テキスト主体

懐中電灯と双眼鏡と写真機を
テキスト主体で語ろうとする
(当然、その他についても、語ったりする)

異形

2012-01-14 23:40:22 | 脱線して底抜け
ヒトのこと。

生物学的には、ヒトが異形の生き物であることに、議論の余地はありません。
私が嫌いなコトバに、”万物の霊長”という語がありますが、飛べず、速く走れず、鋭い牙や爪を持たず、やわらかすぎる肌でありながら、考え、天地のコトワリとその成果を享受できる唯一の存在だと云うことから、書経等に語源を発する普遍的な概念です。
云うまでもなく、現生人類は種として1種類しかいないので、自らをそのように定義しているのですが、太古、ヒトには類縁の種(ネアンデルタール、デニソワ、フローレスなど)がおり、現生人類の祖が彼らとの生存競争に勝利した結果、唯一になっているにすぎません。
ライオンとトラのどちらが生物として上か、なんて問いが無意味なように、彼ら絶滅したヒトの類縁種がヒトよりも劣るという思い込みは不毛で、ライオンとトラが交雑可能なように、ヒトと彼らにも交雑した痕跡がある以上、万物の霊長というコトバは不遜にしか聞こえません。
故に、ヒト以外の生物の霊性を積極的に肯定しない、一神教(基督教、回教など)は、エゴイスティックですらある、と考えています。
本質的に善良であるはずの宗教の教義や、仲間組織の維持の為に同種間の殺戮を是とし、自ら作り出した道具である貨幣のために生殺与奪を厭わず、繁殖を目的としない交尾やペアリングが主流である、そういった異形をもって、自ずからを特別なものと思うのは傲慢です。
なにより、太古の類縁種、ヒトと同じように、道具を使い、集団で暮らし、組織で繁栄を図っていた彼ら、を絶滅させたのは、ヒト以外ではあり得ないと思うのです。