るるの日記

なんでも書きます

るるの随筆 「自分に飽き飽きしたから」

2022-11-28 09:29:31 | 日記
★幅10センチの板の上を歩むように生きる(精魂こめた真剣な歩み)
★幅1メートルの板の上を歩むように生きる(余裕を持った歩み)

中道とは、自分の進むべき板なく
進むべき道はない
その都度、その時々、その場が
そのように現れ流れる

固定された建造物
固定された山川海
固定された肉体
固定された物
そこに縛られた心

自分の器として縛られている
それを呪(しゅ)という
自分で自分として自分を縛る
自分が自分にかけた呪詛

自分のためだけに生きるのも飽きたし、貪欲に心地よいことを求め続けてきたけれど、それはとても窮屈な思いになりました
見る景色に飽きました
これはこうゆうもんだ
こうなればこう感じるもんだ
自分の感じ、自分の思いに飽きました

自分に飽きたし
今度は人を快適にすることに
楽しみを見つけたいな
喜んでくれるはずという
喜んでくれるためという
期待は、期待はずれになりがちだから、なんだろう、思いや欲は邪魔なんだよ
ただ行うこと、機械的思考のみで生きていきたい
情熱的感情は邪魔




もののあはれ・源氏物語・女の品定め「片がつかず」

2022-11-27 15:17:09 | 日記
馬頭
「よろづの事に、などかは、さても、とおぼゆるおりから、時々思ひ分かぬばかりの心にては、よしばみ情だたざらむなん、めやすかるべき。
すべて心に知れらむことをも、知らず顔にもてなし、言はまほしからむことをも、一つ二つのふしは過ぐすべくなんあべかりける」

と言ふにも、君は人ひとりの御ありさまを、心の中に思ひつづけたまふ。

これ足らずまたさし過ぎたることなくものしたまひけるかなと、
あり難きにも、いとど胸ふたがる。

いづかたに寄りはつともなく、
はてはては、あやしき事どもになりて、明かしたまひつ。

★などか
「さあるべき」「さてもありなむ」
の略

★情だつ
風流ぶって、歌を詠みかけようとすること

■「何事も「そうすべき」「そうすべきではなくそのままでよい」とか、思われる場合、時節が分からぬ心では、気取ったり風流ぶったりしない方が無難でしょう。

何事も自分の知っていることも、知らぬふうに振る舞い、言いたいことがあっても一つ二つは、黙っているのがいいのです」
と馬頭が言う

光源氏はただ一人「藤壺」の有様を心の中で思い続けていた
『どの話に照らしてみても、足らぬことも、行き過ぎたこともなく、
いらっしゃるなあ』
と、その女の存在が有り難く、胸が一杯になる。

そして女の品定め話は、片がつかず、わけのわからぬ卑猥な話になって、夜が明けた


もののあはれ・源氏物語・女性論まとめ「察してほしい」

2022-11-27 14:36:31 | 日記
馬頭
歌詠むと思へる人の、やがて歌にまつはれ、おかしき故事(ふるごと)をも、はじめより取りこみつつ、
すさまじきおりおり、詠みかけたるこそ、ものしきことなれ。
返しせねば情なし、えせざらむ人ははしたなからん。

さるべき節会など、五月の節に急ぎ参る朝(あした)、何のあやめも思ひしづめられぬに、えならぬ根を引きかけ、九日の宴にまづ難き詩の心を思ひめぐらし暇なきおりに、
菊の露をかこち寄せなどやうの、つきなき営みにあはせ、さならでも、おのづから、げに、後に思へば、
おかしくもあはれにもあべかりけることの、そのおりにつきなく目にとまらぬなどを、推しはからず詠み出でたる、なかなか心おくれて見ゆ。

★まつはれ
てらわれて、こだわって

★すさまじきおりおり
歌の詠む気も起こらない時々

★ものしきこと
不快、うとましい

★節会
朝廷の宴会

★五月の節
五月五日の端午の節句

★あやめ
菖蒲
端午の節句には菖蒲を軒にさす
また、菖蒲の根合わせ遊びをする
だから、菖蒲に関する歌が詠まれた

★九日の宴
九月九日の宴
詩をつくる行事がある

★菊の露
女がは菊の綿に、菊の露を含ませ、顔のシワをふき、不老のまじないとする。合わせて「嘆老の歌」を贈ったりする

■馬頭
自分はひとかどの歌詠みだと思っている人が、やがて歌にとらわれ、おもしろい故事を、歌の始めからコピペしたり、私が歌の気分ではないような時に、詠みかけてこられるのは、それは不愉快なものです。
返歌をしないと風情なしと思われ、
ばつの悪い思いをします。

