のぞきは犯罪です。

演劇祭が終わってから、毎日「AVの夏、放火の夜」の仕込みをしています。
昨日までに客席作り、壁と床の処理、大道具の搬入、照明の搬入などを行いました。

一昨日、ヤギさんが何故か機嫌が悪くて、やたらと俺に当たって来ました。
何か一言口にする度にヤギさんから怒られる悲しい俺。

ま、もしかしたらヤギさんにも何かあったのかも知れないし、俺は何を言われても大丈夫そうだし、別にいいか…
だったら仕方ないか、と自分に言い聞かせていたんですが…

昨日ヤギさんに聞いたら、途中からわざと必要以上に毒舌になって、反応を見て楽しんでいたそうです。
何て酷い人だ！！


が、そんな酷いヤギさんが、一昨日に一度だけ俺を褒めた事がありました。
まあ、褒めたって言っても、全く意味の分からない褒め方なんですが…

一昨日、床にパンチと呼ばれる絨毯みたいなものを両面テープで貼り付けている時のこと。

ヤギさん「チヒロ！！もっとちゃんとテープ貼ってよ！！テープがずれてパンチからのぞいてるじゃん！！」

また怒られた！！
普通なら謝るべきところなのですが、何故かボケてしまった俺。

俺「のぞきのチヒロと呼ばれるだけのことはあるな…」

すると、ヤギさんまさかの反応。

ヤギさん「格好いい！！」
俺「は、何が！？」
ヤギさん「今の台詞。のぞきのチヒロと呼ばれるだけのことはあるな…格好いい！」
俺「ど、どこが！？」
ヤギさん「必殺仕事人みたいで格好いい！！」
俺「えぇ？……のぞきのチヒロと呼ば……」
ヤギさん「ダメ！！さっきの言い方じゃないとダメ！！作業しながら真顔で言うから良いんだよ」

その後、「のぞきのチヒロ」を登場させた下らない時代劇を作ろうと語りだすヤギさん。
決め台詞は勿論、「のぞきのチヒロと呼ばれるだけのことはあるな…」
そして話の途中でやられて、「何！？のぞきのチヒロがやられただと！？」と言いたいらしい。
そして登場する新キャラ、乳首ハンターの…


…って、どうでもいい話だ！！


その後、俺はのぞきのチヒロを連呼し、かえってヤギさんから怒られたのでした。