(上の写真=反貧困をテーマに活発に意見が出たトークセッション)
私たちNPO法人労働相談センターの地元・東京都葛飾区で12月6日に開かれた「反貧困シンポジウム『生きる』働く・暮らす・つながる」(葛飾区市民活動支援センター主催)には約60人の市民が集まりました。
トークセッションに登壇したNPO法人労働相談センタースタッフの須田光照さん(全国一般東京東部労組書記長)は働く人が置かれている過酷な現状を説明するとともに、他の分野で活動している人たちとの意見を活発に交換しました。
須田さんがシンポの感想を寄せていますので、以下に紹介します。
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先日、私たちの事務所がある東京・葛飾で「反貧困」をテーマにしたシンポジウムが開かれ、パネラーとして参加してきた。同じパネラーでNABA(ナバ)という摂食障害の自助グループの女性が開口一番に言った言葉が耳に残った。
「助けてください」
声高に訴える言い方ではなく、聴衆に語りかける感じでポツリと。チラシに載っている彼女のプロフィールは次のとおり。
1962年生まれ。三人姉妹の末っ子。10代半ばに始まった過食を恥じ拒食へ。大学卒業後に就職し、専門医からの「回復した」という太鼓判のはずが、3年後には食べ吐き万引き暴れるわで両親が家出し、人生が極まる。1989年「重症の鬼娘」としてNABAにつながる──。
彼女によると、NABAに相談に来る摂食障害の人たちの口癖が3つあるそうだ。「大丈夫です」「すみません」「頑張ります」。人生の困難を一身に背負って、踏ん張って、ヘトヘトになって、それでもまた踏ん張って。弱音は絶対に吐けない。
労働現場もよく似ている。社長や上司から無理難題を押しつけられて、過剰なノルマに追い立てられて、休みも取らずに働いて。パワハラにもセクハラにも文句を言わず、あげくが賃下げ、クビ切り、過労死。それでも会社や社会から「お前が悪いんだ」と言われれば、「すみません」と謝って。
全然大丈夫ではないのに大丈夫と言わせるものは何か。ぺこぺこと頭を下げさせ、頑張れ頑張れとムチ打つものは何なのか。「助けてください」という声なきSOSに私たちは耳を傾ける必要がある。