羊日記

大石次郎のさすらい雑記 #このブログはコメントできません

とと姉ちゃん

2016-06-28 18:12:28 | 日記
「楽しんで使ってね」美子は精一杯笑顔で言って、喜ぶ農夫の孫にままごと道具の使い方を教えていた。その農家で多目に作物を交換できた帰り道、座り込んでしまう美子。「色んなものが無くなっちゃった」森田屋のこと、滝子のこと、鞠子のことも作家を諦めて働いていると美子は続け、「全部戦争のせいよっ」涙が止まらない美子は隣の常子に抱き付き、頭を撫でていた鞠子も抱き寄せた。姉達は寄り添ったまま、美子が泣き止むのを待った。
「どこまで削るつもり?」家に帰っていつまでも一本の鉛筆を削っている鞠子に常子が声を掛けた。美子に言われたことそのものを気にしているのではなく、これからずっと戦争が続き、ただ工場で働くだけでは常子達に無理をさせてまで大学に行った甲斐がないと話す鞠子は「私、決めた。次女として、皆を支えられるようになるって」改めて勢い込んでいた。
 後日の夜、会社の常子は五反田と残業していたところ、米軍の市街地無差別爆撃が始まった。避難する常子と五反田。目黒の家でも鞠子達が慌てて避難を始め、鞠子は率先して美子と君子を自家防空壕へ向かわせようとしたが、足を挫いてしまった。鞠子は美子と君子に助け起こされて防空壕へ担ぎ込まれた。中でも震えるばかりの鞠子。明け方、空襲が終わり、常子が走って目黒の家に帰ると、家族は無事だったが鞠子は「とと姉、だめだったよ」常子の代わりが務まらなかったと一人悔しがる鞠子に、常子は決心した。
 出勤すると常子は「悲しい顔は美人には似合わないよ」と軽口を言う五反田に、国防の為に戦うのは仕方なく、兵が命懸けで戦っているのもわかってるとした上で、戦争賛美の雑誌作りが心苦しいと訴えた。「何とかして、違う雑誌を作れないでしょうか?」五反田は、微笑んでみせ「その苦しみから解放して進ぜよう」自身に赤紙が届いたことを告げた。
・・・鞠子は動揺して違うことをしてしまったが、五反田(既婚)も取られてしまったか。