5/24(月)、イオンシネマ新潟南で、「劇場版 ポリス×戦士 ラブパトリーナ!~怪盗からの挑戦!ラブでパパッとタイホせよ!~」を観てきました(イオンシネマ新潟西でも上映)。
予告編はこちら、
昨年の「劇場版 ひみつ×戦士 ファントミラージュ!~映画になってちょーだいします~」に続き、三池崇史監督のガールズ戦士最新作です。
昨年は三池崇史ファンの友人、渡部さんと男二人で観に行ったわけですが、今年も同じく渡部さんと男二人で観に行ってきました。
会場でノリノリで記念撮影!!
ラブパトリーナの4人がお宝を狙う悪と戦うという、少女(というか幼女)向け特撮なのに、今時誰もやらないようなベタベタなギャグと逆にシュールすぎる悪ノリ満載の、三池ワールドが全開すぎる映画でした。
過去作のファントミラージュも登場し、ラブパトリーナと共闘するという、劇場版に相応しい熱い展開もありました。
美少女達以外にも、子役出身のイケメン俳優の加藤清史郎の爽やか演技と闇堕ちの二面性や、日本を代表する喜劇俳優で永遠のアイドル柳沢慎吾の熱演とネタの数々も楽しめるという、本当にサービス過剰なお祭り映画でした。
子供に伝わるのかよ!または子供に見せちゃダメだろ!な三池流のやりすぎな悪ノリ、一応テーマである様々な形の「ラブ」を強引にぶっ込む脚本、過剰な歌とダンス、そもそも何と戦っていたのか?等々…突っ込み入れたらキリがないけど、ここまで全力でふざけ倒されると逆に清々しく笑えて大満足でした。
余談だけど、おそらく角川武蔵野ミュージアムで撮影されていて、終盤のバトルシーンの背景に会田誠さんのアマビエの巨大な絵が飾ってあったのは狙ったのだろうか。
愛がテーマの映画だから生命を表現したこの絵に合ってたのか?
まあ、そんな全力B級バカ映画なんですが、僕はこの映画にも三池崇史監督の映画哲学みたいなものが描かれていたと思うんです。
というのも、この映画、ラブパトリーナと敵キャラが、時に戦うことをやめて一緒にふざけるような場面が多いのです。
ラブパトリーナと敵キャラの掛け合いはまるでボケとツッコミが行き交う漫才のようだし、映画そのものが一つの大きなコントのようにも思えてきます。
最終的に平和を取り戻したラブパトリーナを見て、敵キャラが「ええ話しやなあ~!」とか言って感動しているわけで、「いやいや、そもそもお前らが平和を奪った原因だろ!」という観客からの心のツッコミも関係なく、映画は感動の大団円を迎えます。
そんなこの映画を観ていると、まるでラブパトリーナと敵キャラがチームワーク抜群のお笑いグループのように見えるのです。
つまり、ラブパトリーナと敵キャラは物語内での立場上は敵同士だけど、一緒にこの「劇場版ラブパトリーナ」という映画を盛り上げる仲間でもあるという読み取り方が出来るのです。
どんな映画であっても、監督と役者、そしてスタッフ達の団体競技で作られる共同作品です。
面白い映画ほど、チームワークが上手くいっていると思うし、チームワークを大切にしていると思うんです。
そして、面白い映画ほど、調べるとそういう役者とスタッフの絆みたいなものに感動させられたりします。
敵味方があるような勧善懲悪の映画であっても、主役と悪役の役者さん同士の連携って本当に大事だと思うし、それは観客を楽しませるために全力で敵同士を演じる最高のパートナーなんだろうなと思うわけです。
で、長年たくさんの映画を作っていて、本当に大勢の俳優さん、スタッフさんと仕事をしてきた三池監督だからこそ、そういうチームワークを大切にしたいという想い、そして映画ってみんなで力を合わせて作る本当に素敵なものなんだよという想い、それを表現したのではないか。
そして、普通の映画であればそういう裏の部分はあえて隠してフィクションの物語を観客に信じてもらえるように工夫するわけだけど、「劇場版ラブパトリーナ」という最初から誰もが悪ふざけとして観てくれる映画だからこそ、そういう本当なら見せてはいけない裏舞台やそこにある素直な気持ちまで見せたのではないか。
それから、三池崇史監督の映画って、例えばヤクザ映画などでも、敵キャラにも人間らしい一面を描いたり、主役にも悪い部分を描いたり、あえて分かりやすい勧善懲悪にしていないような気がするんです。
それはつまり、どんな人間にも正義の部分と悪の部分があるように、世の中も正義と悪、味方と敵にはっきり分けることなどできない、複雑で混沌としたもの、それこそが世界の現実だよ、という三池監督なりのメッセージなのではないかと僕は思っているのです。
映画ってつまり、人間を描くものだと僕は思っているので、そう考えると三池監督のこの作家性は、本当に人間の本質に迫ったものだなと思うわけです。
敵も味方も、映画という作品を構成する一人一人であり、同時にこの世界そのものを構成する一人一人である、そういう想いを、三池監督の映画の敵味方が入り乱れた物語からは感じるのです。
そういう人間の多面性、社会の複雑さ、そしてそれこそが世界であり映画であるという三池ワールドを、物凄く誇張してギャグにして描いたのが、この「劇場版ラブパトリーナ」なのではないか…なんてことを思ったわけです。
まあ、そこまで深く考えなくても、ゲラゲラ笑って楽しめるすごく面白い映画であることは間違いないわけですが…
まあでも、三池監督は、コメディもバイオレンスも人間ドラマも、あらゆるジャンルを撮りまくってきて、どんなジャンルでも全力で作るからこそ、たとえB級映画であっても言葉にできない面白さを感じられる映画になるんだろうな…と思うんです。
まあ、とはいえ、時々絶対これ手を抜いただろ…という本当につまらない映画とかも撮ってしまうわけですが…(「ゼブラーマン」とか)でも今回の「劇場版ラブパトリーナ」は、ちゃんと力を入れて作った映画だと思うんですよね。
僕の中で、子供が楽しむ作品は、特に大人が力を入れて作らないと子供に届かない、という考えがあるのですが、三池監督はそこをちゃんと分かっているからこそ、まさに今回の「劇場版ラブパトリーナ」という子供向け映画を全力を作ったのではないかと思うのです。
まあ、力の入れ方が三池監督の全開の悪ノリなのは、それでいいのか!?というツッコミどころはありますが…少なくとも「これやっときゃ売れるっしょ!子供にはこの程度でウケるっしょ!」みたいな子供向け作品も多い中、子供向けだろうと自分の作家性を全力で作品に込めるのは誠実なやり方だと思います!