舞い上がる。

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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

映画「おかあさんの被爆ピアノ」観てきました。

2020-08-16 23:44:24 | Weblog


8/16(日)、シネ・ウインドで「おかあさんの被爆ピアノ」を観てきました。





看板に新聞の記事が貼ってありました。





予告編はこちら。



被爆した広島で生き残った「被爆ピアノ」を調律し全国でコンサートを開催している調律師の矢川光則さんは、実在の人物がモデル。
そんな矢川さんと出会う奈々子は、東京で幼稚園の先生を目指してピアノの練習をしているのだが、祖母が被爆者であり、被爆ピアノを所有していたことを知る。

祖母の被爆ピアノを矢川さんが調律していたことを初めて知った奈々子は、矢川さんと出会い二人で広島まで旅をすることに。
矢川さんと過ごす中で被爆ピアノへの想いが強くなった奈々子は、ピアノ初心者でありながら被爆ピアノのコンサートに出演することを決める、というドラマです。

矢川さんは佐野史郎さん、菜々子はAKB48の武藤十夢さんが演じています。
あくまでこの映画はフィクションなのですが、フィクションの中で広島や被爆者を巡る現実を描いた映画だと思いました。

例えば、祖母の被爆体験や被爆ピアノを知り、広島の原爆に初めて興味を持った奈々子は、母が自分達が被爆者の子孫であることを隠していたことを知るという下り。
広島や被爆者に対して未だに残る偏見や、それ故にそのことを隠そうとする家族の葛藤など、今でもこういう現実があるのだなあと思わされる描写でした。

また、被爆ピアノのコンサートも実際に行われているものであり、映画の中のコンサートの場面も、実際に行われる時と同様に本当に原爆ドームの前で撮影しています。
さらに、実際に被爆ピアノのコンサートに出演されていると思われる人達が出演したり、広島平和記念式典の実際の映像なども登場したりすることで、劇映画ではあるけど現実と地続きの映画になっていると感じられました。

被爆ピアノのシーンは実際に武藤十夢さんがピアノ演奏に挑戦したということで、武藤十夢さんの役に対する努力が、映画の中の奈々子がピアノを頑張る場面と完全に重なっているなと思いました。
映画の中では、奈々子がピアノの演奏の途中で失敗しても弾き続けるという場面もあるのですが、あの場面が感動的なのは、武藤十夢さんがただの表面的な演技ではなく、本当にピアノを頑張ったから、それが映画に現れているからだと思うんですよ。

そして、たいしたネタバレじゃないので書いてしまいますけど、奈々子の被爆ピアノの演奏を、母が聞きに来てくれる、という場面があるんですよね。
先程も書いたように、奈々子の母は、最初は自分達が被爆者の子孫のことをずっと隠していて、奈々子が広島や被爆ピアノに興味を持つこと自体に反対だったわけです。

そんな母が、奈々子の被爆ピアノの演奏を応援してくれるのは、広島や被爆者の問題や、被爆ピアノという活動をしている矢川さんみたいな人に対して、少しずつ理解が進んでいくことを意味するような、地味だけど希望を感じさせる場面になっていたと思いました。
何より、こうして矢川さんの被爆ピアノの活動が映画化され世の中の理解が進むこと自体が大きな一歩だと思うし、そういう映画にAKB48のアイドルである武藤十夢さん、ベテラン俳優の佐野史郎さんが出演してくれることも、すごく大きな意味があると思いました。
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