テキスト主体

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戦場にて・・WP8×30RC-D(勝間光学機械さんの双眼鏡 その11)

2013-02-21 23:21:35 | ミニ連載:勝間光学機械さんの双眼鏡
以前に、WP6×30SB-Dとの比較で紹介したWP8×30RC-Dですが、現用機として陸自等の軍隊に納入されてる機種でもあり、戦場にて使われる双眼鏡として、改めて評価したいと思います。

もっとも、市販されているWP8×30RC-Dは、軍用双眼鏡として必須のレチクル(勝間光学さんではスケールと呼び、一目盛りが10ミルを表し、目標の実際の大きさが分かっていれば、その目標までの距離が分かる、例えば全長約10mのロシア製T-80U戦車を視野内に捉えたとき、それが5ミルであれば2000m先、逆に距離が分かれば、大きさが分かる)と、照準、測距レーザー防護用フィルター(米のカッパーヘッドや露のクラスナポールのようなレーザー誘導砲弾、スナイパーのような砲発射セミアクティブレーザー誘導ミサイルなどのレーザー光が網膜を焼くのを防ぐ)は装備されてはおらず、クリアな視界となっています。
実際に、自衛隊で使われている様子ですが、下の写真は、左側のレチクルを使って、距離か大きさを見定めているところでしょう。

WP8×30RC-Dの視界は以前にも書いたように、極めて見えの良い中心部、ややぼやけるその周り、そして視野の端っこ、最辺縁部は光量も落ちます。但し、持ちやすい筐体は、上下左右に振っての索敵に易く、中心部重視の視界も対象を捉えての凝視に全く支障はありません。視野一杯に拡がる巨大な建造物や、よほど近くの対象を見ない限り、周辺が気になることはありません。また前回の記事では、WP6×30SB-Dと前玉が共通なようだと書きましたが、接眼の焦点距離からすると、若干計算が合わず、もしかしたら、やや長めの焦点距離の前玉かもしれません(WP5.3×30RG-DとWP6×30SB-Dは前玉共通、接眼の焦点距離の違いで計算が合っています)。



外観の特徴であるラバーコートの迷彩は、俗に新型迷彩と云われる2002年より自衛隊が採用している野戦用迷彩に近くやや暗い感じで、隠蔽性が高そうです。極めて頑丈な造りといい、実戦用の兵器らしさに、光学機器らしからぬタフネスを感じさせます。対物キャップにも、タックシールなどを使って迷彩柄を貼るのも雰囲気が出るかもしれません。



接眼のIF目盛りは、SS10×50やHM6.3×40、WP5.3×30などのラバー部と違い、見えにくい△マークではなく、ハカマがせり上がって切り欠きがある見やすい仕様です。WP7×50RB-Dもそうなのですが、実用本位の道具としての配慮かと思われます。



対物の前端のラバーは3mmほどの厚みのある、ぶ厚いラバーです。持ちやすくするためのラバー装ではなく、充分にゴムダンパーの役割を果たしそうです。


はんごう型ケースも他機種同様、日本製の立派なものです。この中に入れておけば不整地を揺られて輸送されても、大丈夫なんじゃないかと思える、良い伝統と云えるでしょう。

WP8×30RC-Dは、私の持っているどの8倍機より被写界深度が深く、中心部のクリアさは特筆に値し、明るさも口径の大きな42mm機に迫り、なおかつ、広視界です。流石に星見などには適さないでしょうが、頑丈さも踏まえ、偵察任務などに最も適している双眼鏡でしょう。
何を偵察するかは、ともかく。