫を心に思い描く事が出来る喜びは
          日々の充実感にも繋がるものではないでしょうか
          羨ましい限りです
           次郎物語 映画 やっぱり御当地は わたくし達の
          地方よりは進んでいたようです わたくし達の学校では
          たった一回 馬喰一代 という映画を学校で上映した
          それだけでした この映画は三船敏郎 京まち子の競演   
          で 飲んだくれで暴れ者の「馬喰」が妻を早く亡くして 
          一人息子を育てるというストーリーですが 
          息子が自分のような者にならないよう 立派な教育を受    
          けさせる為に都会に送り出す という荒くれ者の心にも   
          宿る親心を描いた感動的なものでした。教育に関係する
          その事の為に学校で上映したのだと当時にも思いました
           カナダ旅行 やっぱり 良い想い出になるのでは
          ないでしょうか
           ビリー ヴォーン 懐かしいですね
          いい音を出していましたものね
           泳ぐ事が肉体的にも 精神的にも 若さを保つ
          その事に多分に働いているのではないでしょうか
          する事がある 農作業にしても水泳にしても 呆けたら 
          アカン 良い効果をもたらしているのですね きっと
           ブログを拝見している限り 年齢が感じられません
           これからも御健闘を
           何時も有難う御座います 今回も楽しませて
          戴きました
          
           
         
 

遺す言葉(375) 小説 岬また不条理(4) 他 運命とは ほか 二題 

2021-12-12 12:16:15 | つぶやき
          運命とは(2021.12.5~7日作)


 運命には 逆らい得ない
 運命とは
 時と場所と存在ーー人によって
 構成される
 人と時と場所 その
 三要素が偶然 絡み合った時
 その場所で その瞬間
 一つの運命が
 生まれ 決定される

          自然の力

 世の中には
 自然の力 という
 眼には見えない力が 常に
 働いている その
 自然の力と
 人間の意志が一つに重なり
 出会った時 人はより
 大きな仕事が出来る
 人に 備わった実力があったにしても
 自然の力の その
 働き掛けのない時には 得てして
 物事の失敗に終わる事が多い いわゆる
 時の 運 不運 がもたらす
 幸 不幸

          意識

 世界は一人の人間の
 意識の中にしか
 存在しない
 意識されないものは
 無



          ---------------



          岬
            または
                不条理(4)



 男はエスカレーターに身を任せたまま、軽く上方を見上げていた。三津田が立っている場所は、男の視線の中には入っていなかった。
 三津田はそんな男の姿を確認すると、急かれる気持ちで東京駅の混雑する人混みの中に紛れ込んだ。
 男は五十歳前後の、額の禿げ上がった、なんとなく重厚さを感じさせる雰囲気を身に付けていた。最初、眼にした時には、そんな雰囲気など微塵も感じなかったのだが、改めて眼にする男の落ち着いた雰囲気を認識すると三津田は、今、自分が直面しているこの事態は単なる、嫌がれせや気紛れ的なものではないのではないか、という深い懸念に捉われた。いったい、男の目的はなんなのか ?
 だが、三津田にはやはり、今朝のこの出会いが単なる偶然なのか、男が三津田の行動の総てを読み取り、綿密に計算した上での行動であったのかは判断出来なかった。ただ、男の姿を身近に見ていたというその事実だけが重く心に圧し掛かって来た。
 三津田は東京駅の構内を抜けて日本橋方面へ向かう改札口を出る時、もう一度振り返って男の姿を確認した。
 男の姿は三津田の視線に入って来る事はなかった。

