テキスト主体

懐中電灯と双眼鏡と写真機を
テキスト主体で語ろうとする
(当然、その他についても、語ったりする)

US-2

2013-02-13 23:23:44 | 脱線して底抜け
川西航空機の水上機、強風、二式大艇の流れを汲む、新明和工業の水陸両用機です。
元々、水上機は、航空機の高速化黎明期、速度追究のための翼型がとんでもない離着陸滑走距離を必要としたために、滑走距離の制限のない水上機が高速追究の飛行機(飛行艇)として活躍したころ(ちょうど”紅の豚”の時代ですが)、大きく発達し、その後、高機能なフラップなどの高揚力装置が開発され陸上機が盛り返すにつれ、ゲタ履き飛行機は、高性能飛行機の晴れ舞台から脱落して行くのですが、新明和の飛行艇は伝統を受け継ぐ独自の進化をつづけて、その最終完成形がこのUS-2です。
飛行艇は現在ではロシアのベリエフとカナダのボンバルディア、それと新明和しか造ってない機種ですが、US-2はそれら他の飛行艇とは段違いの性能、機能を誇ります。ちょうど本日、定期修理を終えたUS-2が六甲アイランド沖で試験飛行したそうで、離水に300m足らず、着水に300mちょっとという脅威のSTOL性能を見せつけた模様です。

かつての高速水上機と異なるSTOL性の秘密は、巨大なフラップとBLC(境界層流制御)を備えていることです。特にBLCは本来の機能、翼面から乱流によって境界層流(翼に沿った空気の流れ)が離れてしまい、失速状態に陥るのを防ぐためだけにとどまらず、フラップから噴き出す大量の圧縮空気でプロペラの後方気流を下向きにして揚力を稼ぎ、ラダー(垂直尾翼の舵翼)、エレベーター(水平尾翼の舵翼)からも噴き出すことによって、気流の荒れた低速域でも機体の制御を容易にする、強力なものです。キャビンも後方を除いて与圧され、フライバイワイヤ化、自動化も進んだ、全体の形こそ二式大艇を彷彿とさせますが、中身は全く違う最新鋭の航空機です。
もちろん唯一、波高の高い外洋でも離着水できる水上性能も折り紙付きで、もし、運用サポート付きで一機くれるなら、光害のない外洋までその長大な航続距離を生かして飛んでいき、思う存分星空を愉しみたいと、見果てぬ夢を背負わせるに足る、そんな高性能を秘めた傑作機です。

ラウナ

2013-02-12 23:30:51 | 脱線して底抜け
実を言うと、このラウナのお世話にならなかった中高年の方はおそらくいないでしょう。
意味深な書き方を致しましたが、精密潤滑用のオイルで、粘度により、20、40、100などの品番があり、最初に書いたのはいにしえの黒電話のダイヤル、あの回転部分に使われていた指定品番がこのラウナだったからなのです。
もちろん、電話機以外にも、カメラのメカニカルシャッターや、その他精密機器に非常に多く使われ、精確な動作をその脅威の長寿命で支えてきた、知る人ぞ知る銘柄です。メカニカルカメラのパーツ、手で触ってもちっともベトつく感じはないのに表面がさらさらしていて、湯煎してはじめて表面にうっすらと油膜として浮いてくる、あの油がラウナです。
純粋な鉱物系油を高度に精製して造られ、非常に高価です。工業用としても、4ないしは10リットル入りが最大の大きさで、他の潤滑油と比してプレミアとしか云いようのない価格でした。昔はラウナ商会という会社が、一手に販売してたのですが、社長が亡くなって、製造委託されていた日石(現在のエネオス系)が販売も行うようになり、品番や荷姿が整理され、最後の流通在庫を苦労して手に入れたことを思いだします。今でも40番などは10ミリリットルで1000円以上で売っていて、個人的には、故人の社長から貰った500ミリリットルのサンプルを大事に使っていました。
いまでは、様々なエンプラ、含浸メタルなどの自己潤滑性のあるパーツに取って代わられて、製造現場で大量に使われることは無くなってしまいましたが、日本の精密機器産業を支えてきた、価値のある製品です。

