扇子を手に岳は一つの塊に集まりつつある光る目を持つ流動物に歩み寄った。扇子に自分の御守りの青白い火が燃え移る。扇子の柄は表が紅葉、裏は薄だった。出来る感触はあった。
「ううっ、うっ、真(ま)、淵(ぶち)の、火ぃ、い、嫌な火ぃいいっ」
流動物は恐れていた。
「お前達に『何のつもり』何て無いんだろうな。だから俺も同情しない、じゃあな」
「やっ、ヤロカぁあッ!!!」
光る目を持つ流動物達は伸び上がって岳に襲い掛かった。
岳は動じず、青白く燃える扇子を横一文字に払った。逆巻く浄火に流動物達は一瞬で焼き祓われた。
「岳ちゃん!」
寧々が駆け寄ると消耗した岳はよろめき、その大柄な体を華奢な寧々は必死で支えた。
「・・・いいカップルだわぁ、主人公とヒロイン感ある。早坂さんのポジション、憧れるな。自分でゴリゴリ戦うのは何かコレじゃない感があるわ」
近くの古びた5階建てマンションの屋上から制服に面だけ被った結衣が来ていて、呟いた。近くに霧の姿のオンボノヤスと夜雀(よすずめ)を従えていた。結衣は面を取った。
「霞ヶ丘に戻ってすぐ慌てて来ちゅうが、自力で問題無いぜよ」
夜雀がやれやれ、といった顔で言うと、
「送ったの、俺」
オンボノヤスが即、訂正した。
「おんし、細かいのぉ」
「そこはもういいわっ。それよりあの化け物、『ヤロカ火(び)』だっけ? 本体を早く探さないと」
結衣はポケットから紙の人形
(ひとがた)を十数枚は取り出した。
「ううっ、うっ、真(ま)、淵(ぶち)の、火ぃ、い、嫌な火ぃいいっ」
流動物は恐れていた。
「お前達に『何のつもり』何て無いんだろうな。だから俺も同情しない、じゃあな」
「やっ、ヤロカぁあッ!!!」
光る目を持つ流動物達は伸び上がって岳に襲い掛かった。
岳は動じず、青白く燃える扇子を横一文字に払った。逆巻く浄火に流動物達は一瞬で焼き祓われた。
「岳ちゃん!」
寧々が駆け寄ると消耗した岳はよろめき、その大柄な体を華奢な寧々は必死で支えた。
「・・・いいカップルだわぁ、主人公とヒロイン感ある。早坂さんのポジション、憧れるな。自分でゴリゴリ戦うのは何かコレじゃない感があるわ」
近くの古びた5階建てマンションの屋上から制服に面だけ被った結衣が来ていて、呟いた。近くに霧の姿のオンボノヤスと夜雀(よすずめ)を従えていた。結衣は面を取った。
「霞ヶ丘に戻ってすぐ慌てて来ちゅうが、自力で問題無いぜよ」
夜雀がやれやれ、といった顔で言うと、
「送ったの、俺」
オンボノヤスが即、訂正した。
「おんし、細かいのぉ」
「そこはもういいわっ。それよりあの化け物、『ヤロカ火(び)』だっけ? 本体を早く探さないと」
結衣はポケットから紙の人形
(ひとがた)を十数枚は取り出した。