遺す言葉

つぶやき日記

遺す言葉(470) 小説  いつか来た道 また 行く道(30) 他  過ぎ逝く時の中で

2023-10-22 11:34:45 | つぶやき
            過ぎ逝く時の中で(2023.10.15日作)



 わたしは最早
 未来を生きようとは思わない
 現在 八十五歳と六カ月
 残り少ない人生
 日々 精一杯 今 この時を生きる
 わたしの人生
 総ては夢の様に過ぎて逝った
 風と共に去りぬ
 あの人が亡くなった
 あの人は昨日死んだ
 幼馴染の友人 同級生
 同じ世代を生きた著名な
 あの人 この人 次ぎ次ぎと
 同じ時 同じ時代を生きた人々が
 この世を去って逝く
 八十五歳六カ月
 人の命は百二十歳が限界
 過日 新聞紙上で眼にした事実
 人の命の限界百二十歳
 わたしに残された人生 命の限界
 三十四年と六カ月
 その三十四年と六カ月
 わたしの肉体は耐えられるか ?
 日々 衰えの顕著な今日 この頃
 肉体 精神 頭脳
 限界まで耐え得るか ?
 日々増す 衰えの実感
 不安は募るばかり
 今日 あの人が逝った
 昨日 あの人が亡くなった
 日々 やせ細ってゆく 
 わたしの わたし達の生きた時代
 時代の記憶 総ては遥かなものとして
 過ぎ去り 遠ざかり
 遠のいて逝く
 




             ーーーーーーーーーーーーーーーーー




             いつか来た道 また行く道(30)





「俺の名前なんて関係ねえよ。俺はただ、中沢栄二が居る場所を教えて貰えれば、それでいいんだから」
「何故、あなたはそんなに、その人に拘るの。その訳を教えてくれる ?」
 わたしは相手の気分を変えるように穏やかに聞いた。
「奴には大きな金額の貸しがあるんだ。だから奴に逃げられちゃあ困るんだよ」
「それでわたしに、その人の居る所を教えろって言うの ?」
「そう言う事だ」
「あなた何か勘違いしてるんじゃない。わたし中沢栄二なんて人、全く知らないわよ」
「あんたもしぶといねえ。いくら、しらを切ったって駄目なんだよお。俺の手元にはちゃんとした証拠があん(有る)だから。いいかい、俺はあんたの顔を見た事がねえんだ。これまで何回か、あんたの生(なま)の顔を見ようと思ってずっと待ってたんたけど、旨くいかなかった。そっで(それで)ゆうべ電話をしたんだけど、人違いなんかじゃねえんだ。雑誌で見た<ブティック・美和>の広告にあんたの顔写真が載ってた。それを見て、ああ、この女だ、ってすぐに分かった。中沢がカモにしていたのはこの女だ ! 奴から預かっているネガの写真の中の女とあんたとはおんなじ人間なんだよ」 
「写真って、どんな写真 ?」
 わたしは心の凍り付く思いで言った。
「あんたも見てると思うよ。確か、奴がそんな事を言ってたから」
「その写真をあなたが持ってるの ?」
「そうだ。借金の形にね。ただ、中沢が借金を戻す事を前提に封は切らねえ約束だったんだけど、肝心の中沢が居なくなっちゃった。そっで、封を切って見みると中から出て来たのがあんたの写真のネガだったって言う訳よ。奴はネガだって事は言ってたけど、何処の誰とは言わなかった。何人もの写真を持ってたからね。俺に喋ると一番大事な商売の邪魔をされると思ったんじゃないの。でも俺は、はなから奴の商売の邪魔をする気はなかったし、金さえ貰えればそれで良かったんだ。だけっど、肝心の奴が居なくなっちゃった。奴からすれば俺の前から消えなければなんねえ理由はねえし、消えるなんて事も出来ねえんだから、これはなんかあったな、って思った訳だよ。そっで、封を切ってネガを焼いてみたらあんたが出て来たっていう事なんだ。あんたに取っては決っして都合のいい写真ではねえし、あんたに聞けば何か分かるかなって思ったのさ」
「それで電話をして来たの ?」
「そうだ」
「じゃあ、一度会ってゆっくり話しをしましょうか ?」
「あっ、いけねえ。テレホンカードが無くなっちゃった。切れるかも知んねえから、今夜また電話をするよ」
 その言葉と共に電話が切れた。
 わたしは話し相手の居なくなった受話器を握ったまま、いつまでもぼんやりしていた。
 受話器を元に戻した事さえ覚えていなかった。
 その後、わたしは一体、専務や秘書に何を言ったのだろう ?
 それぞれが用件を抱えてわたしの室(へや)に来た事だけは記憶にあったが、何を話したのかは全く覚えていなかった。
 それでも、専務や秘書が、格別、怪訝な顔をする事もなく室を出て行ったのは、それなりに適切な対応が出来ていた、という事だろう。
 わたしは専務や秘書が出て行った後もずっと椅子に座ったままでいた。
 動けなかった。体中の筋肉が瓦解してしまったかのように、力が抜けていた。ようやく事務所を出たのは八時に近かった。
 事務所を出ると何時ものように下の店舗へ行った。
 終業時間が十時の店内には、まだ客の姿もあって華やぎに満ちていた。
 わたしはゆっくりと店内を見て廻った。
 様々な棚やガラス戸の奥に並んだ商品の数々が、鮮やかな感覚でわたしの視線を捉えて来た。
 総ての商品がブランド物と言われる一流品だった。
 これが全部、わたしのものなんだ ! 
 何時もなら溢れるような幸福感で、自分が生きて来た人生の充実感に包まれ、限りない上昇志向に充たされるのだったが、今夜のわたしは違っていた。  
 眼に触れるものの総てが何故か空しく、空虚なものにしか思えなくて、奇妙に遠い感覚の中にあった。
 フェラガモ、ヴァレンティノ、シャネルもジバンシーもサン・ローランも、何時ものようにわたしに微笑み掛け、心を酔わせて寄り添って来る事はなかった。
 あらゆるものが遠い感覚の中にあった。
 店員達は皆、わたしに鄭重だった。
 わたしは彼等や彼女等に優しく労いの言葉を掛けた。
 何時も、わたしのする事だった。
 しかし、今夜のわたしの心はそこには無かった。遠い世界の何処かをさ迷っていた。
 わたしは心此処にないままに店を出て駐車場へ降りて行った。
 車のドアを開けて座席に座った。
 何時もの様にスロープを上がって地上へ出た。
 多分、あいつが何処かで見張っているだろう。
 そう考えたが気にしなかった。
 どうとでも、したい様にすればいいんだわ。
 信号待ちで青信号に変わると鬱憤を晴らす様に、一気に加速を掛けて車を発進させた。
  男が尾行して いると分かったのは北沢に入ってからだった。
 何時も必ず、即かず離れずの距離に居る車に気が付いた。
 改めて注意をしてみると、巧みに信号待ちをしながら、決してわたしの車の側へは寄って来なかった。
 見えなくなったと思ったら、猛烈な勢いで追い掛けて来る。
 常に他の車の陰に車体を寄せているのが分かった。
 一体、何が目的なんだ !
 電話を掛けて来た男と同じ人間なのか ?
 どうしよう・・・・?
   このまま自宅へ直行してしまっていいんだろうか ? 
 わたしの住むマンションの大きな建物が暗い夜空を背景に見えて来た。
 意外な程さっぱりとわたしの心は決まっていた。
 構うものか、このまま駐車場へ入ってしまえ。
 どうせ、首根っこは押さえられて居るんだ !
 それでもわたしは、普段、帰る道とは違って狭い路地の間へ入って行った。
 相手の車が見えなくなると、猛烈な速さであっちの道、こっちの道、とジグザクに走りながら、自分にも分からない路地の間を走っていた。
 目印は絶えず視界にあるマンションの建物だった。
 尾行車はわたしの車を見失ったらしかった。
 二十分程走って大通りへ出た時にはわたしの車の外には車の影は見えなかった。
 わたしは夜の闇に感謝しながら逃げ込むようにしてマンションの駐車場へ車を入れた。