カリッこいわし

2013-02-11 23:13:54 | 日記
一正蒲鉾という会社のスナック菓子です。
他に、カリッこえび、カリッこわかめ&ひじきという商品がありますが、いずれも短冊状のかまぼこの切り身を揚げ、塩をまぶした素朴なスナックです。
かなり好きで、最安は88円なのですが、近所で見掛けたら128円でも買ってしまいます。イワシの風味豊かな香りに惹かれるのであります。

お気楽星空観望と口径(間奏:勝間光学機械さんの双眼鏡)

2013-02-10 22:15:31 | ミニ連載:勝間光学機械さんの双眼鏡
10mm 4倍    Nikon遊
20mm 8倍    Carl Zeiss Conquest Compact 8×20 T*
30mm 6倍    GLORY WP6×30SB-D
40mm 6.3倍    GLORY HM6.3×40SK-D
42mm 8倍    Shirstone Samrai8×42
50mm 10倍    GLORY SS10×50SK-D+ヘッドステー
70mm 15倍    Celestron SkyMaster15×70+一脚

口径別に上記7機種で、オリオン、M42、ヒアデス、すばるを中心に星見してみました。
遊、肉眼より沢山星の数は見えますが、すばるなど星々の並びが幾何学的に見えるほどではなく、なにより、アイポイントの決まりにくさが星天を流し見するのには適していません。眼鏡を使用される方が、レンズに押し当てて使えばそうでもないのかもしれません。ツァイスのポケットですが、流石に8倍はすばるの並びが、それなりに幾何学的で、魅力を感じますし、ヒアデスも結構ちりばめられた星々が判ります。ゴム製のアイカップでアイポイントも決まりやすく、流し見も苦になりません、20mmとは思えないきらめく点像の星ですが、M42はシミにしか見えません。WP6×30も充分な点像の星々ですが、倍率とのバランスが良くないのか、迫力には乏しい星空です。HM6.3×40になると、途端に星々のきらめきに刺すような鋭さが加わってきます、低めの倍率でも、アクセントの効いた点像のおかげで、ヒアデスなど息を呑むような美しさです。ブレが少ないのも好印象です。M42のカタチもおぼろげにわかるようになります。Samrai8×42もきらめく点像に倍率が加わり美しい星空です。M42のいびつさもより判りやすい印象ですし、木星の大きさもはっきりとわかります。SS10×50からは、保持に気を遣います、流し見ではともかく、一点をじっくり見るには、身体をどこかに寄せかけて固定し、しっかりと保持する必要があります。ただ、それに見合う見事な視界、星々の美しさ、M42のカタチ、あふれ出す微光星、どれもが40mm級とは段違いです。広視界とはいえ、ヒアデスの周りの星々は視野から外れてしまいますが、中心にある幾つかの対になった星とその近辺の微光星がとめどなく見えてきます。15×70は、流石に口径の威力を感じさせます、昼間に気になる色収差も星見ではよほど明るい星を視界に入れない限り気にならず、すばるなどは迫力のある大きさで、堪能できます。
ざっと感想を羅列しましたが、それぞれの機種に於いて、昼間に感じられるそれぞれの魅力と、星見での魅力には差異があります。遊は昼間専用でしょう、ツァイスポケットは意外に星見でも使えます。WP6×30は昼間の圧倒的な魅力ほど星見ではその性能を感じません。HM6.3×40は広い視野内に端正な点像を結ぶのが昼間と同等の好印象。Samrai8×42も同様かつ倍率が8倍でも周辺まで崩れの少ない良像で、違った感じの好印象です。SS10×50、スカマ15×70は、日中の使用とは違う、星見での高性能を実感します。
今回、口径の違いによる星空観望への適性を比較する目的でしたが、やはり、日中に万能な30mm機では、星見にはややパワー不足なのを再確認し、同時に、見口のフィット感が重要であることも再認識しました。
あと、日中の使用では倍率の違う2機種を片方ずつ見たときに、視覚がズーム補正される人の脳の能力が、星見ではあまり有効に機能しないことも分かりました、視野内に情報量が少ないとき、すばるなど、二重像が乱立し、よっぽど凝視しないと星像は一致し難いのです。想像していたこととはいえ、戸惑いを感じました。