しかるべき節会には歌を詠まねばならないが、例えば五月の節会に急ぐ朝など、何の歌の文も落ち着いて考えられず、思い浮かばないときに、菖蒲の根にかけた歌を私に詠みかける人や、
九月の宴のため、私が難しい歌を創ることに心を集中させ、忙しいときに、「菊の露」に託した嘆く歌を詠みかけてくる人など、
私には大切な仕事があるというのに、それとは不相応で厄介なめに私をあわせます。

なにも私が忙しいときに歌を詠まずとも、私が後におちついた時に詠んでくれたなら、「なるほど、情趣が深い」と思われるはずが、その折りに合わないから、私の心にとまらないという事情など察しもせずに、歌を詠みだすのは、気のきかないように思います。

もののあはれ・源氏物語・女性論まとめ「才知より、常識と柔らかさ」

2022-11-27 13:37:32 | 日記
〈馬頭〉
すべて男も女も、わろ者は、わづかに知れる方のことを、残りなく見せ尽くさむと、思へるこそ、いとほしけれ。

三史、五経、道道しき方を明らかに悟り明かさんこそ、愛敬なからめ、などかは女といはんからに、世にあることのおほやけわたくしにつけて、むげに知らずいたらずしもあらむ。

わざと習ひまねばねど、
すこしもかどあらむ人の、
耳にも目にもとまること、
自然に多かるべし。
さるままには、真名を走り書きて、
さるまじきどちの女文に、
なかば過ぎて書きすくめたる、
あなうたて、この人のたおやかならましかば、と見えたり。

心地にはさしも思はざらめど、
おのづからこはごはしき声に読みなされなどしつつ、ことさらびたり。
上らふの中にも多かることぞかし。

★三史、五経
大学の標準教科

★愛敬
情豊かな優しい魅力

★かど
才気

★さるまじきどち
漢文でやりとりすべきではない

★すくめたる
固い感じ

★上らふ
上流

■総じて、男でも女でも、つまらん人は、ほんの少ししか知らないようなことを、ありったけ見せびらかそうと思っていますが、それは気の毒な人だと思います。

女が三史、五経という本格的な学問をはっきり会得することは、かわいげがないが、いくら女だからといって、世間の公・私の出来事に関して、全然知らなくても、済むものでしょうか?

わざわざ学習しなくても、少しでも才気のある人ならば、耳に入り、目にとまることが自然と多くあるだろう。
しかし、そのように見聞きした知識にまかせて、漢字を走り書きし、漢文でやりとりすべきではない女同士の手紙にも、半分以上も漢文を書きつらね固い感じの手紙にするのは、なんとも嘆かわしい。この女がもっと柔らかだったらと、残念に思います。

書いた本人は、そうは思っていないでしょうが、漢文の多い手紙を受け取った側では、自然と堅苦しい声で読まれるようになり、なにかわざとらしいのです。
これは、身分の高い婦人の中にもよくあることです。





もののあはれ・源氏物語・賢い女「歪んだ嫉妬」

2022-11-27 12:46:47 | 日記
〈式部丞〉
さて、いと久しくまからざりしに
ものの便りに立ち寄りてはべれば
常のうちとけいたる方にははべらで
心やましき物越しにてなん会ひてはべる。

ふすぶるにやと、おこがましくも
またよきふしなりとも思ひたまふるに、
このさかし人、はた、かるがるしきもの怨じすべきにもあらず
世の道理を思ひ取りて、恨みざりけり。

声もはやりかにて言ふやう
「月ごろ風病重きにたへかねて
極熱の草薬を服して、いと臭きによりなん、え対面はらぬ。
目のあたりならずとも、さるべからん雑事らはうけたまはらむ」
と、いとあはれに、むべむべしく言ひはべり。
答(いら)へに何とかは。
ただ「うけたまはりぬ」とて、
立ち出ではべるに、さいざうしくやおぼえけん「この香失せなん時に立ち寄りたまへ」と高やかに言ふを、聞きすぐさむもいとほし、
しばし休らふべきにはたはべらねば
げにそのにほひさへはなやかに立ち添へるも、すべなくて、逃げ目を使ひて、

