テキスト主体

懐中電灯と双眼鏡と写真機を
テキスト主体で語ろうとする
(当然、その他についても、語ったりする)

フィルター

2012-01-02 23:42:16 | 写真機 画像
フィルムカメラ全盛時、私が一番ニガテとしたのが、俗に言うポートレート撮影でした。
portrait、語源は por(前に)L.trahere(引く、描き出す)と古フランス語にあるらしく、ぽーと、れーとと区切って発音するのではなく、ぽー、とれいとと区切るのが正しいことになります。
一般に肖像写真といってもお見合い写真のように人物だけのかちっと決まったモノから、その人物の趣味や持ち物、行動と一緒に撮されたモノまで多岐にわたりますが、キホンはその人物の顔、表情がはっきりと判別できるということになります。
人物の半身、全身像を撮すには一般に35nn写真機で80~150mm位の焦点距離のレンズが適しているとされ、それ以下の焦点距離、40~60mmでは、半身像で顔がある程度の大きさで写っているとパースペクティブの効果で僅かにゆがみ、また、対象とカメラの距離も近いため、撮られる意識が高まり過ぎ、表情が硬くなりがちです。またあまりに長い焦点距離のレンズの場合、立体感が失われたり、明るいレンズで背景をボカしても、人物が周囲に埋没しがちになり、対象の人物の視線もコチラに届きにくいので、冷たい感じにになることがあります。

このように、アタマではポートレートのコトを分かってはいても、今ひとつ自分で気に入った写真が撮れなくて、対象の人物からは、コレで充分、すごくきれいに撮れてるよ、なんて云われても、苦手意識がつきまとうのでした。

今にして思えば、フレーミングとアングルの自由度のなさが、私を萎縮させていたのではないかとおもいますが、そんななかで私が頼ったのがコレ、
ツァイスのソフターIIとKenkoのポートメイト(B)です。

ソフターの方はいわゆるソフトフォーカス系の特殊効果フィルターですが、フォギーなどのように、ぱっと見たとき、ピンボケか、と思わせるような写真ではなく、きっちりとピントの芯はありながら、柔らかな輪郭を描き、特に逆光で日中シンクロ撮影などした場合、一種幻想的な効果をうむ、上質なフィルターで、同様の目的の他社品に較べ倍以上の価格も納得できる優れたモノです。

ポートメイトは、
カラー写真における人物の肌色はマゼンタ色光成分の占める割合が多く、
これに反して肌の小ジワやシミ、ソバカス、毛穴などの細部はマゼンタ光の補色関係にある緑色光の結像が大きく影響しています。
ポートメイトはこの緑色光による像(小ジワやシミなど)をソフトに調和させることにより、美しい肌に描写出来ます。

らしく、実際に顔のアップで肌をきれいに見せる効果があるようです。

この2種類のフィルターを使った写真は、多少のためらいや照れはあったとしても、例外なく好評で、被写体の人物の満足感を、撮る側の写真に対する不満足感への代償としていたような次第です。

もちろん上記のフィルターの話については女性に限った話で、ワタシにはいくら頼まれたとしても男性のポートレートを撮るようなおぞましい行為は出来ません。