承前 - 仮称HM6.3×40SK-D(勝間光学機械さんの双眼鏡 その9)

2013-02-08 23:24:24 | ミニ連載:勝間光学機械さんの双眼鏡
右が見口の中にレンズ鏡筒が嵌って撮れた6.3×40、左が見口を外して撮ったため白カブリしてる6×30、いずれもステーだけ、三脚無しのやっつけコリメート写真なのですが、実視野にほぼ差がないというか、倍率によるケラレの所為で、逆転して見えてしまっています。時間つぶしのための15分ほど、ずーっと電線を両機で観てましたが、やはり、6×30よりも、6.3×4のほうが色収差があります。ぱっと観て気付くほどではないし、条件によっては全く認識出来ないほどではありますけれども。
片眼ずつで両機を同時に観た場合、やはり、6.3×40のほうが見掛視界が広いです。両眼視で明らかに差異があり、6.3×40の実視界は実質8°以上だと考えます。ここで面白いのは、以前の5.3×30と6×30での両眼視の時と違って、中心の対象が重なると、最初大きさの違った視野円がほぼ重なるよう、小さかった6×30のほうがズームアップされてくる様子。視線を中央に置きながら意識を視野の隅に置くそらし目というか、視線は違う方を向きながら意識は女性のたわわな胸襟にあるような見方で見ていると、じわじわと6×30の視野円が拡大されてくる様子がはっきりと認識出来ました。
これまで、つぶさに両機を比較してきて、じゃあ、若干大きくて重い6.3×40の必然性って何なの?と考えると、僅かに色収差に劣り、被写界深度浅く、スタイルが良く(主観)、ハイアイポイント、良像範囲広い、明るい、という点になるのですが、最後の口径差については、星見で両機、或いは他の40mm級、や更に大口径機との比較観望が出来ていません。後日、条件の良い星空観望を期して、ここまで、です。

試作6.3×40双眼鏡、仮称HM6.3×40SK-Dをとことん持ち歩く(勝間光学機械さんの双眼鏡 その8)

2013-02-07 21:32:20 | ミニ連載:勝間光学機械さんの双眼鏡
HM8×40にSS7×50の接眼部を付け、6.3×40相当になった試作機で、個人的に勝間光学機械さんの双眼鏡のなかで最もプロポーションが良いと思っているHMシリーズを低倍率にした、外観もコンセプトもスマートな双眼鏡です。

もっとも弱点は有って、アイポイントがシビア。同じ接眼部を使った低倍率機、WP5.3×30RG-Dより、接眼に近づいた時に視野の隅にかげりが出やすく、元のままのゴム見口は裸眼で高さが足らない印象なので、

中にもう一つゴム見口を入れました。スグ外せる割りには落ちることもなく、高さも適正になりました。この方法以外にも色々試していて、先達の真似をして、実体顕微鏡用のボーヤフィットという目当てを試したりしましたが、いまひとつでしたので、今は一二三機に嵌っています。

