羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

アルスラーン戦記 1

2015-04-22 19:35:52 | 日記
燃え盛る祭壇の炎を囲み半面を付けた呪術師達が祈祷を行っていた。「そうだ、パルスに災厄を招くのだ」銀仮面は大火を前に憎しみ露としていた!
アトロパテネの前線では「これはどういうことか? 裏切ったのか?」馬上のダリューンは黒衣をはためかせ、矛を構えるルシタニア兵に怯まずカーラーンを見据えた!「裏切りではない。パルス王国を思えばこそ、アンドラゴラス王を王位から追う企てに加担したのだ」「父上を? 何故?」アルスラーンはへたり込んでいた。「そうか、戦いを前にして後退するように陛下に申し上げろと俺に勧めたのは貴様だ。俺は陛下の御不興を被ってマルズバーン(万騎将)の任を解かれ、それを狙ってのことだな!」「その通りだ、ダリューン! お主は強いが阿呆ではないな。だからこそお主に」存外ぺらぺらとよく喋るカーラーンに、ダリューンは即激昂して槍を突き込んだ!「ぬぇいッ!!」槍は3人のルシタニア兵を貫き、カーラーンまで届いたが、カーラーンはこの槍を抜き打ちの剣で払った! ダリューンは槍を捨て、馬で駆け込みつつ剣を抜き、カーラーンに打ち掛かった!「フンッ!」受けるカーラーン! 鍔競り合いになり片手では支え切れず左手を添えるカーラーン。
「だからこそ、お主に一万もの騎兵を指揮させる訳にはいかんのだよ! お主がいかに有能でも単騎で戦況を左右できるものではないからな!」ダリューンは合わせた剣を払った、火花が散る!「殿下、暫しそこでお待ち下さい。このダリューンがお守り致しますゆえ」馬の側てへたり込むアルスラーンにダリューンは言った。「後は任せた、ダリューン」アルスラーンは観戦に専念した!「待てダリューン! 話しを聞け!」「今更何を言う!国王陛下を裏切り、王太子殿下にこのような真似を!!」
     2に続く   

アルスラーン戦記 2

2015-04-22 19:35:41 | 日記
「待て! 事情を知ればお主とて俺の行為を責めは」ダリューンは構わず剣を打ち込み、激しい剣の打ち合いとなった! 力負けするカーラーン! 剣を打ち払われた勢いで馬の片側の手綱まで斬られた!「くぅッ」残った側の手綱で馬の踵を返し、「ここは一端引くぞぉッ!!」カーラーンは残った手勢を率い退散して行った!「カーラーン! ぬッ」へたり込んだアルスラーンを振り返り、ダリューンは追撃を諦めた。
霧の向こうに壕から上がった黒煙が見えるパルス本陣では、ヴァフリーズが万騎将2名が討たれたことと他の万騎将の安否も不明であることをアンドラゴラスに伝えた。怒りを募らせるアンドラゴラス。「もはやこの戦いに勝ちはございませぬ。御引き下さい」「貴様、余が武人としての恥じを知らぬと思うてか!」「明日勝つ為に今日の恥じを御忍び下され! 陛下、王妃様の居られる王都を敵の手に委ねてもよろしいと仰いますか!」アンドラゴラスは歯が砕けるか、という程歯を食い縛り、「退却だ」と呟いた。
だが、この退却命令は正しく伝わらなかった。カーラーンの手の者が伝令役を殺し、号令用の楽器を破壊! 更に王が兵を見棄ててさっさと逃げたと流言を流した! これに状況は更に混乱! 生き残りの剛刀使いの万騎将クバート等も「止めた止めた! もはや誰の為に戦うと言うのか?」とやる気を無くす始末だった。
アンドラゴラスはヴァフリーズと僅かな手勢を連れ、大河沿いの崖道を敗走していた。「蛮族ともめがッ!」吐き捨てるアンドラゴラス。(よもや、アルスラーン殿下の初陣がこのようなことになろうとは、ダリューン、殿下を御守り致せ)ヴァフリーズは願った。ここで崖の上の林から矢が豪雨の如く降り注いだ!
     3に続く