             ーーーーーーーーーーーーーーーーー




              takeziisan様            


               何時も有難う御座います
              今回も様々な花々 楽しませて戴きました
              女郎花 懐かしいですね 故郷の野山には普段に見られた花です
              あの頃の思い出 情景が蘇ります
              キミガヨラン 初めて名前を知りました 近くの家に
              この花の大きな木があります その花の季節には何時も
              気になっていた花ですが名前は知りませんでした
              木犀は早くも落ちる花に 悩まされています 
               ダイコン 間引き しっかり自分の仕事 務めを果た終えた後の
              静かな日常生活の中の一つの楽しみ それに今時の
              これまで経験した事の無い野菜の高値 家計にも優しいですね 
              趣味と実益 それに美食 羨ましい限りです
               山の趣味 憧れは尽きないのですが 出不精の自分には
              他人様の絵を見る事で気分を満たすより仕方がありません
              ですから普段観ないテレビなどでも自然や地方の穏やかな生活ぶり
              などを映した番組などにはなんとなく心を引かれて観ています
               イッセキ 初めて知る言葉です
              一番の席 という意味が込められてでもいるのでしょうか
              方言にはその地方独特の香りがあってなんとなく心の温もりを覚えます
               寄り合い家族 東京へ出た時 最初に住んだのが池袋でした
              山手線(当時の呼び名)で次の次の駅が巣鴨で懐かしい響きです
              物語 楽しみにしています
               有難う御座いました





              桂蓮様


             コメント 有難う御座います
            近況が語られていて とても興味深く拝見しました
            一度アクシデントがあると人の心はなかなか元に戻れません
            でも その人に意欲さえあればまた新しい気力も湧いて来る
            のではないでしょうか
            人を取り囲む環境は日々 移ってゆく 昔に戻る事はない
            肉体も然り 結局 今を生きる事しか出来ないという事でしょうね
            禅の思想もそこにあると思います 囚われるな 良きに付け 悪しきに付け 
            今を生きる
            移りゆく時は誰にも止められません
             老いる軌道 気にしない 気にしない あるがままに生きる 
            坐禅の中で得た心が生きているのだと思います
            お見事です
            コメント共々 面白く拝見させて戴きました
            有難う御座います







      

遺す言葉(469) 小説 いつか来た道 また行く道(29) 他  真実 芸術

2023-10-15 12:57:38 | つぶやき
             真実 芸術(2023.6.19日作)