取りあえず、接眼部が私にジャストフィットするようになり、出来るだけいろんな情景を観るようにしていますが、現時点での見え味をまとめると、明るく、ヌケが良く、良像範囲もかなり広くて、30mm機を凌駕しています。着色もほぼ無く、色収差も充分に少ないのですが、極端な条件下ではWP6×30SB-Dほど極少ではありません。低倍のメリットを充分に享受できながら、40mmの対物口径のおかげで、星見にも使えて、非常に多用途です。最短合焦距離は30mm機には劣り、被写界深度も口径分劣ります。実視野では計算上8°くらいになるそうですが、8.5°のWP6×30SB-Dとほぼ変わらない範囲が見えます。薄暮でも、WP6×30SB-Dより、顕著に明るいです。WP6×30SB-Dもクリアな視界で暗さを感じることの少ない双眼鏡なのですが、口径差は効いてますし、その明るさのおかげで、コントラストにも差が出ます。

続く。

料理のコツ

2013-02-06 21:58:30 | 脱線して底抜け
私が人から教わって、なるほどと思い、実践している事柄に料理のコツがあります。
曰く、食べる人を思い、もてなす気持ちで、つくること。
例えば、お弁当などでも、焼き物、揚げ物、煮物等々、料理の種類に関係なく、弁当箱に詰める際、据わり(見映え)が良いよう、一手間かけることです。卵焼きなら、斜めの切り口が綺麗に並ぶよう、見えない下側を切りそろえる、揚げ物は、茶色っぽい塊になってしまわないよう、幾分かでも端を切り落として中身を見せる、など。シチュー系は、スパイスやハーブの一部を、皿に盛ってから、僅かにかけ、ベシャメルソースなどで、模様を描き、香りと見た目を引き立てる。魚の尾頭付きを焼くときはしっぽが焼けすぎないよう、アルミホイルを巻く、なども然り。素っ気ない釜揚げうどんなどでも、薬味の彩りと盛りつけに気を配り、飾り切りした茹で野菜などを添えることで、豊かな気持ちで食べることが出来ます。僅かな工夫で、食べる人(自分含む)の気持ちをより盛り上げ、楽しんで食べてもらえるような気配りが、良い材料や味付けや、調理法などと同じかそれ以上に大事なのだと云うことです。
家人の一人が遅くなり、後から食べないといけないようなときは、賑やかな大皿の料理であっても、そのまま残すのではなく、別の小さめの皿に盛り直し、量が少なくなって寂しくなったのを、付け合わせやトッピングなどを追加することで、補う。そのような、折角つくった料理を、より喜んでもらいたい気持ちのありようが大事なコツだということです。
残さずキレイにたいらげてもらえるのは、嬉しいモノなのです。

レンズペン

2013-02-05 23:56:06 | 写真機 画像


昔から、いつもカバンのスミっこに入っているレンズペンです。
コーティングされた光学ガラスのクリーニングに使う道具で、写真用品としては安価な部類ですが、効果は確かな製品です。
もともと、光学レンズは「拭かない」のが基本らしいのですが、指紋や、睫毛の脂など、どうしても拭かないと取れない汚れが付いてしまったとき、ホントは以前紹介したシルボン紙系統のクリーニングペーパーと、エタノール系統のクリーニング液を使って、跡が残らないように拭き上げます。ただ、その作業は結構煩雑で、まず手指の汚れや脂を洗浄し、ブロワーでゴミを飛ばし、うっすらと液を浸ませた紙でおおまかに汚れを取り、たっぷりと液を浸ませた紙で汚れを取り続け、最後はレンズを中心部へ渦巻き状に撫でるようにぬぐって、蒸発した液の跡が残らなくなるまで繰り返す、という作業になります。当然紙は最低でも5~6枚は使い、汚れと拭き上げ具合を確認できるライトなども必要です。カメラの場合、汚れるのは主にフィルターなので、そこまで丁寧にせず、マイクロファイバークロスだけで済ましてしまう事もありますし、ヒトによっては、レンズの前玉でもツバを付けて磨いてしまうこともあります(頑固な脂汚れは意外と唾液の方がよく落ちる)。レンズペンは、先端の凹レンズ形状のチップにセーム皮を貼り、そこにマイクロカーボンパウダーを含ませてある製品で、まず後端のブラシで埃を払い、チップに含まれたパウダーで汚れを吸着するように磨くという仕組みらしくて、結構綺麗になります。パウダーが目に入る恐れがあるので、接眼部には使わないように書いてますが、気にせず拭いてます。先端のキャップ、チップは交換式で、ずっと古いレンズペンに替え芯(?)を更新して使ってきたのですが、とうとう流通経路からはなくなったようです。フィルターやアイピース、前玉、双眼鏡などにも使えるので、手持ちの替えが無くなったら、後継の製品を買うでしょうが、ミラーと後玉はコレで拭こうとは思いません。