 その日、三津田は通勤電車の中で眼にした男から、何かの電話が掛かって来るのではないかという思いで、一日中、落ち着かない気分で過ごした。昼食時には何時も外出するのが習慣になっていたが、その日は、売店の菓子パンと缶コーヒーだけで済ましていた。
 帰宅時にもむろん、細心の注意を怠らなかった。
 それでも、その日、三津田の身の上に普段の日々と格別に変わった事は起らなかった。只一つ気になったのが駅からの十七、八分の帰り道の途中、住宅街に入った時、ふと、背後に聞いた微かな人の足音だった。
 静かな住宅街の家々はことごとく鎧戸を降ろしていた。普段、三津田は夜も十時半を過ぎたこんな時刻に帰る時にも、格別、他人の足音を気にする事はなかった。それが、その夜に限って何故か、その足音を聞いた途端に全身に冷や汗の出るような緊張感を覚えていた。そのまま無関心ではいられない気持ちのざわめきを覚えて、心が揺れた。朝、通勤電車の中で眼にした男の姿が影響していたに違いなかった。
 三津田はそれでもその時、暫くは緊張感に耐えたまま、何も変わらぬように足を運んでいた。
 足音はその間も続いていた。そして、それがやはり執拗に自分の後を付けて来るような気がして来て三津田は、ふと、その足音の人物の正体を確かめてみたいという反発心のような、強い思いに捉われた。思わず足を止めると、そこに立ち止まり、そのまま、夜の中に耳を澄ました。
 背後に聞こえる足音はだが、その間も確実に刻まれていて、三津田に近付いて来るのが分かった。
 三津田はそれを意識すると今度は反対に、自分の行動が何か、相手に奇異な感じを与えるのではないかと気になって、慌て上着のポケットのあちこちを探って煙草を探す振りをした。
 煙草はむろん、すぐに分かるポケットに入れてある。それでも、ようやくそれを探り当てたというようにして煙草を取り出すと1本、抜き取り、唇に挟んで今度はライターを探す振りをした。
 その間、背後に響く足音は、確実に三津田に近付いて来た。三津田はそれを確認しながら、相手が近付くのと共に、今度は自分が酔っているかのように装って身体を小さく不安定に揺らしていた。
 近付いて来る存在はしかし、そんな三津田には無関心なようだった。立ち止まって、要らぬ演技をしている三津田などには眼もくれず傍を通り抜けて行った。三津田がちらっと窺った眼の中に入って来たのは、三十代かと思われる年頃の男だった。

 三津田はその日に起った事の一切は、妻の時子には話さなかった。要らぬ心配をかけたくないという思いも多分にあったが、それ程にまでに神経質になっている自分の弱さを知られたくない、という思いもまた、心の何処かにはあった。
 翌日、三津田は通勤の電車に乗る時には、車窓の外から隈なく車内の様子を窺ってから、車輌に足を踏み入れた。男の姿を確かめる為だった。
 その日、男の姿を車内に見る事はなかった。
 翌日もまた、同様だった。
 そのような日々が何日か続くと、またしても三津田は、あれは単なる偶然だったのか、という楽観的な思いにも捉われ始めていた。何時もの事だった。
 三津田の心の中では、楽観的思いと悲観的思いの両方がその日その日の出来事によって、慌しく交錯していた。何が真実なのか、三津田自身にも判断が付きかねた。
 そんな三津田の下へ無言電話が掛かって来たのは、十月二十九日だった。
「はい、総務課の三津田です」
 直接、電話を取った三津田が答えると電話は少しの間を置いてそのまま切れた。
 間違い電話はよくある事だった。三津田は気にしなかった。
 暫くするとまた、掛かって来た。
 三津田が同じように答えると、やはり、先程と同じように切れた。
" いったい、何やってんだよ。バカスケが ! "
 三津田は腹立ち紛れに呟くと再び受話器を置いた。
 その日はそれだけだった。
 三津田は何も疑っていなかった。
 最近、通勤電車の中で例の男に出会う事もなかった。
 三津田は再び三たび訪れた平穏な日々の中で、以前と同じように気持ちの平穏をもまた、取り戻しつつあった。
 そんな三津田が思わぬ事故に巻き込まれそうになったのは、十一月の半ばを過ぎた日だった。その日、三津田が取引先の銀行を出て、流しのタクシーを捕まえ乗ろうとして、歩道からタクシーの止まった場所に近付いた時、突然、一台の車がハンドル操作を誤ったかのように車道に下りた三津田目がけて突っ込んで来た。三津田は危うく跳ねられそうになって慌てて身を交わしたが、そのまま路上に倒れ込んでいた。
 三津田が起き上がる間も置かずに、急ブレーキを掛けて停まった黒塗りの車は走り去っていた。
 車内後部席には、二人の中年と思われる男の姿があったが、男達は三津田の安否を気遣う様子もなく、平然とした様子で後ろを振り返って見る事もしなかった。
 三津田がやっと身体を起こしてタクシーに乗り込むと運転手は、
「なんともありませんでしたか。全く、滅茶苦茶な運転をする人間がいて、困ったもんですねえ」
 と言った。
「なんて奴なんだろうね、ほとに。大丈夫ですかの一言ぐらいは、言ってもいいだろうが」
 三津田も腹立ち紛れに言ったが、車が走り出して幾分、気分が落ち着いて来ると、ふと、小さな疑念と不安に、またしても苛まれていた。
 もしかして・・・?
 何時だったかの無言電話と今の出来事が訳もなく、三津田の胸の中で結び付いていた。そして三津田はこの時始めて、警察に相談してみようか、と考えていた。