          真実

 物事の核心に迫る真実は 決して 
 言葉で表す事は出来ない深淵にある
 言葉を並べ立てるだけの人間には
 物事の核心 真実に迫り 掴み取る事は出来ない
 理論 理屈は物事の表面をなぞるだけの行為
 現実社会に於ける事象の真実は 
 そこに係わる実行者のみが知り得る事だ

          
          芸術

 芸術と言われる作品には
 人がそこに自身の想念を重ね合わせ
 思い描く事の出来る 香りが
 含まれている
 無味乾燥 香りも匂いもない作り物を
 芸術作品と呼ぶことは出来ない
 ただの見世物にしか過ぎない



       
         老いてなお 健脚ほこり 野辺の花




             ーーーーーーーーーーーーーーーーーー





              いつか来た道 また行く道(29)





「そうですけど、何でしょうか。何の御用でしょう ?」
 わたしは不審感と共に警戒心を滲ませて言った。
「中沢栄二の事でちょっと話しがしたいんだけど」
 瞬間、ぼそっとした冴えない男の声に心臓を突き刺される思いがして息が止まった。瞬時に二、三日前に事務所の窓から見た男の姿が頭を過(よ)ぎった。
 あの男だ !
 刑事ではない、という思いがすぐに働いた。
 心臓が激しく鼓動を打った。
 頭が空白状態のまま何も考えられなかった。
 何秒間かの後、ようやく我を取り戻して、
「中沢栄二って、誰の事ですか」
 動揺する気持ちを抑えて極めて穏やかに聞いていた。
「俺の知り合いなんだけど、この所、ちょっと姿が見えないもんだから」
 探りを入れるかのように男は微妙な言い回しで言った。
「それが、わたしに何の関係があるんですか。そんな人、わたしは知りません !」
 中沢との関係を知っている ! その確信と共に激しい怒りに捉われ、叩き付けるように言って受話器を置いた。
 中沢がクスリを買っていた男だ。
 確信出来た。
 体中が強張る思いだった。
 電話はすぐにまた掛かって来た。
 受話器を取らなかった。
 程なくして電話は切れた。
 その夜のうちに再び電話の鳴る事はなかった。

 ベッドへ入る事も忘れていた。
 気持ちが落ち着かなかった。
 何度もソファーを立って窓辺へ行った。
 マンションの前の大通りに人影はなかった。街灯だけが明るい光りを空虚な通りに投げ掛けていた。
 その夜、わたしは少しでも眠ったのだろうか ? 
 自分でも判断出来なかった。ソファーに掛けたまま朝を迎えていた。
 わたしは何時もと同じように出社した。
 何時もと同じように仕事をした。
 午前中に何度か、男の姿を確かめたくて窓辺へ行った。
 男の姿はなかった。
 午後四時過ぎに窓辺へ行った時、男は何時もの場所に立っていた。
 やっぱり、と思った。予想していた事だった。
 どうしよう・・・・
 自分がどのように行動したらいいのか、判断が付かなかった。
 それ以降、仕事が手に付かなかった。
 気になって、何度も何度も窓辺へ行った。そして、五時過ぎに窓辺へ行った時には男の姿はなかった。
 男は帰ったのか ? 何かを企んでいるのか ? 判断が付かなかった。
 今日最後と思われる机の上の電話が鳴ったのは終業時間に近い時刻だった。
「はい、ブティック・美和です」
 今日、何度もそうして受話器を取っていた。
 男の姿を見るまでは、それが商談の電話である事を少しも疑っていなかった。伸びやかに腕は受話器に伸びていた。
 だが、男の姿を見てからはベルが鳴る度に、心が凍るような思いに捉われた。
 あの男からではないか ?
 何度かは男からのものではなくて、その度に安堵の思いに胸をなでおろした。
 それでも結局、今日最後と思われるその電話は安堵を打ち砕く男からのものだった。
 男からだと分かった時、わたしは思わず受話器を置こうとした。
 その手を止めたのは、先程見た男の姿だった。
 男が確実にわたしという存在を把握していると分かった今では、この先、男がどのような行動に出て来るのか分からないーーその恐怖心がわたしを突き動かしていた。受話器を握ったままわたしは男の声を受け止めた。
「昨夜(ゆうべ)電話をした者(もん)だけど」
 男は言った。
「だから、なんだって言うの」
 怒りを滲ませて強く言った。
「話したい事があるんだ」
「あなた、いったい、何を言ってるのよ。うるさい人ね。何故、わたしがあなたなんかと話しをしなければならないの。第一、自分の名前も名乗らないで何を言ってるのよ」
「だから会って話しをすれば分かるって言うんだ」
「何が分かるって言うのよ」
「中沢栄二が居なくなっちゃったんだよ」
「それがどうしたって言うの。中沢栄二なんて一体、誰なの ? そんな人、わたしは知らないわよ」
「知らない訳がねえだろう。俺は奴から聞いてるんだ」
「あなたも変な人ねえ。警察に訴えるわよ」
「訴えたければ訴えればいいだろう。困るのはあんたの方じゃねえか」
 男は居直ったように言った。
 わたしは受話器を置いて電話を切った。
 困るのはあんたの方じゃねえか・・・・。
 一体、男は何処までわたしと中沢との関係を知っているのだろう ?
   不安で一杯になった。
 男は電話を掛け直して来た。
「なんで切っちゃうんだよお。切っても無駄だって事はあんたにもわがっだろう。こんな事を何時までも繰り返してると、そのうち、社員達に知られてしまうよ。それでもいいのかい」
 男は静かな声で言ったが、その言葉にはわたしを恐怖のどん底に突き落とす響きが込められていた。
 社員と言う言葉がわたしの心に突き刺さった。
 わたしは言った。
「いいわ。あなたに会ってもいいわ。それで何が欲しいの ? お金 ? それでわたしを脅迫しているの ?」
「脅迫なんかしてねえよ。中沢栄二が何処に居るか教えてくれさえすりゃあ、それでいいんだよお」
「だから、そんな人は知らないって言ってるでしょう」
「知らねえ訳がねえって言うんだよお。俺にはあんたが中沢を知ってる確かな証拠があんだから」
「確かな証拠、その証拠って一体なんなの。教えてよ」
 息がつまった。写真を持っているとでも言うのだろうか ?
「一体、あなた誰なの。名前を言いなさいよ。警察に訴えてやるから」
 厚手の曇りガラス一枚隔てただけの隣室にいる秘書や社員達が気になった。
 わたしの声はだんだん低くなっていた。