式部丞
「【ささがにの、ふるまひしるき、夕暮れに、ひるますぐせと、言ふがあやなさ】
いかなることつけぞや」

と、言ひもはてず、走り出ではべりぬるに、追ひて

女【あふことの、夜をし隔てぬ、仲ならば、ひるまも何か、まばゆからまし】

さすがに口とくなどははべりき

と、しづしづと申せば、君達、あさましと思ひて、「そらごと」とて笑ひたまふ。
「いづこのさる女かあるべき。
おいらかに鬼とこそ向ひいたらめ。むくつけきこと」
と、つまはじきをして、言はむ方なしと、式部をあはめ憎みて
「すこしよろしからむことを申せ」
と、責めたまへど、

式部丞
「これよりめづらしき事はさぶらひなんや」とて、おり

★ふすぶる
くすぶる
すねる、焼きもちをやく

★よきふしなり
(縁を切るのに)よい機会だ

★風病
風邪
半身不随の神経症説もある

★極熱の草薬
にんにく

★いとあはれに
感心する(嫉妬せず病中でも用事を伺うという女を)

★高やかに
(さすがに男が恋しいので)男の背後から大声で呼びかける

★逃げ目
逃げ出す時の目つき
申し訳なさそうに、額を伏せて、額越しに横目で、相手の顔を窺う

★ささがにの、ふるまひしるき、夕暮れに、ひるますぐせと、言ふがあやなさ
わが背子が、来べき宵なり、ささがにの、蜘蛛のふるまひ、かねてしるしも(古今より)
「ささがに」はその形が蜘蛛に似て、蜘蛛の枕詞となり、蜘蛛の意味にも用いる
蜘蛛が糸をはると、親しい人が尋ねてくるという俗信があった

★いかなることづけ
口実
女が会わない口実に、ニンニクを持ち出したのを言う

★まばゆからまし
まぶしい+恥ずかしい

★さすがに口とくなどはべりき
歌はうまくないが、賢い女だけあって


■〈式部丞〉
さて、女の家には、すっかり御無沙汰しましたが、何かのついでに立ち寄ってみたところ、ふだんのくつろぐ部屋に女はおらず、私は女と暖簾を隔てて会ったのです。

焼きもちでも焼いているのかバカバカしい思い、また縁を切るのにもよい機会だと思いましたが、
この賢い女は、軽々しい焼きもちなど焼くはずもなく、世の男女の仲の道理もよく承知していて、そのような恨みごとなど言いませんでした。

女が声もせかせかと言うには
「この数ヶ月、風病が重いのに耐えかねて、極熱の草薬を服用し、ひどく臭いので会えません。
顔は見ずとも、しかるべき用事は承ります」
と、感心なことを論理的に言うのです。

これに私は何と答えましょう。
私は、ただ「はい、わかりました」
と言って立ち上がって部屋を出ようとしますと、女は私の対応に物足りなく思ったのか、「この臭いがなくなったら、またお立ち寄りください」と背後で声高に言います。それをそのまま聞き捨てるのは気の毒なものの、しばらく休んでいくわけにもいかず、それに草薬(ニンニク)の臭いがはでに鼻をつくのもやりきれず、逃げる目で
「【ささがにの、ふるまひしるき、夕暮に、ひるますぐせと
言ふがあやなさ】
いかなることつけぞや」
「【ササガニに似た蜘蛛が糸を張って、親しい私が来る前兆のある夕暮れに、ニンニクの臭いが消えるまで待てというのは筋が通りません】
会わない口実にニンニクを持ち出したんだろ」

と、言い終わらずに逃げ出したところ、女は後を追って
【あふことの、夜をし隔てぬ仲ならば、ひるまも何か、まばゆからまし】
「夜毎会っている仲でしたら、昼間だって、どうして恥ずかしいことがありましょう。ニンニクの臭いがする時だって、恥ずかしがりはしないでしょう!👹」

と、さすがに賢い女、即座に返しの歌を詠みました。
、、
と、式部丞は話し終わると、君達はあきれて
「作り事だ」
「どこにそんな女がいるものか。おとなしく鬼とでも向かいあっている方がましだ。気味の悪い話だ」
などと式部丞をつまはじきにしたり、たしなめたり、憎らしがったりし「少しはましなことを申し上げろ」と責めたが、式部丞は
「これ以上に珍しいことがございましょうか」とすわっている