本日8月14日は、白雉以来32年間断絶していた日本の元号が再開して新元号が朱鳥と定められた日で、源義仲の入京に伴って平宗盛率いる平家一族が安徳天皇を連れて三種の神器と共に西国落ちした日で、伊豆修善寺に幽閉されていた鎌倉幕府2代将軍源頼家が入浴中に謀殺された日で、江戸幕府が米を上納を条件に大名の参勤交代による江戸滞在を半年に短縮する上米の制を導入した日で、ドイツのケルン大聖堂が建設開始から600年以上たって完成した日で、フィリピン占領のためアメリカ軍が派遣された日で、日本・ドイツ・イギリス・フランス・ロシア・アメリカ・イタリア・オーストリア八カ国連合軍が北京に入城して義和団の乱が終結した日で、中華民国がドイツ帝国・オーストリア=ハンガリー帝国に宣戦を布告した日で、1918年米騒動の飛び火を防ぐために内務省が各新聞社に米騒動の記事の差し止めを命令した(捏造記事を書いて民衆を煽るようなことをすれば政府は介入してしまう)日で、ドイツでヴァイマル憲法が施行された日で、フランクリン・ルーズベルト米大統領が社会保障法に署名してアメリカが社会保障制度を初めて導入した日で、軍法会議で二・二六事件の背後首謀者として北一輝らに死刑が宣告された日で、平沼騏一郎国務大臣が国家主義団体勤皇まことむすび会員に狙撃されて重傷を負った日で、最後の御前会議でポツダム宣言受諾を再確認して無条件降伏を決定した日で、満州国興安総省葛根廟で非武装の日本人避難民がソ連軍の攻撃を受けた日で、深夜から翌日未明にかけて陸軍省と近衛師団の一部将校が終戦阻止のため決起して近衛師団長を殺害し玉音放送の録音盤奪取を図った日で、フィリップ・ジンバルドーがスタンフォード大学の模擬監獄でスタンフォード監獄実験を開始した日で、ポーランド・グダニスクのレーニン造船所でレフ・ヴァウェンサ率いる労働者がストライキに突入した日で、ニューヨークを含む北アメリカ東北部で大停電が起こった日で、日本の首都圏で大規模な停電が発生した日で、李明博・韓国大統領が天皇陛下について「『痛惜の念』などという良く分からない単語を持ってくるだけなら来る必要はない。韓国に来たいのであれば独立運動家を回って足を縛って跪いて謝るべきだ」と謝罪を要求する発言をして天皇陛下と日本を愚弄し侮蔑して挑発行為を行った(そもそも日王って何?)日です。
本日の倉敷は晴れのち雨でありましたよ。
最高気温は三十三度。最低気温は二十七度でありました。
明日は予報では倉敷は雨となっております。台風が接近しているのでお気をつけくださいませ。
本日の倉敷は晴れのち雨でありましたよ。
最高気温は三十三度。最低気温は二十七度でありました。
明日は予報では倉敷は雨となっております。台風が接近しているのでお気をつけくださいませ。
昔、蔵屋敷が立ち並ぶ通りに源助という金持ちの商人が住んでいた。
此の人にお園という一人の娘があった。
お園は非常に怜悧で、また美人であったので、源助は田舎の先生の教育だけで育てる事を遺憾に思い、信用のある従者をつけて娘を京にやり、都の婦人達の受ける上品な芸事を修業させるようにした。
斯うして教育を受けて後、お園は父の一族の知人の商人に嫁けられ、ほとんど四年の間その男と楽しく暮した。
然るにお園は結婚後四年目に病気になり死んでしまった。
その葬式のあった晩にお園の遠縁の子である狐という変わった名前の子供が、お園さんが二階の部屋に居たよと云った。
お園は狐を見て微笑んだが、口を利きはしなかった。
それで狐は不思議に思って二階から降りてきて大人に話したのであった。
そこで、一家の内の誰れ彼れが、お園のであった二階の部屋に行ってみると、驚いたことには、その部屋にある位牌の前に点された小さい灯明の光りで、死んだ女の人の姿が見えたのである。
お園は箪笥すなわち抽斗になっている箱の前に立っているらしく、その箪笥にはまだお園の飾り道具や衣類が入っていたのである。
お園の頭と肩とはごく瞭然はっきり見えたが、腰から下は姿がだんだん薄くなって見えなくなっている――あたかもそれが本人の、はっきりしない反影のように、また、水面における影の如く透き通っていた。
それで人々は、恐れを抱き部屋を出てしまい、下で一同集って相談をした。
お園の夫の母の云うには『女というものは、自分の小間物が好きなものだが、お園も自分のものに執著していた。たぶん、それを見に戻ったのであろう。死人でそんな事をするものもずいぶんあります――その品物が檀寺にやられずにいると。お園の著物や帯もお寺へ納めれば、たぶん魂も安心するであろう』
それで、出来る限り早く、この事を果すという事に極められ、翌朝、抽斗を空にし、お園の飾り道具や衣裳はみな寺に運ばれた。
しかしお園は次の夜も帰って来て、前の通り箪笥を見ていた。
それからその次の晩も、次の次の晩も、毎晩帰って来た。
なので、この家は恐怖の家となった。
狐は、お園姐さんが自分を祟ったりはすまいと考え、お園姐さんが箪笥の中に何か隠しものをしていたのならばまだそれは箪笥の中にあるに違いないと考えて幽霊の出る部屋に入った。
すると、お園の姿が不意に箪笥の前に、いつとなく輪廓を顕して現れた。
その顔は何か気になると云った様子で、両眼をじっと箪笥に据えていた。
狐はお園に話しかけた。
『私は御姐さんのお助けをする為に、ここに来ました。定めしその箪笥の中には、御姐さんの心配になるのも無理のない何かがあるのでしょう? 御姐さんの為に私がそれを探し出して差し上げましょうか?』
影は少し頭を動かして、承諾したらしい様子をした。
そこで狐は一番上の抽斗を開けてみた。
しかし、それは空であった。
つづいて狐は、第二、第三、第四の抽斗を開け、抽斗の背後や下を気をつけて探した。
しかし何もない。
お園の姿は前と同じように、気にかかると云ったようにじっと見つめていた。
『どうしてもらいたいと云うのかしら?』と狐は考えた。
が、突然こういう事に気がついた。
抽斗の中を張ってある紙の下に何か隠してあるのかもしれない。
と、そこで一番目の抽斗の貼り紙をはがしたが――何もない!