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           KYUKOTOKKYU様

           有難う御座います
           拙文にお眼をお通し戴き 御礼申し上げます
            何時もこのブログに来る度 ディスクジョッキー
           拝見しています 滅茶苦茶感 なんだかよく
           分かりませんが そのテンポの良さと滅茶苦茶感に
           吹き出します 何処から このような発想が   
           生まれて来るのか 軽快 言葉のリズム感 
           面白く拝見させて戴いております
            このディスクジョッキー これからも
           長く続きますように
            有難う御座いました



           takeziisan様

           有難う御座います
           何時の事ながら 美しい写真の数々
           堪能しました 夕焼け 見事ですね 美しい
           カシワバアジサイ 始めて知りました
            それにしても感性 お若いです
           わたくしはビートルズにはあまり馴染めません
           以前にも書きましたが プレスリーまでです
            トキ色シャコバ 以前 持っていましたが
           今はありません
            川柳 メモ無し買い物無理 御同感
           相変わらず 楽しく拝見させて戴きました
            二度寝 気持ち分かります
           若い頃の瞬発力がなくなり 飛び起きる
           この行為が無理になりました 
           ぐずぐずもたもた
            トレンブラン 前回 日本の方が
           と書きましたが 改めて見詰めると やはり
           美しいですね 秋の紅葉の美しさ 一つの
           楽しみですが 後に控える冬を思うと・・・
            クリスマス イブ 雰囲気がよく出ています
            いいですね
             何時も いろいろ 有難う御座います
           
           
           
            桂蓮様

           有難う御座います
           御当地はもう 氷の季節との事 寒さが
           厳しいのですね こちらも十二月 さすがに
           寒くなって来ましたが まだ氷が張るほどでは
           ありません それにしても 温暖化 確かに
           表れているようです 水道管の凍る事も
           なくなりました 
            腰を痛めたとの事 どうぞ お大事に
           桂蓮様のさまざまな御文章を拝見していますと
           何か 一途といいますか 懸命にそれに向かって
           努力する人のイメージ浮かんで来ます 生真面目な  
           お方のようです でも 何事も 過ぎたるは及ばず     
           の言葉通り 無理をなさらずに楽しんで下さい
            修行と稽古 再読させて戴きました
           冒頭の写真の通り 一歩一歩 階段を上ってゆく
           修行も稽古も一緒ですね 何事も一気に跳ぶ事は
           出来ないものです 1パーセントでも可能性があれば
           努力する 良い言葉です 何も無いのに願うのは
           夢想にしか過ぎませんものね
            歌謡詞 歌謡のための詞は曲を付ける
           その事を前提にするため 一節二節三節 総ての
           節の行の言葉数が揃っていなければなりません
           その為 リズム感がよくお思いになられるのではと
           思います
            今朝のニュースで(12月12日)アメリカを襲った
           竜巻の模様を放送していました 大変大きな
           竜巻だったそうですが お住まいの地方には
           関係のない事だったのでしょうか なにしろ 
           アメリカは広い国ですので
            何時も有難う御座います
            くれぐれも 御無理をなさならぬ様に
            人生 気楽に しかし 気を緩めずに
           ゆきましょう 有難う御座いました            
        
