朝から美子が常子に説教されて不機嫌になったりもしたが、常子は持ち帰った仕事の書類を抱え、鞠子は研究会用の本を抱え、美子は弁当と最低限度の教材の入った鞄を持ち、三姉妹は慌ただしく出掛けていった。
入社して二年半が経ち、常子はすっかり仕事に慣れて頼りにされるようになっていた。女子大に進学した鞠子は出入りのある早稲田大学の文学研究会で活躍し、研究会の木戸と親しく話していた。美子はというと女学校では落ちこぼれ気味だったが、青柳商店で店の若い衆の傷んだ衣類の修繕は器用にこなし、滝子や若い衆達に誉められ喜ばれて得意になっていた。しかし、清、滝子、隈井が別室で何やら深刻に話してもいた。
時代は昭和14年の9月、欧州で第二次世界大戦が勃発し、日本は泥沼化した日中戦争打開の為にと国家総動員法が成立して、民主主義でありながら全てを統制する左翼的国粋主義、自国だけは選民しながらの反欧米支配思想、肥大する軍部、現在の中国にも似た不可解な国家情勢となっていた。
物は手に入り難くなり、不安がりながらもすぐに戦争に勝ち、全て上手くゆくと森田屋人々は信じようとしていた。美子が青柳商店の不穏な雰囲気を伝えると縫い物より勉強と常子は説教しだし、美子を苛立たせた。
そんな中でも甘味屋で星野と落ち合う常子。星野は戦地の自分の弟を心配しだす常子に自分ばかりはと、告白等できるものではなかった。帰り道、二人でいるのを『風紀を乱す』と男に絡まれると星野が震えながら常子を庇う一幕もあった。
森田屋の二階では稼ぐようになってから常子は押し付けがましいと美子が鞠子に愚痴を言っていると、すっかり星野のなけなしの勇気のほだされた常子が上機嫌で帰ってきて二人を戸惑わせていた。一方、下宿に帰った星野は電話を受け、相手に何かを待ってもらうよう頼むのだった。
・・・帝都女子大はパラレルだが、早稲田はパラレルでもチャラいのです。
入社して二年半が経ち、常子はすっかり仕事に慣れて頼りにされるようになっていた。女子大に進学した鞠子は出入りのある早稲田大学の文学研究会で活躍し、研究会の木戸と親しく話していた。美子はというと女学校では落ちこぼれ気味だったが、青柳商店で店の若い衆の傷んだ衣類の修繕は器用にこなし、滝子や若い衆達に誉められ喜ばれて得意になっていた。しかし、清、滝子、隈井が別室で何やら深刻に話してもいた。
時代は昭和14年の9月、欧州で第二次世界大戦が勃発し、日本は泥沼化した日中戦争打開の為にと国家総動員法が成立して、民主主義でありながら全てを統制する左翼的国粋主義、自国だけは選民しながらの反欧米支配思想、肥大する軍部、現在の中国にも似た不可解な国家情勢となっていた。
物は手に入り難くなり、不安がりながらもすぐに戦争に勝ち、全て上手くゆくと森田屋人々は信じようとしていた。美子が青柳商店の不穏な雰囲気を伝えると縫い物より勉強と常子は説教しだし、美子を苛立たせた。
そんな中でも甘味屋で星野と落ち合う常子。星野は戦地の自分の弟を心配しだす常子に自分ばかりはと、告白等できるものではなかった。帰り道、二人でいるのを『風紀を乱す』と男に絡まれると星野が震えながら常子を庇う一幕もあった。
森田屋の二階では稼ぐようになってから常子は押し付けがましいと美子が鞠子に愚痴を言っていると、すっかり星野のなけなしの勇気のほだされた常子が上機嫌で帰ってきて二人を戸惑わせていた。一方、下宿に帰った星野は電話を受け、相手に何かを待ってもらうよう頼むのだった。
・・・帝都女子大はパラレルだが、早稲田はパラレルでもチャラいのです。