SS10×50SK-Dの最大の特徴を生かす (勝間光学機械さんの双眼鏡 その7)

2013-02-04 23:09:14 | ミニ連載:勝間光学機械さんの双眼鏡
手持ち観望のお話しです。
以前に、Nikonスピノザ10X25のブレを少なくする方法として、接眼部にアイレリーフ分指をはみ出させて持ち、眼窩や額にその指を押し当てて安定させたり、ストラップの長さを調整して後頭部に回し、そのテンションも利用して、頭部と双眼鏡を一体にして安定させていると書きました。
ただ、軽量なダハなら上記の方法は使えますが、大きめで重いポロには、あまり向いていません。星空観望では天頂を見上げることも多く、脇の締まらない体勢では、ブレやすくなるため、一脚やグリップをビノホルダー下に付けて、少なくとも片腕の脇を締めたまま眺める方法で星見しています。
しかし、この方法も双眼鏡の上下動にはあまり適していません、一脚ないしはグリップの保持角度と、双眼鏡の俯角を容易に変えるような工夫、もしくは補助グリップそのものの角度を変えないと双眼鏡の光軸と視軸を適正に保てないからです。
慣れてしまえばという要素もあるのですが、首というヒンジに対して補助保持具がトレースしないという構造は変えられません。ツノ型などのアイポイントにきっちり合った見口も補助にはなりますが、常に視軸と一緒に動く前頭部で保持するようグリップを上に付けてみました。

前頭部の丸みにグリップを沿わせて、重みを分散、ブレを吸収させようという目論みで、これが見事にアタリました。水平から垂直方向に近いところまで、手を軽く添えているだけで、防振双眼鏡とまではいきませんが細かなブレはほぼ解消しました。

今までにさんざんこの双眼鏡の見え味については書いてきましたので以下は、SS10×50SK-Dのスペックです。

●倍率 10×
●対物レンズ有効径 50mm
●対物レンズコート マルチコート
●接眼レンズコート マルチコート
●プリズムコート マルチコート
●プリズム材質 BAK4
●アイレリーフ 18mm
●実視界 6.5°
●1000mでの視野 114m
●射出瞳径 5mm
●明るさ 25
●高さ 171mm
●最大幅 193mm
●重量 950g
●カラー カーキ/グリーン

付属品
専用ケース・ストラップ・レインガード・レンズクロス・取扱説明書・品質保証書(5年間保証)

話はガラリと豹変しますが、柔道やレスリングを本格的にやったヒトは一様に猪首でやたらと首が強靭です。仰向けに寝て、肩を床にピタッと付けたまま、アゴが自分の胸に着くくらい頭を上げる姿勢、首上げ、と呼んでましたが、この姿勢を30分以上続けることができます。ブリッジもそうですが、コレが出来ないと、投げられたり、倒されたりしたとき、後頭部を強打したり、むち打ちになったりします。このように首が強靭なヒトなら、1~2kgもある大口径ポロでも、問題なく支えられそうですが、やはり軽いに越したことはありません。10X50の双眼鏡となると、材質がプラのものはともかく、本格的な双眼鏡なら、最新のスワロビジョン10×50でさえ、ダハでマグネシウム合金製、オープンヒンジという仕様でも998gと、SS10×50より重いのです。持ちやすさでブレにくくはなっていますが、微細なブレは残りますので、今回の方法に分があります。
SS10×50は、50mmという口径のポロで、頑強そのものの構造でありながら、極めてスマートで、しかも、比較的軽量です。