アルスラーン戦記 3

2015-04-22 19:35:29 | 日記
次々倒れるパルス兵達! アンドラゴラスも右腕に矢を受け、ヴァフリーズも首の後ろと右肩甲骨の辺りに矢を受けた! パルスの鎧、柔らかい!
銀仮面は片手を上げ、矢の撃ち込みを止めさせた。「カーラーンめが、上手くやってくれたは。恥知らずにも部下を見棄てて逃げおったか、アンドラゴラス。貴様のやりそうなことよな」ヴァフリーズは銀仮面の手勢が少ないと見、剣を抜いた。「王よ! 御逃げ下され! ここはこの老骨が道を開きます! 皆の者、王を御守りしろ!!」ヴァフリーズは単騎で突進! 迎え撃ってきたルシタニア騎兵を斬り伏せ、槍を構えられると、馬から飛び上がって頭上から斬り払い、歩兵5名の剣を一度に受け、これを叩き退けると、次々と雑兵を斬り捨て、矢を退け、銀仮面に迫った!「敗残の老いぼれが、出過ぎた真似をするなァッ!!」銀仮面は抜き打ちの一刀で飛び掛かってきたヴァフリーズの剣を砕き、変形する程兜を打ち据えた! 流血の刹那、ヴァフリーズはアズライールと共にいる幼いアルスラーンを思い浮かべた。ヴァフリーズは両目と口、衝撃で体が裂けた左肩口から血を吹き出し、死んだ。
「其奴を王等と呼ぶな」「お前は何者だ?」アンドラゴラスの言葉に銀仮面は剣を握り締めた。「これ程の憎しみを受けながら、私が誰かも分からぬ程、悪行を重ねていたか! 16年、この日が来るのを待ち続けたぞ! アンドラゴラス!!」銀仮面は絶叫し、アンドラゴラスに襲い掛かった! アンドラゴラスはむしろ冷静にその姿、仮面の『顔』を見定めていた。
「パルスに栄光あれッ!」壕から拡がった? 炎を越え、焼かれながら砦に突進して来る残存パルス兵! もはや楽観していたルシタニア兵達は驚愕した!     4に続く

アルスラーン戦記 4

2015-04-22 19:35:15 | 日記
アトロパテネ戦でパルスはやはり破れたが、最終的にはルシタニア側も大量の死者を出した。戦闘後、ルシタニアの将モンフェラートは捕虜の拷問処刑の悲鳴とルシタニア兵の笑い声を聞きながら「異教徒は皆殺しにせよ、か。神頼りの国王と聖職者の癖に人殺しが好きなバチ当たりのおかげで、かくも多くの者が異国に屍を晒すことになった」と同じく将ボードワンに語った。「いいではないかモンフェラート、死んだ同胞は天国へゆけるのだし、生き残った我等はこの豊なパルスを支配できるのだ。大陸航路と銀山と広大な穀倉地帯をな」ボードワンの俗な回答にモンフェラートは鼻で笑った。「ボードワン、マルヤムの戦を覚えているか? 先だってマルヤムを滅ぼした折り、子供や赤子まで火中に投じたのであろう?」「ああ、神の敵であったからな」「あの時の悲鳴が、今も耳に付いて離れぬ。異教徒だからとて赤子を殺すような我等に神は祝福を取れたもうであろうか?」モンフェラートは苦々しく思い出していた。
死にゆく兵から、戦況を聞き、アトロパテネを抜けたダリューンとアルスラーンは『兵を一人も使わず、敵軍を撤退せた』そんな功績が有るというナルサスの元へ、馬を向けていた。「今は生きてこそでございます」項垂れるアルスラーンをダリューンは励ました。
月夜となり、ナルサスの山荘近くまで来たダリューンとアルスラーン。ダリューンの話ではナルサスとは絵が下手な者であるらしい。「誰にでも欠点は有るものでして」ダリューンは苦悩の表情を見せた。ダリューンがナルサスの絵に関し「下手の横好き」まで言った辺りで、アルスラーンのすぐ側に矢が射られた!「それ以上進むと、顔の真ん中にお見舞いするぞ?」林から声がした。「ここからはダイラムの領主、ナルサス様のお住まいだ!」
     5に続く

アルスラーン戦記 5

2015-04-22 19:35:05 | 日記
「ダリューン」怖がるアルスラーン。「怪我をしない内に立ち去れ!」「エラムか?! 俺はダリューンだ! お前の御主人に会いに来た!」やや間があって、林から案外スッとエラムが歩いて出て来た!「これはダリューン様! お久し振りでございます。失礼を致しました」ダリューンは馬を進め、アルスラーンも続いた。「背が伸びたなエラム。主人は息災か?」「お元気でいらっしゃいます」元奴隷だがナルサスに救われたというエラムの案内で、ダリューンとアルスラーンはナルサスの山荘へ着いた。
「ナルサス! 俺だ、ダリューンだ!」山荘の外から呼び掛けるダリューン。中から長髪の男が出てきた。「名乗る必要は無い、騒々しい奴め。お主の声は1ファルサング(約5キロメートル)も遠くから聞こえておったぞ?」男、ナルサスは『絵筆』をダリューンに向けた。
・・・アニメになると絵が下手な前フリから絵筆を持って現れる件の出オチが、『この人ツッコミ待ちだな』って感じ強調されるね。ヴァフリーズのユパ様だったり、拷問やら処刑やらサラッと流したり色々ありつつの回だった。基本ゆったり進行だ。本筋自体は普通に動画にすると思いの外サクサク進んでしまうからセーブしてるんだろうな。コミック余り進んでないようだしね。