            ーーーーーーーーーーーーーーーーー




             takeziisan様


              季節はすっかり秋になってしまいました
             光陰矢の如し 季節の穏やかな推移が無くなってしまったように思われます
             そのためか 二 三日前に咲き始めた木犀 今年は例年のような強い香りがしないまま
             この辺は雨ですので散ってしまいそうです ちよっと気抜けがしたり
             寂しくもあります      
              今年も四台の扇風機 それにしても驚きです
             今年の猛暑を扇風機で乗り切ったとは ! それだけ
             自然の環境が違うのでしょうか いやあ 驚きです        
              秋の景色 堪能しました 奥那須秘湯 煙草屋旅館
             いい風情ですね 那須地方へは行った事もありますが
             那須 塩原と言う言葉に懐かしさを覚えます 身体の動けるうちに
             また行ってみたいですがどうなる事やら        
              アルフレッド ハウゼ 懐かしいですね
             何時聴いても良いです 郷愁を誘われます
              カール ブッセ 山のあなたの空とおく
             二十代の初め頃住んでいた街で駅からの帰り道
             商店街の宣伝放送がよくこの詩を流していました
             馴染み深い詩の一つです
              秋の日のヴォロンのためいき
             有名な詩ですが 現代の作家が訳したものは少し違っていて
             正確に訳したのでしょうが 何か味気ない気がします   
             里の秋 以前にも書きましたが作詞者はわたくしの住んでいた村の                
             隣りの隣りの村の出身です ですから東北地方をイメージして書いたと言う
             作者の言葉にも関わらず自分の住んでいた地方の風景が
             多分に織り込まれているのだとわたくしは勝手に思ったりしています
             実際 そのままの風景が折れ込まれています
             懐かしい風景です
              野菜の高い事 驚くばかりです 
             わたくしは滅多に観ないテレビの中でテレビ東京の「なぜそこに」という
             山深い辺境に住む人を訪ねる番組が好きで時々 見るのですが
             そこで自由に 川で魚を捕ったり 広々とした畑で
             それこそ サルやイノシシたちと戦いながら自然の中で暮らしている人達を見ると  
             都会に住む人達よりはるかに人間としての豊かな生き方をしているなあ と
             思い 改めて豊かさとは何かと思ったりしています
              今回も美しい山岳写真を始め 楽しい記事を有り難う御座いました           





              桂蓮様             
 

               有難う御座います
               新作が見えませんので旧作を逍遙していましたら
              不眠症とツボの話しが出ていましたので拝見しました
              以前 拝見した記憶がありますが改めてとても面白く拝見しました
              耳の後ろ 顎との接点 ここは重要なツボのようです
              わたくしも毎朝 目覚めた直後や洗面の後など人差し指と中指で耳を挟むようにして
              必ず十回以上の 力一杯のマッサージをしています           
              ツボへの刺激 現代科学の信奉者は否定的かも知れませんが
              侮れません わたくしは実際にそうして神経痛も治して来ましたし
              現在もこの夏の猛暑で傷んだ膝の痛みを治しています
              気温の低下による体の負担の軽減もあるのかも知れませんが
              最近はほとんど痛みを感じなくなりつつあります
              いずれにしても人の体も血行を良くして手入れをしなければ 
              衰えるばかりです 車と同じ事です 車でも手入れをしなければ
              錆び付くばかりです
              自分でやる 何事も人頼みでは長くは続かないし
              自分の望む好結果も得られないのではないでしょうか
              有難う御座いました
               冒頭の様々なお写真 拝見する度に心洗われます
             
















遺す言葉(468) 小説 いつか来た道 また行く道(28) 他 無は無限大

2023-10-08 13:08:00 | つぶやき
            (2023.6.24日作)



 無は無限大 限界はない  
 存在が限界を定(き)める
 無の心
 一つ一つに反応
 囚われの心
 制限 限定
 自由な羽ばたき不可
 軌道修正 束縛される
 無心 無
 純白 無
 可能性 無限大
 何色にも染まる



              

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            いつか来た道 また行く道(28)



 
 
