イオンシネマ新潟西で(新潟南でもやっていた)「聖地X」を観てきました。
亡くなった父の韓国の別荘で暮らす無職の輝夫と、夫との関係に嫌気がさしてそこを訪れた妹の要。
そこに突然、韓国にいないはずの要の夫の滋が現れるのだが、彼は記憶喪失になっていた。
さらに、要が現れた韓国のある料理店では、不審死や怪奇現象が頻発していた…という、ホラー要素のあるSFミステリー。
2017年の「太陽」に引き続き、劇団イキウメの前川知大さんの演劇を、入江悠監督が映画化。
この映画、ネタバレ厳禁だと思うので遠回しな書き方しかできないのですが、途中まではただただ不可解な現象の連続に、何が何だか分からない、絶妙に気持ち悪い謎に振り回されつつ引き込まれていきます。
そのあと、クライマックスの謎解きでは「そういうことだったのか!」という感動はあったものの、そこには人間の業の深さも描かれ、やっぱり不吉で嫌なものが残るという、まさに劇団イキウメの前川知大さん原作らしい作品でした。
原作が演劇なだけに、俳優さん達の演技と限られた舞台をうまく活かした展開によって、SFという非現実の物語に説得力を持たせ、さらには現実では感じられないような不気味ささえも表現するのは本当に流石だと思いました。
逆に、舞台では絶対無理な映像表現にもガッツリ挑戦していて、映画的な面白さもちゃんとあるわけです(あそこ舞台でどうやったんだろう)。
あと、主人公の輝夫が、妹は仕事も結婚もしているのに、自分は小説家を目指すと言いながらゲームばかりやってるオタクというダメな奴で、そんな彼がSFオタクとしての知識を利用して謎を解いていく下りが、ちょっとした笑いでもありつつ、応援してしまいたくなるカタルシスもある。
特に、そんなダメな輝夫が妹のために命懸けて事件の謎を解こうとする場面は、自分がほぼ同じ境遇(作家を目指す無職だし長男で弟が結婚した)だから妙にぐっときてしまいました。