羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

俺物語!! 1

2015-04-23 20:01:40 | 日記
猛男は半袖ハーフパンツの体操服のような格好で大和と約束した公園に向かっていた。背が、デカい。辺りではカワセミが飛び、水路ては鯉が泳いでいる。住宅街だが、近くに綺麗な川でも通っているのか?(ついに恋の相談か)猛男は両手のひらで顔を打ち、気合いを入れた。バチィンッ! 大きな音が鳴り、近くにいた子供と母親は怯え、犬は吠え、犬の飼い主の老人は戸惑った。猛男は公園に入って行った!
猛男がベンチで戦国武将の様に不動の姿勢で大和を待っていると、「ん?」大和が噴水の側を歩いて来た。髪を両サイド軽く編み、軽めの上着を羽織り、裾短めのワンピースを着て、全体的にふんわりした私服姿の大和。これは、Seventeen春物スタイル! non・noはまだ早い! 気が付くと大和は微笑んで駆け寄り、猛男も立ち上がって迎えた。「ごめん。ウチ、遅れちゃったかな?」「いや、まだ5分前だ」(気のせいか? 今日は異常に可愛く見える)猛男は改めて大和に見惚れた。
大和は趣向を替えて甘味菓子ではなく『ケークサレ』を作ってきていた。ケークサレとはフランス料理。必殺技の名前でも相手を侮辱するスラングでもない。小麦粉、ぺーキングパウダー、卵、牛乳、オリーブオイル、塩、砂糖、粉チーズ、胡椒、ソーセージやブロッコリー等の好みの具材を混ぜて焼いた甘くないパウンドケーキで、日本で言うところの天むすの様につまみや茶請け、ピクニック用料理として食べられるシャレ乙な食べ物である!!
「うまいぞ!」(これは初めて食べる味だ!)感動し、モシャモシャ食べる猛男。「いつも猛男君は、一杯食べてくれるんで嬉しい」喜ぶ大和。「猛男君!」何か言い出そうとしたが照れ、言葉に詰まり鞄から水筒を取り出す大和。
     2に続く

俺物語!! 2

2015-04-23 20:01:31 | 日記
「この間は砂川君が買ってくれて、気が利くねぇって」水筒の茶を注ぐ大和。「そうだ! 砂は気が利くんだ! 彼女もいない。そして大和のことを誉めていた」「ええ?」元々大和は砂川のことが好きだと思っている猛男は早速『応援』を始めた!「あいつは浮気とかもしない。頭もいいし、顔もイケてる。あいつはいいヤツだ」語る猛男の横顔を大和は見ていた。「大和、心というのは思い通りにならないけれど、3歳の頃から付き合っている俺が言うんだから間違い無い! 保証する!」猛男を見詰める大和。
「砂はいい男だ!」(心配するな俺は男だ! 告白して辛い立場に追い込むようなことはしない! これでいい、『ありがとう』と言ってくれた。一緒に鉄骨を押してくれた。こうして時々おいしいケーキが食べられる、それで満足だ)猛男は袋の中のケークサレの残りを見た。(俺は所詮、赤鬼だから青鬼のようにはやれないが、好きだと思う人には笑っていてほしいと、幸せになってほしいと思っている)「大和、砂は」猛男が微笑んで、更に『応援』しようと振り向くと、大和は涙を溢していた!
顔を背けてしまう大和!「のわッ?!」驚愕する猛男!「や、ま、と?」「ごめん、目にゴミが入って。やっぱ、コンタクトずれて、ごめん! 帰る!!」大和は鞄を取り、ベンチから駆け出し「ごめん!」そのまま走り去ってしまった。(何だ? 今の? 涙は何だぁーッ!!!)猛男は凍り付き、混乱した。
夕方、自宅マンションに帰った猛男は隣の砂川の家の砂川の部屋に押し掛けた!「お前ーッ! 大和に何かしたかぁッ!!」「何も」砂川は自宅学習中。イヤホンを付けていたが、猛男の声がデカく、効果は無かった。「何もぉッ?!」「今日は『入るぞ』も無いんだ」砂川は諦めてイヤホンを取った。
     3に続く