 炎が消えて炉の中に灰を見た時、これで計画の第一段階が終了した、と思った。
 残る懸念は中沢の交友関係だった。それでも、それは余り心配しなかった。
 おそらく中沢同様、彼等の誰もが脛に傷を持つ存在に違いないと推測した。
  中沢の不在を嗅ぎ付けても声高に騒ぎ立てる事はないのではないか。
 どの道、中沢の交友関係なら、裏街道を生きているような人間達に思えた。         
 中沢自身、友達らしい友達の居ないような事も言っていた。   
 それも安心材料の一つになっていた。
 わたしの平穏は保たれた。
 何事もない日々が続いた。
 安心感と共に妄想に苦しむ事もなくなった。
 わたしはまた、レストランで食事をしたり、仕事仲間と一緒に映画の試写会に行ったり、劇場へ足を運んだりしていた。
 街路樹の陰に男の姿を見たのは中沢栄二を殺害してからひと月以上が過ぎた日の夜だった。
 来春のブラウスの売り込みに来た業者が帰った後、一息入れる為にタバコに火を付け窓辺へ行った。
 クリスマスの飾り付けや年末の装いなどを凝らした街は華やいで見えた。
 しばらくはその街並みの華やぎを見下ろしながら吹かす煙草の煙りと共に、順調に進んだ商談への満足感に浸っていた。
 煙草の灰が長くなり、短くなった煙草に気付いて慌てて手にした灰皿の中で火を消して窓辺を離れようとした時、ふと、思いがけず眼に飛び込んで来た一つの景色に心が留まった。
 おやッ、なぜだかその時、そう思った。
 一本の街路樹に身を寄せて黒っぽい服装をした一人の男がタバコ を吹かして立っていた。
 普段、何処にでも見られるありふれた光景だった。
 それでいながら何故かその時、そう思っていた。
 わたしは窓の横の壁に身を隠して男の様子を窺った。
 男の動きに不自然さは見られなかった。男はただ、通りを見詰めたまま街路樹に身を持たせ掛けて退屈そうに煙草を吹かしていた。
 しばらくはそんな男の様子を見詰めていた。
 依然として、男の様子に不自然さは見られなかった。
 気のせいだ、とわたしは思った。と同時に、心の奥の何処かではまだ、怯えの意識が抜け切っていないのだろうか、と自分自身の気持ちを思って沈み込む気分になっていた。
 二度目に窓辺へ行ったのは四十分近くが経った午後七時過ぎだった。
 シヤッターを降ろす前に用心の為にカーテンの隙間から覗いて見ると男の姿は既になかった。
 やはり気のせいだ、となぜか安堵する気分に包まれていた。
 その日、それでもわたしは車を出す時、何時ものように正面の出口から出る事をしなかった。裏の出口を使っていた。無意識裡の行動だった。何故、そうしていたのか、自分にも分からない。自然な気持ちでそうしていた。無意識裡の警戒心かも知れなかった。
 男の姿を再びその場所に見たのは、三四日経ってからだった。
 男は同じような服装で同じように煙草を吹かしながら立っていた。
 昼間見た時には居なかった。
 午後六時過ぎの退社時間に近い時刻だった。
 男のその黒っぽい服装と共にわたしは再び眼にした男の姿に、もしや刑事では ? という警戒心に捉われていた。
 胸の鼓動が早鐘を打った。
 わたしは黙ったまま窓辺を離れた。
 まだ社員達も居た。
 その日もわたしは社員達が帰った後、最後まで事務所に残っていた。
 帰る時間になって先程眼にした男の存在が気になって再び窓辺に行った時、男の姿はなかった。七時に近い時刻だった。
 いよいよ帰る時になって事務所の扉を閉め、鍵を掛けてハンドバッグに合い鍵をしまいながら人気のない廊下を歩いている時、ふと、思わぬ不安に捉われた。
 もしや、先程、姿を見せなかった男がこの人気のない廊下の何処かに身を隠して待ち構えているのではないか ?
 勿論、理由のない不安だった。
 それが、中沢を殺害して葬った事による無意識の怯えによる不安だという事はすぐに理解出来た。
 日頃、平静な気持ちで日々を送って居ながら、依然として心の奥底の何処かでは無意識裡の怯えに怯えている自分自身を、改めて意識せずにはいられなかった。
 その無意識裡の不安に怯えながらその日、わたしは自分の車を使わなかった。
 依然として先程見た、正体の知れない男の姿と共に、あの男が刑事だとは限らないだろうし、わたしの様子を窺っていたという証拠になるようなものも無いのだ、と思いながらもなお、怯える心のまま警戒心を解く事が出来ずに駐車場の裏口から出て、タクシーを利用して自宅に帰った。
 その夜は眠れなかった。同じ男の姿を二度、同じ場所に見た、という事実が胸の底に凝(しこり)となって絡み付いていた。
 何でもないのだ、思い過ごしにしか過ぎない、わたしのあの秘かな行動が他の人に知られるはずがない。
 そう心に言い聞かせて眠りに入ってもすぐにまた、奇妙な夢を見ては眼を覚ました。
 何度かそんな事を繰り返した。
 それでも朝が明けると何時もの様に身支度を整えて出社した。
 何時もと同じ様に仕事をした。
 その間には何度も窓辺へ行って外の様子を窺った。
 男の姿はなかった。
 やっぱり、気のせいだったんだ、と自分に言い聞かせた。
 そしてまた三四日、男の姿を見る事はなかった。
 その電話が鳴ったのは、午後九時を過ぎていた。
 わたしは自宅に居て夕食も済ませ、テレビを点けたまま最新のモード雑誌に眼を落としページをめくっていた。
「はい、杉本です」
 わたしが応えると電話の相手は、
「杉本美和さんのお宅ですか」
 と言った。
 男の声だった。
「はい、そうです」 
 今頃、聞き慣れない男の声で電話を掛けて来るなんてなんだろう、と軽い不審の気持ちと共に答えると、
「ブテック・美和の社長さんですね」
 と、男の声は言った。




