.https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200320-00000112-kyodonews-int
【北京共同】新型コロナウイルス感染症の被害が最も深刻な中国湖北省武漢市で、
10日に行われた習近平国家主席による視察に合わせ、症状の残る多数の患者が隔離
を急きょ解除され、一部の感染検査も停止されたことが19日、分かった。隔離施設の医師が共同通信の取材に、武漢市の状況改善は欺瞞だと告発した。
医師は、習氏への配慮から対策成功アピールのため治療中の患者数を意図的に減らしていると指摘した。中国で現場の医師がこうした告発を行うのは異例。
中国政府は武漢で18日に新規感染者が0人になったと発表したが、医師は政府の集計は「信頼できない」と断言した。
https://bunshun.jp/articles/-/36676
習近平政権が“新たな隠蔽”を開始……次々と削除される新型コロナ「負の記録」「宣伝」の力で、人々の「記憶」を消し去ろうとしている。
中国の習近平国家主席は3月10日、新型コロナウイルスの発生地・湖北省武漢市にようやく入り、「感染蔓延を基本的に抑え込んだ」と表明した。
「パンデミック」が日本、欧米などに拡大する中での「勝利宣言」だが、共産党はウイルスとの「人民戦争」に続き、“新たな戦争”を展開している。
習の「恐怖支配」が地方幹部の情報隠蔽を招き、感染を爆発させたことは「文藝春秋」4月号(「習近平『恐怖支配』が招いた感染爆発」)で詳報したが、共産党は今、こうした負の記録を次々と削除し、「宣伝」の力で、人々の「記憶」を消し去ろうとしているのだ。
「全部ウソだ」と叫んだ武漢市民
最初の感染報告から3カ月余。
習が武漢入りを回避し続けたのはウイルスへの恐怖も大きいが、「勝利宣言」できるタイミングを待っていたからだ。
習の視察を伝える中央テレビ(CCTV)を見て驚いたのは「距離感」である。
医療用マスクを着けた習は、武漢で慰問した医療従事者と直接対面せず、スクリーン越しに話し、しかもそのスクリーンともかなりの距離を置いていた。
習の顔とマイクとの間にも距離がある。習は別の幹部とかけ離れ、遠い存在であるという「皇帝」像をつくろうとしているようだ。
しかしその「距離感」からは、誰も信用せず、暗殺を恐れている用心深い真の姿も伝わってくる。
習の武漢視察に至る過程で、奇妙な事も相次いだ。1つは、3月5日、現場指揮を執る孫春蘭副首相が武漢市内の団地を視察した際、住民が自室から次々と「全部ウソだ」と大声を上げたこと。
実際には生活物資が届いていないのに、地区幹部が「順調だ」と報告していたことに住民の不満が爆発したのだ。
「民に優しい皇帝像」を演出
人民日報やCCTVなど国営メディアがこの騒動を即座に伝え、武漢市のやり方を「形式主義だ」と批判した。だが、国営メディアが“ネガティブ情報”を一斉に報道する場合には、権力側の政治的意図がある。
実際、その5日後の3月10日、習が武漢を訪れ、同じように団地を視察し、今度は住民の大歓迎を受けたという「宣伝」を見て、筆者は納得した。
習は幹部の前で「民衆は自宅から出られない時間が長くなると、不満の感情をぶちまけることがある。
理解、寛容、包容の気持ちが必要だ」と命じたが、「民に優しい皇帝像」を誇示する狙いがあったのだ。
もう1つは、3月6日の「市民が総書記(習)や共産党に恩を感じる教育を展開しなければならない」という王忠林武漢市党委書記の発言である。
「犠牲を払った市民に感謝しろとは何だ」と批判が全国的に渦巻いた。
「隠蔽」に「隠蔽」を重ねる
だが、習は武漢を視察した3月10日、「武漢とその人民は英雄の名に恥じない。党と人民は武漢人民に感謝する」と、書記と逆のことを言い、「民衆重視」が宣伝された。
つまり側近らの違和感のある行動や発言は、武漢視察に合わせて習の権威を高めるためにあらかじめつくられた舞台装置だったと、筆者は見ている。
官製メディアは感染拡大が抑えられ始めた2月下旬から、「武漢封鎖」など強力な措置を講じ、すべての国民を総動員し、従わせることができる「共産党体制の優位性」の宣伝を本格化させた。
この頃、ウイルスは中国から日本や韓国、欧米などへ拡大した時期であり、国営新華社通信は3月4日の論評で「中国の巨大な犠牲と代価があったからこそ、全世界は戦いのための貴重な時間を得ることができたのだ」と指摘し、「世界は中国に感謝しなければならない」と主張した。
さらに、中国外交部の趙立堅副報道局長は3月12日夜、自身のツイッターで「米軍がウイルスを武漢に持ち込んだかもしれない」と書き込み、習の「病原体がどこから来たのかはっきりさせろ」という指示も伝わった。
自らの「宣伝」で、世界に感染を拡大させた初期の「隠蔽」に新たな「隠蔽」を重ねようとしているのだ。
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