            






 
 
 
 
 

 

 
 
 
 

 
 
 


遺す言葉(374) 小説 岬 または 不条理(3) 他 歌謡詞 あなたの靴音

2021-12-05 12:22:12 | つぶやき
          あなたの靴音(1970.11.12日作)


 哀しみの心に 今も聞こえる  
 あなたの靴音 
 愛が壊れて消えた時
 夜の街に あとも見ないで去った人
 あの時の あなたの靴のかすかな音が
 今でもわたしの心に
 哀しい響きを残してる

 哀しみの心に 今も聞こえる
 あなたの靴音
 誰のせいでもないけれど
 いつか砕け 過去に沈んでいった恋
 さよならも 言わずに一人背中を向けて
 あなたは冷たく去ってゆき
 靴音ばかりが響いてた
 
 二度ともう 帰らぬのなら思い出なんか
 なんにも欲しくはないのに
 消えないあなたの靴の音



          ----------------



          岬
            または
                不条理(3)


 三津田の方からしてみれば不気味だったが、しかし、相手は脅迫めいた事は何もしていない。ただ、用事を頼まれてくれ、と言うだけだった。第三者から見た場合、この事はどのように受け取られるのだろうか ? もし、警察が動いた場合、相手の男はどのように弁明するのだろう ?
「わたしはただ、取引をしたいと思ってこの方に、用事を引き受けてくれと、お願いしているだけなんです。それが罪になると言うんですか」
 相手の男はきっと、そう言うだろう。
「だから、わたしは何度も断ってるんです。それなのにこの人は、それでもしつこく夜中に電話を掛けて来たりするんですよ」
 三津田は反論する。
「この人が断っているって言うのに、なぜ、そんなしつこく付き纏うんだね」
 警官は男に言うだろう。
「いいですか、お巡さん。あなたはセールスマンや、何かの勧誘で訪問を受けた事はありませんか  ?」
 男は警察官に向かって言う。
「銀行にしても、証券会社、化粧品販売、新聞の購読勧誘、何かの宗教の勧誘、今ではありとあらゆるものが、訪問販売などをしている世の中じゃあないですか。それなのになぜ、わたし共が少しだけこの方にしつこくお願いしたからといって、それが、罪に当ると言うんですか。わたし共は、この方がお勤め先の会社の優秀な社員だと認識した上で、あるいは、少ししつこいかもしれないですがお願いしているんです」
「あなたは、この人に脅迫されたという事はないですね」
 警察官は三津田に向かって言う。
「それはありませんが、わたしとしては、何度断っても付き纏って来る、その事が堪らなく煩わしいんですよ。やめて欲しいんです」
 三津田は言う。
「わたし共があなたに付き纏う ? それは、あなたの誤解じゃないですか。確かに二度、わたしはあなたにお眼にかかりました。そして、二度、あなに電話を差し上げました。それだけですよ」
 男は心外だという口調で言う。
「事実ですか ?」 
 警官は三津田に聞く
「はい、それは確かです」
「それが、いけないと言うんですかね」
 男は勝ち誇ったように警官に聞く。
 警察官はなんと答えるだろう ?
 三津田にはそれから先は想像が出来なかった。
「それでも、わたし達の生活が、あなた方の勝手な思い込みで、えらい迷惑をこうむってるんですよ。即刻、やめて下さい」
 最後にそう言うり、三津田には残された方法が思い浮かばなかった。
 時子はそれに対して、
「事実、わたし達の生活が脅かされているんだから、一度、警察に相談してみた方がいいわよ」
 と、やはり警察に訴える事を強く主張した。
「うん」 
 と、三津田は言ったが、気持ちは煮え切らなかった。

