やっとWP5.3×30RG-Dのお話しになるのですが、WP6x30SB-Dなどの従来の勝間光学機械さんの30mm口径のシリーズは、8倍機を除いて、アイレリーフが15mmと眼鏡をお使いの方には、眼鏡と干渉する微妙な仕様でした。
アイレリーフの大きいハイアイポイント接眼部が全て良い点ばかりとは限りませんが、折り返しゴム見口やスライド見口で調整すれば、眼鏡のあるなしに拘わらず使えますので、ハイアイポイントであることを売りにする機種も多いのです。
WP5.3×30RG-Dは、30mm機にもハイアイポイントをということで、SS7x50の焦点距離の長い(≒アイレリーフも大きい)接眼部を移植して試作された機種です。
もともと評価の高い対物・接眼の組み合わせなので、WP6×30SB-Dとの詳細比較を最初の写真のような状態で行いました。
ステーの双眼鏡固定側はコルクなので、厳密な並行軸ではないですが、覗き比べには充分です。この2機種に限ったことでは有りませんが、双眼鏡を固定して覗くと、瞳の位置がずれたときの歪曲の出方がよく分かります。特に勝間光学さんの双眼鏡は、どの製品も優れた解像感があるため、瞳が適切な位置にあるときとそうでないときの歪曲の差が分かりやすい傾向があります。よく光軸が調整され光学的にきちんと追い込んであるともいえますが、同時に瞳の位置にシビアであるとも云えます。普段手持ちで使っていると、無意識に適正位置に構えるため気になりませんが、三脚で固定して見る場合にアングルユニットやビノホルダーにこだわるのは、双眼鏡の視軸と目線の軸を常に適正な位置に保ちやすくするためです。ちなみに、光学的設計の新しい高性能ダハ機は、割と瞳の位置に寛容なものが多く、私の双眼鏡の中では、ツァイスポケット8×20が、瞳の位置による歪曲が最も少ない傾向です。
まず、WP5.3×30の視界は広いです、単純比較で実視界6×30の8.5°に対し、5.3×30の視界は9.5°、1°の差ですが、明らかな差です。因みに公称実視界10°のNikon遊とは0.5°以上に差があるように見えます(ナゼ?)。
写真のステーを横(水平)にして、2台の双眼鏡を縦に並べ、右目で5.3×30の視界、左目で6×30の視界を見るように間隔を調整すると、光軸はほぼ合っているので、片側ずつを覗いて双眼で見る事が出来ます。対象に目を凝らすと、若干の倍率の差は脳内で補正されて、一つの像に重なって見えるようになります。つまり脳の視覚野が、僅かにずれた光軸を合わせるばかりか、画像の大きさまで調整して、両眼視の視界を創り出します。不完全なリンク機構しかなく、視力という性能さえ異なる場合のある二つの眼球を上手く使える脳の視覚能力です。
ここで面白いのは、片方ずつ覗いてたときには、双方とも見掛け視野がほぼ一緒だったのに、対象にきちんと結像した両眼視、つまり、5.3×30の視界が拡大されて認識されている状態では、見掛け視界の視野円も拡大されてしまい、明らかに二重の視野円になるということ。ヒトの視覚には、ズーム機能があることをあらためて認識します。
低倍率双眼鏡の優位性は、ここにも原因があって、確かに比較すれば、高い倍率の機種との画像の大きさの差異は明らかに分かるのですが、低倍率機だけを覗いていれば、画像の大きさというか、視覚で認識する大きさというのは、常に脳内で補完されているのです。もっとも高解像の視界でないと、鈍く眠い画像になるので、低倍率だから良いワケではありません。また、視覚能力には個人差もあります。


対物のコーティングは、若干6×30よりも薄い目の反射、接眼はやや5.3×30のの方が眼幅を狭くでき、ヒラメ顔の幼児でなくとも充分使えそうな50mm以下、最大は75mm程度開きますので、ヒラメ顔の大人でも大丈夫そうです。