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             桂蓮様

              新作 拝見しました
             勉強 人は一生勉強ですね
             もう ここで良い という事は無いですね
             総ての事象はそれぞれ何処かで少しずつ違っている
             その度に人は勉強をしている という事ではないでしょうか
             書物を読んで得る知識 実際に体験して得る知識      
             体系化出来る知識はどちらでしょうか ? わたくしは常々
             知るという事は自身の血肉と化す事だと思っています
             その点で書物から得ただけの知識はまやかしものだと思っています
             どんな偉い学者の言葉より実際にその場に立ち会っている人間の言葉を信じます
             その言葉には実践者でしか知り得ない深い真実 叡智が必ず含まれています
             漁業にたずさわる人 農業に係わる人 工場で小さなネジを造る人
             その場に係わる人の言葉には実践者でしか知り得ない
             深い真実が隠されています その小さな真実は理論 理屈の上には表れません
             実践者の感覚でしか掴み得ません そしてそれが出来た時にこそ
             初めて知っている という事が出来るのだと思います
             そうです 体系化出来るのです 実践者は必ず細かい部分
             眼に見えない部分までも説明してくれます それが
             知っているという事の真の姿ではないでしょうか
             その点で現在の世の中はなんと似非(えせ)知識人の多い事か !
             何処かから見聞きして来た情報を得意気に語って知っている振りをする
             世の中そんな人間達で溢れています テレビやインターネット
             知ったかぶりの知識人達のなんと多い事か 新作を拝見しまして
             改めてそう思っているところです      
              大変 興味深い記事 面白く拝見しました
             有難う御座いました
             また何時もわたくしの駄文にお眼をお通し戴く事に
             改めてお礼申し上げます



               takeziisan様


                コメント有難う御座います
               さすが物語を読み慣れた方の御感想 的確にお読み戴いていると
               嬉しい気持ちになります    
               結末についてはどうなるか筆を進めて見なければ分からない部分です
               大方のシナリオは出来ていますが 物語は主人公の動きによって
               作者自身 思いも掛けない方向へ進んでしまうものです
               多くの作家の方々がそう言って居ます また
               そうでなければ作品としては生きたものにはなりません
               作者が考えて作るものではなくて作中人物達の動きを追っているうちに
               作品が出来上がってゆきます ですから粗筋に従って題名を付けたりしていても
               結末はどうなるかは分からない部分です
                 思わぬ方角に進んでしまう事もあります            
                御丁寧にお読み戴き感謝しています
               今回も様々な記事 楽しく拝見させて戴きました
               ドングリ 少ない
               やはり異常気象でしょうか 木の実が少ない為 
               人里への熊の出没も増えているという事ですので
               また野菜なども今年は例年になく品薄になっていますね                          
               その高値にびっくりします
               自家製の梅酒で一杯 最高の贅沢 喜びではないでしょうか               
               それにしてもイノシシ リアルな足跡 傍目にはその環境の素晴らしさが
               実感出来るのですが 実際問題としては そんな暢気な事など言ってられない
               そういう事でしょうね 
                悲しき口笛 天才少女 美空ひばり
               面目躍如たるものが有ります 以前にも書きましたが
               完全に大人の歌になっています 何よりもこの頃の歌には飾り気がなくて
               素直に耳に入って来ます 画面を見ていて懐かしさと共に  
               当時を思い出して胸が熱くなりました
                後年 美空ひばりを初めて舞台に見た時には
               そこにいて歌っている 小柄な女性がどうしても実物の美空ひばりとは思えない
               奇妙な感覚を味わった事があります
               自分の頭の中の美空ひばりの存在の大きさと
               実物の一人の小柄な女性とのギャップに混乱していたのです 
               不思議な感覚でした
                脚 腰 痛っ 痛っ ! 年齢と共に確実に 肉体の衰えてゆく事が実感出来ます
               わたくしもこの夏の猛暑による肉体の衰えのせいか 
               膝の痛みに悩まされました でも 宣伝しきりの薬など使うのも嫌だし と思い
               柔軟体操 マッサージなどで紛らわして来ました
               暑さも収まり さてこれからどうなるか ?
               幾分 以前より楽になった気がします
                これから歳を重ねるばかり どうぞ御無理をなさいません様に
               何時も楽しい記事共々 有難う御座います
               御礼申し上げます
                なお 前回のお礼を書いた文章で一部
               「です」の所で「す」の字の抜け落ちている部分がありました
               何時も細心の注意を払っている心算ですが
               大変失礼しました 改めて直して置きましたが
               この器具の便利さと共にちょっとした事でミスにつながる
               恐ろしさを実感しました





遺す言葉(467) 小説 いつか来た道 また行く道(27) 他 独創性

2023-10-02 17:20:54 | つぶやき
            独創性(2010.11.12日作)


 
 
