時事通信 旧日本軍の従軍慰安婦問題を扱った韓国の学術書「帝国の慰安婦―植民地支配と記憶の闘い」の著者、朴裕河世宗大教授がソウル東部地検に名誉毀損(きそん)罪で在宅起訴されたことを受け、上野千鶴子東大名誉教授らが26日、東京都内の日本記者クラブで会見し、「権力による言論の自由の侵害を憂慮する」と抗議する声明を発表した。
声明には日米などの識者54人が賛同している。
上野氏は「多様な意見で議論するのが言論の自由の基礎。公権力が踏み込むべきでない」と訴えた。
韓国国内で朴氏の著書が批判の対象となっていることについては「朴氏は日本に責任がないとは言っていない」と指摘した。
同席した小森陽一東大教授は、韓国検察が起訴理由を「本に虚偽の内容が含まれ、学問の自由を逸脱した」と説明していることに関し「一部の表現を恣意(しい)的に切り離し、本来と異なる意味に捉えている」と批判した。
「帝国の慰安婦」著者を在宅起訴=名誉毀損で韓国検察
【ソウル時事】韓国のソウル東部地検は19日までに、旧日本軍の従軍慰安婦問題を扱った韓国の学術書「帝国の慰安婦-植民地支配と記憶の闘争」の著者、世宗大の朴裕河教授を名誉毀損(きそん)罪で在宅起訴した。
元慰安婦らは昨年6月、朴氏が同書で慰安婦を「自発的な売春婦」「日本軍と同志的な関係にあった」などと描写し、侮辱したとして、刑事告訴した。
検察は、河野官房長官談話や国連の報告書などを根拠に、「元慰安婦は性奴隷に等しい被害者であり、日本軍に自ら協力したわけではない」と指摘。「本に虚偽の内容が含まれ、被害者の名誉を傷つけ、学問の自由を逸脱した」と説明した。(2015/11/19-10:27)