第二、第三の抽斗の貼り紙をはがしたが――それでもまだ何もない。
しかるに一番下の抽斗の貼り紙の下に何か見つかった。一冊の薄い草紙である。
『御姐さんの心を悩ましていたものはこれ?』と狐は訊ねた。
女の影は狐の方に向った。
その力のない凝視は草紙の上に据えられていた。
『私がこれを焼き棄てましょうか?』と狐は訊ねた。
お園の姿は狐の前に頭を下げた。
『すぐに焼き棄て、私の外、誰れにもそれを読ませません』と狐は約束した。
姿は微笑して消えてしまった。
草紙は焼き棄てられた。
それは顎が尖った若い男二人が睦み合う表紙の草紙であった。
草紙が焼き捨てられた後、果してお園の影は遂に顕れなかった。
此の人にお園という一人の娘があった。
お園は非常に怜悧で、また美人であったので、源助は田舎の先生の教育だけで育てる事を遺憾に思い、信用のある従者をつけて娘を京にやり、都の婦人達の受ける上品な芸事を修業させるようにした。
斯うして教育を受けて後、お園は父の一族の知人の商人に嫁けられ、ほとんど四年の間その男と楽しく暮した。
然るにお園は結婚後四年目に病気になり死んでしまった。
その葬式のあった晩にお園の遠縁の子である狐という変わった名前の子供が、お園さんが二階の部屋に居たよと云った。
お園は狐を見て微笑んだが、口を利きはしなかった。
それで狐は不思議に思って二階から降りてきて大人に話したのであった。
そこで、一家の内の誰れ彼れが、お園のであった二階の部屋に行ってみると、驚いたことには、その部屋にある位牌の前に点された小さい灯明の光りで、死んだ女の人の姿が見えたのである。
お園は箪笥すなわち抽斗になっている箱の前に立っているらしく、その箪笥にはまだお園の飾り道具や衣類が入っていたのである。
お園の頭と肩とはごく瞭然はっきり見えたが、腰から下は姿がだんだん薄くなって見えなくなっている――あたかもそれが本人の、はっきりしない反影のように、また、水面における影の如く透き通っていた。
それで人々は、恐れを抱き部屋を出てしまい、下で一同集って相談をした。
お園の夫の母の云うには『女というものは、自分の小間物が好きなものだが、お園も自分のものに執著していた。たぶん、それを見に戻ったのであろう。死人でそんな事をするものもずいぶんあります――その品物が檀寺にやられずにいると。お園の著物や帯もお寺へ納めれば、たぶん魂も安心するであろう』
それで、出来る限り早く、この事を果すという事に極められ、翌朝、抽斗を空にし、お園の飾り道具や衣裳はみな寺に運ばれた。
しかしお園は次の夜も帰って来て、前の通り箪笥を見ていた。
それからその次の晩も、次の次の晩も、毎晩帰って来た。
なので、この家は恐怖の家となった。
狐は、お園姐さんが自分を祟ったりはすまいと考え、お園姐さんが箪笥の中に何か隠しものをしていたのならばまだそれは箪笥の中にあるに違いないと考えて幽霊の出る部屋に入った。
すると、お園の姿が不意に箪笥の前に、いつとなく輪廓を顕して現れた。
その顔は何か気になると云った様子で、両眼をじっと箪笥に据えていた。
狐はお園に話しかけた。
『私は御姐さんのお助けをする為に、ここに来ました。定めしその箪笥の中には、御姐さんの心配になるのも無理のない何かがあるのでしょう? 御姐さんの為に私がそれを探し出して差し上げましょうか?』
影は少し頭を動かして、承諾したらしい様子をした。
そこで狐は一番上の抽斗を開けてみた。
しかし、それは空であった。
つづいて狐は、第二、第三、第四の抽斗を開け、抽斗の背後や下を気をつけて探した。
しかし何もない。
お園の姿は前と同じように、気にかかると云ったようにじっと見つめていた。
『どうしてもらいたいと云うのかしら?』と狐は考えた。
が、突然こういう事に気がついた。
抽斗の中を張ってある紙の下に何か隠してあるのかもしれない。
と、そこで一番目の抽斗の貼り紙をはがしたが――何もない!
第二、第三の抽斗の貼り紙をはがしたが――それでもまだ何もない。
しかるに一番下の抽斗の貼り紙の下に何か見つかった。一冊の薄い草紙である。
『御姐さんの心を悩ましていたものはこれ?』と狐は訊ねた。
女の影は狐の方に向った。
その力のない凝視は草紙の上に据えられていた。
『私がこれを焼き棄てましょうか?』と狐は訊ねた。
お園の姿は狐の前に頭を下げた。
『すぐに焼き棄て、私の外、誰れにもそれを読ませません』と狐は約束した。
姿は微笑して消えてしまった。
草紙は焼き棄てられた。
それは顎が尖った若い男二人が睦み合う表紙の草紙であった。
草紙が焼き捨てられた後、果してお園の影は遂に顕れなかった。