 世の中に真に独創的なものなど存在しない
 総ては人々が営々と築き上げて来た叡智
 知識の上に成り立つものであり
 その上書きにしか過ぎない

 だからと言って今現在
 様々に創り出されているものに価値が無い
 という事にはならない 何故なら
 その時代には その時代にしかないものが有り
 その時代にしかないものが初めて 人類
 人間が営々と築き上げて来た知識の上に付け加えられ
 見事に表現された時には それは
 新しいものであり
 価値を持つものとなる




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             いつか来た道 また行く道(27)



 
 
 何人かの来訪者と会って商談も進めた。
 輸入するハンドバッグの広告の為、広告会社の社員とも会った。
 その日一日で溜まっていた仕事も大筋、方が付いた。
 翌日には思いも掛けない自由な時間が得られた。
 午前中の仕事を済ますと午後からの仕事を秘書に託してⅠ時過ぎに事務所を出た。
 専務の高木は外出中で特別な言付けも秘書には託さなかった。
 わたしの動きは誰にも知られたくはない !
 心は固まっていた。迷いはなかった。気持ちの落ち着きと共に冷静な判断力も戻っていた。
 一旦、自宅へ帰って服装を変えた。
 ジーンズのスラックスに厚手の茶のセーター、化粧を落として素顔にした。
 イヤリングも、ダイヤを散りばめた指輪も外して、何処にでも見られる普通の主婦の印象にした。
 目元を隠す為にぼかしの入った薄茶の度なしの眼鏡を掛けた。
 普段、強い日差しを避ける為に使っている眼鏡だったが、地味造りの服装には少し不自然に思えた。でも、仕方がなかった。素顔をさらす勇気はない。
 そのあと、薄手の手袋とビニール袋を用意した。ビニール袋は中沢の部屋にまだ残されていると思われる写真やネガフィルムを探し出して入れる為だった。中沢の上着から取り出した財布に入った合鍵も持った。
 自宅を出たのは三時少し過ぎだった。
 タクシーを利用した。
 免許証から住所を探した出した中沢の居たアパートは中央区新川にあった。
 狭い路地の奥にある古ぼけた建物を探すのに苦労した。
 灰色にくすんだ二階建ての木造アパートは中央の玄関入口を中心に一、二階それぞれ左右に四つずつの部屋を持っていた。
 そのどれもの窓が閉じられていて人の気配が感じられなかった。
 門扉のない薄汚れたブロック塀に囲まれた入口からそれでも人目を気にしながら入ると急いで玄関に向かった。
 三メートル程の距離だった。
 玄関に入ると左右にそれぞれ下駄箱が備えられていて名前が書かれていた。
 その上には郵便受けらしきものもあった。
 中沢の名前を探すと建物の左手、二階の部屋の一番奥が中沢になっていた。
 依然として建物の中に人の気配は感じられなかった。
 働き盛りの独身者ばかりが住む建物なのかと思ってみたりもした。
 玄関を上がると平底のパンプスを手に持ってすぐに中央にある階段を昇った。
 二階廊下を左手へ向かうと突き当りに薄れかけた墨で中沢栄二と書かれた表札の室があった。
 茶色の汚れた合板扉にはくすんだ色の真鍮のノブが付いていた。
 下には鍵穴があった。
 その鍵穴を見て愕然とした。丸い穴の下に小さな切れ込みのある形式のものだった。
 中沢の持っていた合鍵にはこの形式に会うものはなかった。総てが板状のものだった。一目で判断出来た。
 それでもポケットから合鍵を取り出して確かめてみた。
 やはり合う形はなかった。
 困った事になった !
 途方にくれた。鍵穴を見詰めたまま呆然としていた。
 まさか扉を破って押し入るわけにはゆかない。
 ふと気が付いて誰かに見られていないか振り返った。
 依然として静まり返った建物の中、廊下に人影は見られなかった。
 試みに部屋の中に誰か居ないか、小さくドアを叩いてみた。
 中からの反応はなかった。
 ノブに手を掛け、廻してみた。
 ドアも動かなかった。
 一旦、ドアの前から離れた。
 人目を警戒して階段の方へ戻った。
 階段を降りて手にしていたパンプスを下に置き足を入れようとした時、中沢と書かれた郵便受けの文字が眼に入った。
 途端に頭の中を過ぎるものがあった。
 もしや、郵便受けの中に入ってやしないか ?
 早速、郵便受けに手を延ばし、留め具をひねって開けてみた。
 中は広告のチラシでぎっしりと埋まっていた。
 中沢の長い不在を証明するもののように思えた。
 普段、中沢がどのように行動していたのかは分からなかったが、昨日や今日の不在で放ったらかしにされた郵便受けのようには思えなかった。
 広告はそのままにして手を差し込み、中を探った。
 右の片隅に微かに手に触れる堅いものがあった。
 握ってみると紛れもなく合い鍵状のものだった。
 これだ ! と思った。
 すぐに手を引いて取ったものを見てみると紛れもなくドアの鍵穴と一致する合い鍵だった。
 小躍りしたい程の喜びだった。そのまま郵便受けの蓋を閉めて階段を駆け上った。
 
