羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ!

2016-06-25 18:49:20 | 日記
 舞台挨拶ではなく素の上映を観た。変な事件もあったし、チケット買うの難しそうだったしね。特に事件っ! 何か、何もしてないけどヘコまされたわぁ。ま、そこはいいや。内容、内容。まず細かくツッコむ種類の映画じゃない。勢いと人間讃歌、青春讃歌、後はある一定以上の世代のメタル何かが好きな人達への讃歌を送る映画。世代に関してはもうメタルもロックも古典的ミュージックスターって演歌歌手と同じジャンルだからね。忌野清志郎もそこに入っていたけど。しかし、演歌には演歌の魂があるように、博物館のヒーロー達の魂は消えてない、ぞ。っと、そういうファイティングポーズだった。
 基本、閻魔は因果応報を見切っている様子。そりゃそうだって話だが、繰り返した輪廻の罪を返し切れないがしかししかしと、地獄で大暴れ。バス事故も主人公のせいだしね。この世でもあの世でも叶わないことはどこかで許されている、許されてもいいじゃないか、許そうぜっ、ああもう俺は許しちゃったもんねっ! という考え方。ラストのキスはまさに讃歌。舌何て入らないけど、しっかりぐっと、唇が重なるのは正しかったな。地獄に堕ちたくらいであんなキスができるんだから随分コスパがいい話だけどねっ!
 珍しい正統派役のヒロインの方。キスの説得力はさすがの経験値。ああ何か嫌みっぽい、違うか。類い稀なるキス熟練度っ! 平成のキステロリストっ! キス魔森川っ! 純喫茶森川っ! ・・・この辺にしとくか。そこ以外だと山から下山するシーンでの失ってから生存してゆく表情も美しかった。
 さて、ポジティブな映画も観たことだし、私も頑張りましょう。もう随分前から地獄の一丁目で踊っている気分だけどね。

ヤロカ火 36

2016-06-25 18:48:36 | 日記
 雲上の蒼雀の背で奇尾丸は空を斬り、霞と発光する気の軌跡を残すばかりだったが、同時に霞ヶ丘全域と関東一円、東海地域に潜んでいたヤロカ火の全ての分体は真っ二つされ、気の光りと霞の中に溶け消え滅びていった。
 奇尾丸から霞が吹き出し、逆巻いて離れると剣は元の姿に戻り、聡は蒼雀の背にへたり込んだ。
「まずまずだねぇ~、聡っ!」
 霞のムー太郎は近くの雲の上に集まり虎のごとき四尾の猫の姿に戻った。
「坊っちゃん、お疲れ。あきたこまち忘れんといてな?」
「・・・わかってるさ、米な。ああっ、野間と八木を回収して、野間の記憶修正して、街の人達の記憶も修正して、怪我人と壊れた建物のフォローして、それから」
「残りの始末は結衣に任せたらぁ? あの子、ちょっと雑だけどね」
 ムー太郎はもうこの件に飽きたように大欠伸をして毛繕いを始めた。
「お前は気楽でいいよな」
 聡は蒼雀の背に乗ったまま面を取り、ため息をついた。

ヤロカ火 35

2016-06-25 18:48:27 | 日記
「目立つのはあんたと結衣が片したようだけど、残りのこの街と、関東一円、東海に散らばってる分体どもの位置は全て把握済みだよ」
 霞からムー太郎の声だけが響く。
「東海まで? 徹底してるな」
「東海だけじゃないわ、日本全国検索してやったわ」
「全国って、いやに今回本気だな、ムー太郎」
「あんた達狩り手は爺さんの代からしかやりやってないけど、あたしは戦国の頃からアイツに絡まれてんの! もういい加減無理だわ。キモいわっ」
「真淵様は一回嫌ったらえげつないとこありはるからなぁ」
「蒼雀、黙ってなっ」
「はいな」
「いいや、とにかく纏めてスパッといこう。プラナリアみたいにどんどん再生されたら面倒だ」
 聡は剣に気を込めた。逆巻くムー太郎の霞が剣に集まり始める。
「かしこみなさいよぉー?」
「努力はするっ!」
 剣は半ば霞を吸収すると五枚刃の一枚一枚が大型化し、より『爪』を思わせる形状に変化した。剣を支える聡の体に力が入り、面の下で呼吸も荒くなった。
「坊っちゃんフラついてるえ? いける?」
「余裕、だと信じたいっ!」
 霊気が高まり、はち切れそうな大型化した剣を支え蒼雀に応える聡。
「纏めて捉えてるよ~。アンタは考えなくていい、奇尾丸(くしびまる)でぶった斬りなよっ」
 ムー太郎の声がそう響くと、聡は面の下で呼吸を整えた。
「散散散・・・」
 呟き、より確かに構えると面を付けた顔を上げ、聡は霞を纏い大型化した奇尾丸を振り下ろした。
「散っ!!!」

ヤロカ火 34

2016-06-25 18:48:19 | 日記
 雲の中央には虎程の大きさのある『猫』が座っていた。四本の尾を東西南北に長々と伸ばし、揺らめかせていた。蒼雀は聡を乗せたまま雲の上を平然と歩き、奇妙な『猫』の近くまで来た。
「ムー太郎っ! 取り敢えず本体は仕止めた。仕上げを頼む」
「この姿の時はムー太郎呼ばわりしないでって言ってるでしょお? 大体『太郎』って何よ? あたしは雌だよ?!」
 不満げなムー太郎。
「子供の頃の工藤に言ってくれよ」
「子供は嫌いよ。聡、あたしのことは一霊大荒獣東真淵浦主(なおひおおあらじあずままぶちうらぬし)様と呼びなっ」
「真名(しんめい)が長過ぎ。略して『ムー太郎』でいいだろ?」
「略せてないよっ!」
「駄菓子みたいになってはるしね」
「それキャベツ太郎っ! 蒼雀、黙ってなっ」
「はいな」
「わかった。じゃあ、キャベツ浦主様」
「キャベツ浦って何だよっ! 大きい畑かよっ。いいよ、もうっ。ムー太郎でいいわっ!」
 ムー太郎はうんざりと顔を背けた。
「よしっ、ムー太郎っ! 頼んだっ」
 聡は五枚刃の剣を両手で掲げるように構えた。
「はいはい」
 ムー太郎は逆巻く霞の姿に変化すると五枚刃の剣を霞で取り囲むようにした。