2年前は母親と女房の介護をしていた。
22年前には大晦日に入院した父の介護を晩から翌朝までしていた。
昼間はまだ元気だった母や女房、それに東京から叔父が来て介護をした。
病院は医療行為をしても、介護はしてくれない。
正月休みは何とかなったが、仕事が始まってからは地獄の生活だった。
それでも病人の為に介護は必要だ。
今日、ある『判決』に関して、NHKがニュースで特集した。
それは看護師が与えたおやつのドーナッツで施設の入所者が亡くなった事件。
刑事事件となり、地方裁判所で『有罪』の判決。
控訴した。
その高等裁判所判決が明日あると言うのだ。
焦点はその事件そのものではなく、『有罪判決』に当たっていた。
有罪判決以来、施設での方針が180度変わってしまった。
本来介護は、介護される人が尊厳をもって楽しく過ごせることが重要だ。
この『楽しく』は特別な楽しさではなく、日常の楽しみにある。
例えば、入所者は大好きな『煎餅』を口にできなくなった。
年に一度の旅行も中止になった、のはコロナが原因ではない。
施設の屋上に特設した露天風呂も止めざるを得なかった。
入所者に楽しんでもらおうとした行為が『有罪』となるかも知れない。
そう考えると、何もできなくなる。
ただ『安全』だけを求めて。
この不条理な『判決』に対して70万件を超える反対署名が集まった。
私は思うのだ。
高齢化社会において介護施設は欠かせないものになる。
ひょっとしたら、私もお世話になるかもしれない。
介護を担う人々には感謝するばかりだ。
ところが、その人々の社会的地位は決して高くない。
給料も最低賃金に近い人もいるようだ。
仕事の大変さは並大抵でない。
それでいて、責任だけは異常なほど取らされる判決。
こんな不条理な『判決』を出した裁判官は実態をまるで知らないのだろう。
明日の判決を注視しよう。