 合い鍵で開けて入った部屋は四畳半の狭い部屋だった。
 台所らしきものはあったがトイレはなかった。
 薄汚れた布団が二つ折りにされて片隅に放り出してあった。
 間口半間程の押し入れを開けてみると、二段になった上には毛布や衣類が雑多に押し込められていて、下には様々な物の入ったダンボール箱や踵の取れて破けた革靴などが積み重ねられてあった。
 写真やネガフィルムは十四五センチ程の四角い段ボール箱に入れられていた。
 取り出してみると、よくもまあ、こんなに、と思える程の写真やネガフィルムだった。
 その写真やフィルムはそのままビニール袋に詰め込んだ。
 中には見知らぬ女性の顔も散見されて、わたしのものばかりではないらしい事が分かった。
 それでもかまわずに詰め込んだ。
 その箱が空になると他の箱も探してみた。
 幾つもの箱が破けた下着や漫画雑誌、スポーツ新聞、即席ラーメンの空容器などで埋まっていた。
 全部の箱を探し終えた時にも、怪しげな写真やネガフィルムは見付からなかった。
 よし、これでいいだろ・・・納得する思いと共に、麻薬に関するものの何一つ見付からない事に気が付いて、不思議な思いに捉われた。クスリに関しては彼が細心の注意を払っていたらしい事が、なんとなく理解出来た。
 気が付いた時には、部屋の中は既に薄闇に包まれていた。
 こんな時間になってしまった !
 慌てる気持ちと共に急いで掻きまわした後を整えて押し入れを閉めた。
 そのまま薄汚れた布団が隅に寄せられてある異臭のこもった部屋を出た。
 誰かに見られた気配はなかった。
 首尾は上々だ、とほくそ笑む思いだった。
 急いで玄関へ戻ると、パンプスがそこに置かれたままになっているのに気が付いてギョッとした。
 誰かがこれを眼にしなかっただろうか ?
 でも、今更、仕方がなかった。そのまま急いで足を押し込むと合い鍵を元の場所に戻して逃げるようにして玄関を出た。
 誰にも会わずにアパートを出る事が出来た。
 門を出ると小走りに路地を走って大通りへ出た。
 タクシーを探しながら足早に歩いた。
 ようやく来たタクシーを捕まえて座席に腰を埋めた時には思わず安堵の溜息を漏らしていた。
 
 写真もネガフィルムもビニール袋と共にマンションの敷地内にある焼却炉に投げ込んだ。




            
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               桂蓮様


                リッチな家 なんとなく想像出来ます 
               アメリカ ヨーロッパなどの映画を観ますと
               日本人の感覚からすると宮殿なのかと思われるような豪邸が
               しばしば登場します きっと あのような家なのだろうなと思っています
               いずれにしても住めば都で多少貧しくても不便でさえなければ
               住み慣れた場所が一番いいのではないでしょうか
               高望みをすれば限(きり)がないですものね
                新作 拝見しました
               苦痛がないのにビックリ その感覚 理解出来ます
               心が解き放されたような軽やかさを覚えますよね
               それにしても長い苦痛から解き放されて良かったです
               何事もその動きに任せ 無理は禁物 無理は必ず反作用を伴いますね
               良い御文章です まさしく真実です
               一つの正しい事に辿り着くまでには何事に限らず
               出だし 基本が大切ですね 基本の出来ていない事は
               土台のない建物と一緒で必ず何処かで崩れ ボロが出て来ます
               バレーに限らずなんでもそうだと思います
               改めて自覚している次第です
                大雨 昨日のこちらの新聞にもニューヨークが大雨だと出ていました
               日本でも所によっては大雨による災害が数多く出ています
               でも わたくしの居る所では雨が少なく夏の間は屋上にある花木への水やりが
               大変でした とりわけ暑かった今年の夏 体力的にもさすがに応えました 
               今は幾分その暑さも収まり なんとなくホッとしているところです 
               お気遣い戴き 有難う御座います
               どうぞ桂蓮様も御無理をなさらず楽しんでバレーをお続け下さい  
                 有難う御座いました




                takeziisan様


                 今回も様々 楽しませて戴きました
                悲しき・・・・ 少年兵とクラウンは知りませんでした
                インデアン 森山加代子 懐かしいですね
                まだ幼い面影 坂本九 共にもうこの世には居ない
                夢のようです
                 ダソイ わたくしの方ではソダイ(そうだ)という言葉は使いますが
                ダソイは知りません それに へっこめろ
                やはりお国のほうの言葉遣いでしょうか 初めて聞きます
                ひっこめろ がわたくしには耳慣れた使い方です
                それにしても方言にはそれぞれの地方の匂いがあっていいものだと思います
                 ゴーヤジャム まさに贅沢 羨ましい限りです             
                大腸がんを手術していますの野菜はほぼ食事の中心になっています
                勿論 肉 魚 大豆などタンパク質も欠かしませんが
                それだけに新鮮な野菜は羨ましいです
                 トウワタ 初めて見ます 美しい花です
                わが家では三日ほど前に今年二回目の月下美人が開花しました
                なにしろこの花は夜ふけの花で朝方にはしょぼんとした姿を見るばかりです
                 以前 この欄にも掲載しましたが
                月下美人は艶な花
                香りと姿で魅惑する
                だけどおまえは寂しい花
                夜ふけにひとり そっと咲く
                 というところです
                それに今はタマスダレの白が雨ごとにどんどん増えて      
                わが家の屋上を彩っています
                 名月 こちらでは見られました
                 ワクチン 一度もやっていません  
                むしろ副作用の方を怖れています
                 ここだけの話し・・・・・
                打ち明け話しは相手を選ばないと・・・・
                川柳 毎回 楽しく拝見させて戴いております  
                 楽しい記事共々 有難う御座いました