「できてない。帰れ、邪魔するな。甲東出版社だろ? カットはできてない。よって帰れ、邪魔するな。これを言うのは5回目だ。6回目を言わせたら憲兵を呼ぶぞっ?!」「わかりました。失礼します」圧倒された常子は帰ろうとした。「本当に帰るヤツがあるか」呆れる花山。「帰れとおっしゃったのはあなたですよね?!」「そこが君の腕の見せ所だ。編集という仕事を理解していないようだね?」どんな手を使っても書かせ、あるいは描かせるのが編集者だと説く花山。しかし常子が未熟なのでカットは描かないという。
「面倒臭いお方」「何っ?!」小競り合いしつつ、描くまで待つという常子に描かないと居直る花山。「帰りたまえ、これは本当の意味でだ」笑っていよいよ常子を退室させようとする花山。「では賭けをしませんか?」「賭け?」勝てば描いてもらうとした上で、花山が『描かない』ことに賭ける常子。描かざるを得ない賭けの提案に花山は険しい顔をしたが、筆を取って手早くカットを描き上げた。案外柔らかいタッチの『家』の絵だった。「さっさと持ってけぇっ!」「ありがとうございますっ!」帰り際、靴の踵が取れて、裸足で慌てて退室してゆく常子を、花山は少し愉快そうに見ていた。
夜、常連客に上質の木材を手配できた滝子は上機嫌で、来年の夏祭りに一緒に行こうとせがむ美子に笑顔で応えていた。そこへ「大変です!」流行りの銭形平次の真似をして清が現れ一同を呆れさせたが、清は巣鴨の大口の仕事を取ってきていた。青柳にかつての活気が戻ると期待を膨らませる清は、また接待漬けになると自慢し始め「久々に聞いた気がします」と常子は苦笑半分、楽しげにしていた。
後日、甲東出版で件の常子の企画の雑誌が書店発売を迎えようとしていたが「大変です!」男性社員が駆け込んだきた。常子はこの社員も銭形平次の真似かと思ったが、社長の谷が逮捕された報せだった。
・・・とんちはともかく、裸足は実話モチーフだそうな。
「面倒臭いお方」「何っ?!」小競り合いしつつ、描くまで待つという常子に描かないと居直る花山。「帰りたまえ、これは本当の意味でだ」笑っていよいよ常子を退室させようとする花山。「では賭けをしませんか?」「賭け?」勝てば描いてもらうとした上で、花山が『描かない』ことに賭ける常子。描かざるを得ない賭けの提案に花山は険しい顔をしたが、筆を取って手早くカットを描き上げた。案外柔らかいタッチの『家』の絵だった。「さっさと持ってけぇっ!」「ありがとうございますっ!」帰り際、靴の踵が取れて、裸足で慌てて退室してゆく常子を、花山は少し愉快そうに見ていた。
夜、常連客に上質の木材を手配できた滝子は上機嫌で、来年の夏祭りに一緒に行こうとせがむ美子に笑顔で応えていた。そこへ「大変です!」流行りの銭形平次の真似をして清が現れ一同を呆れさせたが、清は巣鴨の大口の仕事を取ってきていた。青柳にかつての活気が戻ると期待を膨らませる清は、また接待漬けになると自慢し始め「久々に聞いた気がします」と常子は苦笑半分、楽しげにしていた。
後日、甲東出版で件の常子の企画の雑誌が書店発売を迎えようとしていたが「大変です!」男性社員が駆け込んだきた。常子はこの社員も銭形平次の真似かと思ったが、社長の谷が逮捕された報せだった。
・・・とんちはともかく、裸足は実話モチーフだそうな。