低倍率の良さを知り、その極みとも云うべき勝間光学機械さんの双眼鏡に興味を持った私ですが、星見という世界の趣向では、口径と倍率がモノを言います。それに対する、SS10×50という回答は極めて対費用効果が高いものです。手持ち観望で、より以上を目指すなら、N社やF社の6~7万円級、高価で重い防振双眼鏡、10万越えの国産高性能ダハ機、あるいはもっともっと高額な海外御三家の高性能機など、とんがった趣味性の世界になっていきます。確かに、奥深い世界で魅力的ではあるのですが、この軽量なSS10×50より、手軽であるはずがないのです。また、天の川が見えるような、条件のよい観望でも、SS10×50は、十二分に星空の美しさを堪能できる確かな性能も併せ持っています。

増殖

2013-02-03 21:04:20 | 脱線して底抜け
手許にある双眼鏡・望遠鏡の類がとうとう20台を超えました。

思い起こせば最初に増殖させたのが、プラモデル。市内の模型屋を電話帳で総ざらえするように絶版キットを探し回った時代にかなり膨大な数になり、とうとう田舎の納戸にまで保管するようになったのは黒歴史です。

釣り用のルアーも、釣行の度に増え続け、ミノープラグ(魚の形)だけでも、数百個以上、パソコン台の横に無造作に突っ込んであったケースだけでも、この状態です。



懐中電灯・ヘッドランプも3桁を突破してますし、どうも、増殖するのが習い性のようだと、今さらながら、嘆息します。
それでも、書籍だけは、増え続けるとその重さ故に保管しきれないので、もっぱら図書館だよりにしようと固く決意しており、なんとかなってはいます。
いまノートパソコンに繋いでるハードディスクもそろそろ一杯になってるので、新しいのを見繕わないといけません。

悩みも増え続けているようです。

承前-低倍率の意義と極み WP5.3×30RG-D (勝間光学機械さんの双眼鏡 その6)