接眼部以外でも、異なる点はあって、プリズムがモノコート、サイズも違い、反射面の遮光板もありません。
肝心の見え方なのですが、6×30よりも明るく、手ブレも更に少なく、充分な解像度です。ただ、僅かに黄色っぽい着色があり、プリズムのコーティングに起因するのかもしれません。良像範囲は充分に広く、一見6×30よりもずっと広い感じです。よくよく見ると、6×30は視野の7~8割くらいから急に像質の低下が始まり、最周辺部では周辺減光も伴う感じなのに対し、5.3×30の視界は6割くらいからごく僅かに像質低下が始まり、徐々に周辺へと進み、8~9割から、より急に低下するが減光はさほど無い、という感じです。実視野で見比べると、6×30の視野のほぼ全てが5.3×30の視界では良像(◎~○)の範囲で、その外側に像質の落ちる(△)範囲があるような印象です。
最短合焦距離は5.3×30が明らかに1m以上短く、3mほど、室内でも何とか使えます。あまり双眼鏡に慣れてない人に覗いて貰いましたが、使いやすい、見やすい、コンサートに持っていったらよく見えそう、けど、重いし、かさばる、といった感想でした。広く明るい視界は、まさにコンサートなどに最適です。たとえ安定しなくても重さを解消する細い一脚でもあれば、ブレは極端に少ない双眼鏡ですから、長時間の観劇にも充分でしょう。ポップなパステルカラーのラバー外装に包まれたWP5.3×30Rが、キラキラにデコられて、コンサートで使われていたりしたら、おそらくニンマリしちゃいます。
アイレリーフの大きいハイアイポイント接眼部が全て良い点ばかりとは限りませんが、折り返しゴム見口やスライド見口で調整すれば、眼鏡のあるなしに拘わらず使えますので、ハイアイポイントであることを売りにする機種も多いのです。
WP5.3×30RG-Dは、30mm機にもハイアイポイントをということで、SS7x50の焦点距離の長い(≒アイレリーフも大きい)接眼部を移植して試作された機種です。
もともと評価の高い対物・接眼の組み合わせなので、WP6×30SB-Dとの詳細比較を最初の写真のような状態で行いました。
ステーの双眼鏡固定側はコルクなので、厳密な並行軸ではないですが、覗き比べには充分です。この2機種に限ったことでは有りませんが、双眼鏡を固定して覗くと、瞳の位置がずれたときの歪曲の出方がよく分かります。特に勝間光学さんの双眼鏡は、どの製品も優れた解像感があるため、瞳が適切な位置にあるときとそうでないときの歪曲の差が分かりやすい傾向があります。よく光軸が調整され光学的にきちんと追い込んであるともいえますが、同時に瞳の位置にシビアであるとも云えます。普段手持ちで使っていると、無意識に適正位置に構えるため気になりませんが、三脚で固定して見る場合にアングルユニットやビノホルダーにこだわるのは、双眼鏡の視軸と目線の軸を常に適正な位置に保ちやすくするためです。ちなみに、光学的設計の新しい高性能ダハ機は、割と瞳の位置に寛容なものが多く、私の双眼鏡の中では、ツァイスポケット8×20が、瞳の位置による歪曲が最も少ない傾向です。
まず、WP5.3×30の視界は広いです、単純比較で実視界6×30の8.5°に対し、5.3×30の視界は9.5°、1°の差ですが、明らかな差です。因みに公称実視界10°のNikon遊とは0.5°以上に差があるように見えます(ナゼ?)。
写真のステーを横(水平)にして、2台の双眼鏡を縦に並べ、右目で5.3×30の視界、左目で6×30の視界を見るように間隔を調整すると、光軸はほぼ合っているので、片側ずつを覗いて双眼で見る事が出来ます。対象に目を凝らすと、若干の倍率の差は脳内で補正されて、一つの像に重なって見えるようになります。つまり脳の視覚野が、僅かにずれた光軸を合わせるばかりか、画像の大きさまで調整して、両眼視の視界を創り出します。不完全なリンク機構しかなく、視力という性能さえ異なる場合のある二つの眼球を上手く使える脳の視覚能力です。
ここで面白いのは、片方ずつ覗いてたときには、双方とも見掛け視野がほぼ一緒だったのに、対象にきちんと結像した両眼視、つまり、5.3×30の視界が拡大されて認識されている状態では、見掛け視界の視野円も拡大されてしまい、明らかに二重の視野円になるということ。ヒトの視覚には、ズーム機能があることをあらためて認識します。
低倍率双眼鏡の優位性は、ここにも原因があって、確かに比較すれば、高い倍率の機種との画像の大きさの差異は明らかに分かるのですが、低倍率機だけを覗いていれば、画像の大きさというか、視覚で認識する大きさというのは、常に脳内で補完されているのです。もっとも高解像の視界でないと、鈍く眠い画像になるので、低倍率だから良いワケではありません。また、視覚能力には個人差もあります。


対物のコーティングは、若干6×30よりも薄い目の反射、接眼はやや5.3×30のの方が眼幅を狭くでき、ヒラメ顔の幼児でなくとも充分使えそうな50mm以下、最大は75mm程度開きますので、ヒラメ顔の大人でも大丈夫そうです。

接眼部以外でも、異なる点はあって、プリズムがモノコート、サイズも違い、反射面の遮光板もありません。
肝心の見え方なのですが、6×30よりも明るく、手ブレも更に少なく、充分な解像度です。ただ、僅かに黄色っぽい着色があり、プリズムのコーティングに起因するのかもしれません。良像範囲は充分に広く、一見6×30よりもずっと広い感じです。よくよく見ると、6×30は視野の7~8割くらいから急に像質の低下が始まり、最周辺部では周辺減光も伴う感じなのに対し、5.3×30の視界は6割くらいからごく僅かに像質低下が始まり、徐々に周辺へと進み、8~9割から、より急に低下するが減光はさほど無い、という感じです。実視野で見比べると、6×30の視野のほぼ全てが5.3×30の視界では良像(◎~○)の範囲で、その外側に像質の落ちる(△)範囲があるような印象です。
最短合焦距離は5.3×30が明らかに1m以上短く、3mほど、室内でも何とか使えます。あまり双眼鏡に慣れてない人に覗いて貰いましたが、使いやすい、見やすい、コンサートに持っていったらよく見えそう、けど、重いし、かさばる、といった感想でした。広く明るい視界は、まさにコンサートなどに最適です。たとえ安定しなくても重さを解消する細い一脚でもあれば、ブレは極端に少ない双眼鏡ですから、長時間の観劇にも充分でしょう。ポップなパステルカラーのラバー外装に包まれたWP5.3×30Rが、キラキラにデコられて、コンサートで使われていたりしたら、おそらくニンマリしちゃいます。