途上国では、輸入に頼っており、その際にドルを払うために、外貨獲得が奨励される。日本でも1970年までは「ドルを稼げ」と言われていた。
今は言われませんね。輸出をたくさんしてドルが十分にあるからでしょう。
だから、途上国では、弁護士も、ドルで請求してくる。
一方、先進国では、弁護士は、その弁護士の自国通貨で請求します。
この10年近くの中山国際法律事務所がお世話になった海外の弁護士がどの通貨で請求してきたかをまとめました。
○自国通貨
・ドイツ
○自国通貨
・ドイツ
・イタリア
・オーストラリア
・シンガポール
・シンガポール
・香港
・タイ(USDもある)
○USDの国
・インドネシア
・スリランカ
・カンボジア
・パキスタン
・バングラデッシュ
・ベトナム
・フィリピン
・マレーシア
・韓国(ウォンもある)
・インドネシア
・スリランカ
・カンボジア
・パキスタン
・バングラデッシュ
・ベトナム
・フィリピン
・マレーシア
・韓国(ウォンもある)
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日本円弱くなっているから、ドルで請求する日本人弁護士が増えているけど、、的に事情を説明して、カナダ、豪州、シンガポール、香港の友人弁護士4名に、どの通貨で請求しているかを訊きました。
「為替の上下があっても、為替リスクを避けるためにもちろん自国通貨で請求するに決まっているだろ」的な回答でした。
ですから、日本人弁護士が、ドルが強いからと言ってドルで請求すると、相手方からは、「お前ら途上国か」とバカにされることになるのではないでしょうか。
日本に事務所があれば、報酬の基準となるコスト(賃料・人件費)は日本円でかかっています。それをドル建てにする理由はないはずです。
また、メーカーさんとかと違って、弁護士業界では、パワーバランス的に、弁護士が「上」というか、高度な法的サービスを提供しているというバーゲニング・パワーを持ちます。
そのため、「弁護士側が為替リスクを負担しない自国通貨を使う」のです。この点が、一般企業との違いです。
一般的にも、為替リスクを負う/為替の恩恵を被るのは、支払う側であって、支払いを受ける側ではないはずです。
以上を前提にしますと、「円安になったからドルで請求して儲けよう」という弁護士が、果たして美しいのでしょうか。「相手方からどう見られているか」を考えましょう。
円が弱くなっている今こそ、我々の心の強さが問われています。