 これが最後ではす、と言った言葉通り、男からの電話はその後、なかった。
 日常の生活上にも格別な変化は起らなかった。
 三日、四日、一週間と静かな日が続いた。
 三津田の気持ちはそれでもなお、休まらなかった。前回の例があった。一度は、これで安堵と思った事実だった。今は安心出来ないという気持ちの方が強かった。
 時子にもその気持ちは伝わっているようで、以前のように磊落闊達に話しのはずむ事がなかった。心の何処かに芒(ノギ)のように突き刺さって来るものがあった。
 両親のそんな神経質とも言えるような日常での姿は、少なからず、幼い子供達の上にも敏感に反映しているようだった。日頃、ヤンチャだった勝も真紀もどことなく神経質な素振りを見せるようになっていた。
 三津田に取って耐えられないのは、その子供達の変化だった。三津田は子供達の前では出来るだけ明るく振舞ったが、それでも、心の裡での煮えくり返る思いは拭い去れなかった。
 余分な事をしやがって  ! という思いだった。
 子供達を守る思いは、三津田の意識の中では自身の身を守る思いよりもはるかに強く働いていた。その為になら、命を犠牲にしても厭わないという確かな思いだった。
 
 三津田が無意識のうちに警戒していた男の行動に対する疑念は、間違った判断ではなかった。
 男からの最後の電話があってから、十日が経った朝だった。
 三津田は通勤電車の中で男の姿を眼にした。今までにない事だった。 
 三津田は息を呑んだ。瞬間、あの男だ、と思った。
 男は車両の前方、入り口近くに立って、吊り革に左手をかけ、新聞を読んでいた。
 男が三津田を眼にしていたのかどうかは分からなかった。
 三津田もその時、同じ車両の中ほど、やや後部よりに立ち、吊り革に掴まっていたが、車内はそれなりの混雑で、車両が揺れるたびに男の顔が見えなくなったりした。
 三津田に取ってはだが、見間違いなどするはずのない、明確に意識の中に刻み込まれた男の顔だった。
 三津田は早鐘を打つように高鳴る胸の鼓動を意識した。隣りに立つ男の陰に隠れるように身を摺り寄せると、その陰から男の様子を窺った。
 三津田が見詰める男はだが、まるで何事もないかのように、熱心に新聞に視線を落としたまま、周囲を気にする気配も見せなかった。
 三津田は、男は自分が同じ車両にいる事を知らない、と判断した。
 男もやはり、出勤途中なのかとも思った。
 それにしても、これまで、男の姿など見た事はなかった。
 それが疑念として心に残った。ただ単に、これまでその事に気付かなかっただけとは思えなかった。
 三津田は疑念を抱いたまま、電車が東京駅に到着すると、下車する人々の陰にに隠れるようにして電車を降りた。
 男の様子を窺う余裕はなかった。
 電車を降りて、車両が動き出すと始めて三津田は男が乗っていた方角へ視線を移し、男が同時に下車したかどうかを探った。
 男の姿は見当たらなかった。
 安堵の思いが沸き上がった。男がそのまま車内に残った、という思いが強かった。
 三津田はそれでも用心して、朝の混雑するホームの人混みに紛れるようにして足早に歩いた。
 昇りのエスカレーターの前では、後ろから来る乗客を確かめるようにして踏み段に足をかけた。
 長い昇りエスカレーターを上方に注意を向けたまま運ばれた。
 三津田の前には男の姿は見えなかった。
 やはり、男はこの駅では降りなかったのだ、と納得する思いで、ホッと安堵した。
 同じ車両に乗り合わせたのも或いは、偶然だったのかも知れない、と思えた。事実、車内で男の様子を窺っていた限り、男が三津田を気にする様子は一度も見せなかった。
 三津田は長い昇りエスカレーターを降りるとその時、始めて、後方に続く乗客の様子に視線を向けた。と同時に再び、息の詰まる思いに捉われた。
 エスカレーターの中程に、紛れもない男の姿があった。





