よく分かる 住まいづくり・・(檀建築コンサルタント)

私達の考える住まいは、住まいづくりの原価を探り、無駄のない資金で、遊び心のある家を作る事。

引き返せない弱さ-2

2010-01-26 09:34:01 | とりとめもなく

 引き返せない弱さは皆がもっている。
駄目だと分かっていても少しの可能性があることを信じ前に進む、「ここまで来たのだから」と自分に言い聞かせながら、進まなければならない時もあるが、世間体を気にしたり、自分のプライドが許さない時もある。

詐欺の被害に遭う場合の殆どは、「儲かる」と言う言葉に人は耳を澄まし、「そんな簡単に儲け話なんか無いだろう」と思いながらも、儲け話に引き込まれていき、欲が先行し「簡単に儲かりそうだ!」とコントロ-ルされてしまうのだろうか?

以前、コピ-機のセ-ルスマンから電話があり、新しい「機種に入れ替えれば必ずお得になります」、と言ったので、その話しに乗ってみる事にし、その営業マンに「必ず」と言う言葉を信用してあげるから、事務所に説明に来るように伝え、もし得にならなければ、ペナルティ-を覚悟しておくようにと伝えた。

2日後に彼は自信たっぷりで説明を初め、今支払っている月々のリ-ス代金を比較して、「お得でしょう!」と言うのだった。
今のリ-スは後2年で終わる事も彼は知っており、しかし彼の誤算は月々の比較をすることしか考えていなかった。

最後に彼に「後2年で終わるリ-スと買い換えて7年支払わなければならないリ-スとどっちがお得なんだ?」
確かに、新しい機種なら故障も少ないし、メンテナンス費用もリ-ス代金に含まれており、今使っている機械はリ-ス期間が切れれば年間契約で更新していかなければならず、不備があった場合修理も割高になってしまうが、
日本の精密機械は優れており、簡単には壊れない性能も備えている。

家電商品も含め、平均15年は使えるのが日本の技術で、世界に誇れる技術力だと言ってもいいだろう。
彼は、絶対お得と言った自信も消え失せ、惨敗を認めるしかなかった。
酷だと思ったが彼の為にもペナルティ-を課す事にし、
「今、貴方の財布の中にいくら入っていますか?」と聞くと、彼は財布の中身を見て、「5000円しか持っていません」と言うのだった。
「ではその5000円を置いて行ってください、もし本当に進められるお得感のある商品が出ればもう一度この事務所に来てください、その時この5000円はお返しします」と言いい、彼はそのお金を事務所の机の上に置いて帰っていった。

多分、彼は電車で和歌山まで来て、タクシ-でこの事務所まできたのだろう、帰りは駅まで30分歩かなければならないが、その帰り道、後悔しながら帰るに違いないと思った。

悔しさを通り越したとき、はじめて彼の中に何かが見えてくる筈、その時またこの事務所に足を運ぶ勇気を持てるようになればと思っている。
その時が来れば、この5000円と新しいコピ-機を契約してあげようと、彼の来る日を待っている。