俺物語!! 3

2015-04-23 20:01:22 | 日記
「じゃあ、何故大和はお前の話しをしたら泣くんだぁ?!」「泣く?」興奮し過ぎて息が荒い猛男。「ハァハァ、お前を好きだからだろうがぁッ!! 馬鹿野郎!」砂川を肩を揺さぶって泣き出す猛男! 顔寄り過ぎ。「近い近い」泣いてへたり込む猛男。「て言うか、馬鹿はお前だろ?」「何?」「大和さんがお前を好きだからだろ?」硬直する猛男。
「トボけるなぁーッ! お前だぁッ!!」納得しない猛男。「お前だって」「違う! お前だぁッ!!」「何でだよ」「お前が格好いいからだぁーッ!!!」全力の猛男!「砂! お前は格好いい!!」「どうも」軽く恐縮する砂川。「大丈夫だ。お前も格好いいから。大和さんもお前のこと格好いいって言っていたし」「や?」衝撃を受ける猛男。溜め息をつく砂川は「もうめんどくさいから」と大和から猛男に好意があることを既に聞いていたことを打ち明けた。
「だってよ! 俺の部屋からお前が帰る時、嫌そうだっただろ?」また顔近い猛男。「二人きりで残されると緊張するから困るって思ったんだろな」冷静に諭す砂川。「お前の方ばっかり見てただろう?」更に顔近い猛男。「お前がガン見すっから目、合わせらんねーんだろ。色々思い出せぇ?」やや距離を取り、腕を組んで本格的に諭し出す砂川。「俺はお前に人を見る目を養えと言いたい」
砂川の話しではこれまで猛男が好きになった女子達は陰では猛男の悪口を言っており、この為、砂川はこれ等の女子に告白されても手酷く振っていたのだった。猛男は感激し、砂川の両肩を掴み、また泣いた!「砂ぁッ! お前男だなぁ!!」砂川の肩をまた揺さぶり、頭をガクガクさせる猛男。だが、急に手を話すと「しかし、大和が俺を好きだというのはやっぱり信じられん」白眼を剥く猛男!
     4に続く

俺物語!! 4

2015-04-23 20:01:13 | 日記
ここで砂川の部屋がノックされた。「ちょっといい?」砂川の母だ。「何?」母はドアを開け、顔を出した。美人だ。「大和さん、って人、来たけど?」「うわッ?!」慌てる猛男。「隠れろ!」「何処にぃ?!」猛男と砂川はドタバタし、取り敢えず猛男をベッドの下に隠した。猛男がデカ過ぎてベッドが浮いている! 砂川母も呆れた。「デカいな、お前」砂川は少々困った。
「ゆっくりしてってね」「ありがとうございます」砂川母に通され、大和は部屋に入ってきた。「今晩は」「今晩は」「ごめんなさい、急に押し掛けて」「座れば?」砂川は猛男が浮かせているベッドの上を進めた。「砂川君、私、猛男君の前で泣いちゃった!」座った途端、泣く大和。ベッドが高過ぎて床に踵が着かん! 大和は昼間の公園でのことを砂川に相談した。猛男が砂川のことを進めてくると、これは遠回しに避けられてるのではと。「諦める?」「諦めたくない! 猛男君みたいな人、もう会えないと思うから」「中々いないかもね」「好きになっちゃってるから!」ぶっちゃける大和!「はい、もう一回」促す砂川。
「ん?」「もう一回言って」「好きだからぁ!」浮いたベッドの上でジタバタする大和。「誰が?」「猛男君が好きだから!」「もう一回、ちゃんとわかるように言ってみて」怪しいセラピーみたいになってきた砂川!「ウチ、猛男君が好きだからぁーッ!!!」絶叫する大和! たぶん聞こえている砂川母の心境や如何に?!「念の為、もう一回言ってみて」席を立つ砂川。「猛男君が好きななのぉーッ!!」ホイホイ乗る大概な大和。「だって」「え?」砂川はベッドの側にしゃがんだ。
「ほら、お前も告れ」浮いたベッドの下に促す砂川。すると、ゴゴゴッ!! ズオォッ!!!
     5に続く

俺物語!! 5

2015-04-23 20:01:04 | 日記
ベッドを少し持ち上げ猛男が現れた!!「何で? ヒドい! 砂川君、言わせた?!」赤面して砂川を見る大和。「自分の耳で聞かないと分からないみたいだから」猛男は大和と向かい合った。猛男、デカい!「好きです、初めて会った時からです!」先手を取り、ぶちかました大和!「好きです、初めて会った時からです!」後手、猛男。応えた! 驚く大和! 赤面する猛男! 発生するキラキラエフェクト! 自宅学習に戻った砂川!
後日(翌日?)、いつもの公園に制服姿の砂川、猛男、大和は居た。砂川は三段重ねの生クリームスポンジケーキをホールで渡されていた! フルーツ等も乗っているが、チョコペンで『私たち しあわせです ありがとう砂川くん』と書かれている!! 砂川は途方に暮れた。「えーと」大和は礼を言い、女友達のメアドを砂川に教えようとした。「幸せを分けてくれようとしなくていいから」砂川は軽く拒否した。「砂ぁ、寂しいこと言うなぁ」「俺は幸せなお前を見てる方がいいから」猛男には今の砂川が子供の頃、砂川が演じた青鬼に見えた。「砂ッ! お前本当に青鬼みてぇなヤツだな!!」猛男は感激し(割りと簡単に感激する)泣いた。
当の砂川は『泣いた赤鬼』の劇等忘れたと言い、大和も元の話を知らなかったので、猛男は二人に話して聞かせた。ある所に、人間と友達になりたい赤鬼がいたが、人間は鬼を怖がる。これに友達の青鬼は自分が村を襲うフリをするからこれを退治するよう提案した。赤鬼は言われた通り村人の前で青鬼を倒すフリをして村人に信用され、村人は赤鬼の所に遊びに来るようになった。しかし、暫くして全く姿を見せない青鬼の所に様子を見に行くと、青鬼は自分と近しいと村人の信用を無くすと旅に出てしまっていた。赤鬼は本当の友達を失い、泣くのだった。
     6に続く