コナカ「名ばかり店長」裁判での意見陳述（２）

写真＝意見陳述した佐藤光成店長（左端）

私たち全国一般東京東部労組コナカ支部の組合員である佐藤光成店長が１２月４日、コナカ「名ばかり店長」裁判の第１回公判で意見陳述した全文を以下に紹介します。

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意見陳述書

平成２０年１２月４日

原告　佐藤　光成

横浜地方裁判所　御中

　このたび私、佐藤光成は、株式会社コナカに対し、過去２年分の未払い残業代の支払いを求め、ここに提訴いたします。
　当時、私の地位はコナカで言うと管理監督者扱いの店長でしたが、実際には昨今、社会問題にもなっている「名ばかり管理職」でありました。出退勤の自由もパート社員の採用決定権限もありませんでした。一般社員と比べて明らかな給与の優遇ももちろん存在いたしません。それにもかかわらず、何時間勤務しても管理職ということで残業代の支給は一切ありませんでした。
　出退勤の時間は本社の指示により朝８時３０分までに出勤とすべての店長に指示されておりました。朝、上長より電話でのチェックがあり、来ていないと注意、もしくは始末書です。かなり昔からの慣例になっており、監査員でさえ８時３０分前後に店舗に入ります。もちろん店長が来ていないと注意、もしくは始末書です。
　休日は本社より店長は週１回と指示がありました。１週間で２回休む時は上長の許可が必要でした。私が経験した店舗はぎりぎりの人員構成なので、風邪を引いても休めず、入社から一回もシフトで決まった以外の休みを取ったことがありません。
　人員が足りない時はパート社員採用の申請書を統括に出し、承認後に人事部に出します。店長には採用の権限はありません。社員の異動に関しても、もちろんありません。人事考課において、１次評価はできますが、最終の評価にはまったく影響力はありません。現に自店社員にはＡ評価を付け続けてきましたが、すべて最終評価はＢ評価となっておりました。
　所得ですが、資格手当４万、店長手当４万と店長代理の時に比べて６万５千円増えますが、残業代、休日買い取り代がなくなる分、相対的に減少する逆転現象が起こります。
　店長になると数字に対するプレッシャーもきつく、業績によっては店長代理、副店長を飛ばし、一気に主任への降格になります。
　また、年に数回、業績不振の店長を一カ所に集め、泊まりがけで研修会を行います。お辞儀の仕方から、声の出し方、考え方、自己啓発、缶詰状態にし、精神的、肉体的に追い詰め、まさに洗脳です。これは東戸塚での店長研修を思い出させ、ＰＴＳＤに陥っており、かなり追い詰められます。
　このようになりたくないという思いから、日々数字が悪いと自腹でスーツなどを購入する「社員買い」に走り、さらに家計を圧迫させていきます。
　店長がこのような労務体系の中で働いている分、感覚がマヒしており、社員も同様の過酷なサービス残業をしていても、まったく気がつかない状態に陥っていました。
　このような状態が入社時から慢性化しているため、私の同期は６０人以上が入社しましたが、１０年後には３人に減っていました。
　こうした状況が続いたのは、会社に労働組合がなく、利益追求のもと、経営者が法律を無視した結果です。間違えた法解釈のもと、名ばかり管理職をうみ、多くの従業員を苦しめ続け、サービス残業を放置し続けたものと考えます。
　名ばかり管理職問題が社会問題になっていく過程において、コナカにおいても経営陣の刷新もあり、残業代を支払う制度に変わりました。これは会社側が非を認めたと同義であります。
　しかし、先に横浜地裁で行われた労働審判での未払い残業代請求の申し立てにおいては、会社側の主張は「あくまでも店長は管理監督者だった」の一点張りでした。労働審判での調書では、コナカの店長は管理監督者ではない、とはっきりと明言されていますが、会社側は認めようとはしていません。
　私は、今回の裁判によって正しい法解釈のもと問題を解決し、早く普通の生活を手に入れたいと切に願っています。

以上