2013-02-02 20:09:01 | ミニ連載:勝間光学機械さんの双眼鏡
やっとWP5.3×30RG-Dのお話しになるのですが、WP6x30SB-Dなどの従来の勝間光学機械さんの30mm口径のシリーズは、8倍機を除いて、アイレリーフが15mmと眼鏡をお使いの方には、眼鏡と干渉する微妙な仕様でした。
アイレリーフの大きいハイアイポイント接眼部が全て良い点ばかりとは限りませんが、折り返しゴム見口やスライド見口で調整すれば、眼鏡のあるなしに拘わらず使えますので、ハイアイポイントであることを売りにする機種も多いのです。
WP5.3×30RG-Dは、30mm機にもハイアイポイントをということで、SS7x50の焦点距離の長い(≒アイレリーフも大きい)接眼部を移植して試作された機種です。
もともと評価の高い対物・接眼の組み合わせなので、WP6×30SB-Dとの詳細比較を最初の写真のような状態で行いました。
ステーの双眼鏡固定側はコルクなので、厳密な並行軸ではないですが、覗き比べには充分です。この2機種に限ったことでは有りませんが、双眼鏡を固定して覗くと、瞳の位置がずれたときの歪曲の出方がよく分かります。特に勝間光学さんの双眼鏡は、どの製品も優れた解像感があるため、瞳が適切な位置にあるときとそうでないときの歪曲の差が分かりやすい傾向があります。よく光軸が調整され光学的にきちんと追い込んであるともいえますが、同時に瞳の位置にシビアであるとも云えます。普段手持ちで使っていると、無意識に適正位置に構えるため気になりませんが、三脚で固定して見る場合にアングルユニットやビノホルダーにこだわるのは、双眼鏡の視軸と目線の軸を常に適正な位置に保ちやすくするためです。ちなみに、光学的設計の新しい高性能ダハ機は、割と瞳の位置に寛容なものが多く、私の双眼鏡の中では、ツァイスポケット8×20が、瞳の位置による歪曲が最も少ない傾向です。
まず、WP5.3×30の視界は広いです、単純比較で実視界6×30の8.5°に対し、5.3×30の視界は9.5°、1°の差ですが、明らかな差です。因みに公称実視界10°のNikon遊とは0.5°以上に差があるように見えます(ナゼ?)。
写真のステーを横(水平)にして、2台の双眼鏡を縦に並べ、右目で5.3×30の視界、左目で6×30の視界を見るように間隔を調整すると、光軸はほぼ合っているので、片側ずつを覗いて双眼で見る事が出来ます。対象に目を凝らすと、若干の倍率の差は脳内で補正されて、一つの像に重なって見えるようになります。つまり脳の視覚野が、僅かにずれた光軸を合わせるばかりか、画像の大きさまで調整して、両眼視の視界を創り出します。不完全なリンク機構しかなく、視力という性能さえ異なる場合のある二つの眼球を上手く使える脳の視覚能力です。
ここで面白いのは、片方ずつ覗いてたときには、双方とも見掛け視野がほぼ一緒だったのに、対象にきちんと結像した両眼視、つまり、5.3×30の視界が拡大されて認識されている状態では、見掛け視界の視野円も拡大されてしまい、明らかに二重の視野円になるということ。ヒトの視覚には、ズーム機能があることをあらためて認識します。
低倍率双眼鏡の優位性は、ここにも原因があって、確かに比較すれば、高い倍率の機種との画像の大きさの差異は明らかに分かるのですが、低倍率機だけを覗いていれば、画像の大きさというか、視覚で認識する大きさというのは、常に脳内で補完されているのです。もっとも高解像の視界でないと、鈍く眠い画像になるので、低倍率だから良いワケではありません。また、視覚能力には個人差もあります。



対物のコーティングは、若干6×30よりも薄い目の反射、接眼はやや5.3×30のの方が眼幅を狭くでき、ヒラメ顔の幼児でなくとも充分使えそうな50mm以下、最大は75mm程度開きますので、ヒラメ顔の大人でも大丈夫そうです。



接眼部以外でも、異なる点はあって、プリズムがモノコート、サイズも違い、反射面の遮光板もありません。

肝心の見え方なのですが、6×30よりも明るく、手ブレも更に少なく、充分な解像度です。ただ、僅かに黄色っぽい着色があり、プリズムのコーティングに起因するのかもしれません。良像範囲は充分に広く、一見6×30よりもずっと広い感じです。よくよく見ると、6×30は視野の7~8割くらいから急に像質の低下が始まり、最周辺部では周辺減光も伴う感じなのに対し、5.3×30の視界は6割くらいからごく僅かに像質低下が始まり、徐々に周辺へと進み、8~9割から、より急に低下するが減光はさほど無い、という感じです。実視野で見比べると、6×30の視野のほぼ全てが5.3×30の視界では良像(◎~○)の範囲で、その外側に像質の落ちる(△)範囲があるような印象です。
最短合焦距離は5.3×30が明らかに1m以上短く、3mほど、室内でも何とか使えます。あまり双眼鏡に慣れてない人に覗いて貰いましたが、使いやすい、見やすい、コンサートに持っていったらよく見えそう、けど、重いし、かさばる、といった感想でした。広く明るい視界は、まさにコンサートなどに最適です。たとえ安定しなくても重さを解消する細い一脚でもあれば、ブレは極端に少ない双眼鏡ですから、長時間の観劇にも充分でしょう。ポップなパステルカラーのラバー外装に包まれたWP5.3×30Rが、キラキラにデコられて、コンサートで使われていたりしたら、おそらくニンマリしちゃいます。

