羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

とと姉ちゃん

2016-06-29 18:15:46 | 日記
 常子に社印を渡す五反田。谷に託されていた。五反田は常子が勤労動員を回避できるよう、甲東出版を貸本屋として運用できるよう諸々の手配を済ませておいてくれていた。感激する常子に「僕の胸を貸そうか?」と軽口を言いつつ「戦争が終わった後、どんな雑誌にするか考えておいてくれないか? 甲東出版はこれで終わりじゃない。『休刊』だ。必ず生きて戻ってくる。その時は、僕達が心から作りたい雑誌を、作ろうじやないか」五反田は常子に思いを託し、程無く出征して行った。
 常子は貸本屋を営みながら、家族と共にいつか東堂の言った『細やかな心掛けが小さな幸せを生む』を実践して、消耗する戦況の中、どうにか穏やかに過ごそうとしていたが、防空演習で体調の悪い老人を厳しく叱責する三宅に常子は反論してしまい、三宅を激怒させてしまった。国に選ばれた自分に逆らうのは国に逆らうようなものだ、と危うく常子も老人も配給を止められるところだった。
「もう少し上手いやり方もあったんじゃない?」「鞠ちゃんは臆病過ぎるのよっ」口論になる常子と鞠子。そこへ隣家の老婆が貴重な卵を持って、三宅は出征した息子から連絡が途絶えていると取り成しに来ても、監視に来たのかもしれないと鞠子は疑いだし、さらに気まずくなった。「昔はよかったな」と美子が呟くと常子は楽しかった深川の日々や、もう便りも絶えた人々のことを思うのだった。
・・・五反田の人格者ぶりたるやっ! 一方で目黒パートが中韓抗日ドラマとまでは言わないが、視点が一方通行。三宅を被害者にしても『国家だけ悪』の図式から出られない。国家サイドの人物は花山だけで関わりも薄いから、どうにも一面的。常子も自分の無鉄砲で老人を返って追い込んでも怒るだけで自分の対応ミスはわかってない人だし、鞠子も気弱でそこは詰め切れない。ちょっとバランス悪いなぁ。活躍できそうなトリックスター属性の鉄朗も肝心なこの辺の件で『何年も』不在だ。