          ---------------



          桂蓮様

          有難う御座います
           わたくしへのお気遣い有難う御座います
          確かに年齢と共に体力が落ち 何かと疲れ易く
          なりますが でも 一応 健康体を保っていますので
          なんとか行けそうです 有難う御座います
           心が枯れてゆく お若い頃と違って 取捨選択が
          出来るようになったという事ではないのでしょうか
          若い頃は何でも心が受容しますが 年齢と共に
          余計なものは省いてゆく 人間の知恵ではないので
          しょうか もう 頭の中には一杯 それなりの
          知恵が詰まっているのですよ
           時間の箱 再読させて戴きました
          世界は認識の中にしか存在しない その通りです
          人間という存在 それを認識する人間という存在が
          あってこそ 地球も 宇宙も存在する 認識する
          存在のない所は 無 認識されないものは存在しない
          その通りですね 楽しく拝見させて戴きました
           グランビーの初秋 改めて拝見してやはり この環境
          羨ましく 思います 但し 落ち葉の量 人間トラック  
          のお写真 やっぱり それなりの御苦労がと
          感じ入ります
           何時も 有難う御座います
           どうぞ わたくしのこの文章 どうかお気になさらず
          お気軽にお読み捨て戴ければと思います
          お忙しい中 あまりお気遣い戴いて 無駄な時間を
          お使い下さらないようにお願い致します
           有難う御座います



          takeziisan様

          毎回のコンタクト 有難う御座います
          感謝申し上げます
           今回もブログ 楽しく拝見させて戴きました
          詩 是非 一覧コーナーを設けて お纏め下さい
          バラバラでは勿体ないです
           思い出の旅アルバム カナダの紅葉もかなりのものの
          ようですかが 何か 鮮やかさでは日本の紅葉には
          及ばない気がします 世界一の紅葉は アメリカの
          何処かの州にあると聞いた事がありますが 見てみたい
          ものです れにしても カナダという国は落ち着いた  
          雰囲気が感じられ 好きな国の一つです 移住したい 
          国の一番にカナダが選ばれた という話を聞いた事が
          ありますが ちなみに日本が二位だした
           16000歩 よく歩きました 水泳 歩く事 お元気の   
          因かも知れませんね
           柚子 十年ほど前には 実家の跡に木があって よく
          採りに行きました 今では 太陽光パネルが設置されて
          いますが 柚子は輪切りにして 砂糖をかけて食べると
          美味しいですよ
           富士山噴火 何か最近 身近なものに思えて 
          なんとなく 恐れの気持ちを抱いています
           アチャコ 浪速千栄子 懐かしい名前ですね
          浪速千栄子は典型的な関西弁の使い手として
          有名でしたね きれいな関西弁でした それにしても
          昔ほどの芸達者は最近 居ないのではないでしょうか
          何か どたばた騒ぎだけの芸のような気がして
           もっとも テレビの娯楽番組は見ないので やたらな  
          事は言えませんが
           数々の昔懐かしい番組名 でも 現在では
          むかし昔 のお話しのようになってしまいました
          改めて生きて来た道の遠さ 遥かさを 思わずには
          いられません
           今回も美しい写真の数々 拝見させて戴きました
          これもお元気の因かも知れません
           有難う御座いました