低倍率の意義と極み(勝間光学機械さんの双眼鏡 その5)

2013-02-01 12:13:01 | ミニ連載:勝間光学機械さんの双眼鏡
高倍率や、ズーム双眼鏡の売り上げは、一般向け販売では割と多くを占めているそうです。
逆に、高すぎる倍率とズームの暗さ、ブレまくる不安定さ、視界の狭さ、画質の悪さ、が、初見以降の、双眼鏡への興味を盛り立てることなく、終わってしまっている様にも思います。
双眼鏡、望遠鏡が必要な状況というのは、見たい対象が遠く離れていてよく見えず、もっと良く見たいという欲求がある、ということだと思います。
実際の使用状況を仮定してみましょう。
例えばサッカースタジアムで、後ろの席でなく、一番前で見たいなら、ピッチまで50m離れた席でなく、10mの席からでいいと考えます。
コンサートなどでは、比較的大きめの横浜アリーナ(楕円形、114×78m)を例に挙げますが

どのパターンでも、ステージ中央~最前列、同じく最後列までの距離は、最大でも、5倍程度であることが分かります。
限られた例ですが、つまりは、スポーツ観戦や観劇に於いて、最前列の迫真の観覧のために必要な倍数はさほど大きくなく、昔からオペラグラスが2~4倍程度でしかないことと合致します。

もちろん双眼鏡に要求される機能は上記のような観覧だけでなく、様々な状況が考えられます。
倍率の大きさにより、対象に近づいて拡大したように見える、一方的な距離感の喪失は、双眼鏡の醍醐味です。
ただ、双眼鏡を使って何かを見て楽しむ場合、暗さ、ブレやすさ、視界の狭さ、は、共通した阻害要因です。

故に、特に、最初の一台、双眼鏡の愉しさを知る為には、なるべく倍率の高くない機種を選ぶのが良策です。
当ブログに於いても、当初からバランスのとれた低倍率(6倍)で、低コストでも性能の出しやすいポロ機をお勧めし、KOWAのYF30-6ヒノデの6×30-B26×21S-1、ビクセンのジョイフル、最近の新作では、同じくビクセンのアトレックライト BR6×30WP、などが話題に上っています。
もし、ダハで、ということであれば、いにしえのツァイス スキッパー6×42は、別格として、低価格でもそこそこ使えるビクセンのアリーナ H6x21WP、本格的なフォレスタHR6×32などがあります。
フォレスタはビクセンブランドはディスコンですが、中央自動車道諏訪湖サービスエリア下り線の売店でビクセンの同等品が製造元のライト光機のブランドで往時より8kほど安い20kで売ってます(2012/11)、そして、マグネシウムボディで軽量化され、フェーズコート、プリズムに64層?高反射コートを施した改良版が、英国のオプティクロンより、Traveller BGA MG 6×32として販売され、日本ではヒノデさんの製品も販売されている”双眼鏡倶楽部”さんで買えます。価格も旧フォレスタ(フェーズコート無し、アルミ反射コート、アルミボディ)とさほど変わらないので、かなりお値打ち感があり、ためらいなく携帯できる小型ダハ6倍では、ほぼ決定版のように思います。


閑話休題、勝間光学機械さんの双眼鏡は実用本位で作られた道具です。
そのなかで、以前にお伝えしたように、WW2米軍のM3双眼鏡に起源を持つWP6×30シリーズは、変わらぬ倍率6倍、口径30mmのIF(インディビジュアルフォーカス)仕様で、レンズコーティング等、新しい技術が優れている分野では、それを取り入れて、日本の光学機器産業のメッカ、板橋にて、充実した品質で作られています。
その6×30の派生として作られた、WP5.3×30RG-D という試作機が手もとにあります。一望して、並々ならぬ見え、の双眼鏡です。
次回、WP6×30SB-DとWP5.3×30RG-Dを比較紹介させて頂きたいと思います。