斎藤秀俊の眼

科学技術分野と水難救助、あるいは社会全般に関する様々な事象を一個人の眼で吟味していきます。

またはじまりました

2011年07月04日 23時44分02秒 | 水難・ういてまて
本学の広報を担当しています。テレビで、重要なことを十分吟味せずに解説している人をみると、大丈夫かなあ、と心配になります。広報・報道は神経使いますし、怖いです。

今日の夜の全国番組で、ある方が水の事故から命を守るための実技をプールで解説していました。
①ズボンのすそを縛って、それを肩にのせてプールに飛び込んでいた。これはどのようなときに使う実技でしょうか。
②陸から投げられたペットボトルをプールに立ったまま受けていました。これはどのような状況で使用する実技でしょうか。
③ポリ袋に泡を入れて空気をため、そのポリ袋を浮き具に使うと解説していました。足のつかないところで誰もができる実技でしょうか。

自称専門家の皆さんに問います。
あなた方が解説したことを子どもたちが「最後の最後の手段」に使ったとき、大切な生命を殺してしまうことはないですか?
あなた方は命を左右する実技を扱っている意識はありますか?
きちんと実証していますか?誰もができて、生還出来る方向に向かうことができることをたくさんの人の協力を得てしっかり確認していますか?
そして、あなたがたがそうやってテレビで実技を披露し、それを信じる人が数百万から一千万人いるということを認識していますか?
ほんとうに生還させたいと日頃から検証、研究を重ねて、その成果を非番の日に子どもたちに教えている全国の消防職員・海上保安官・医療従事者など、数千人があなたの姿をテレビで見てます。その人々からの非難を受ける準備はありますか?

私の見解を述べます。
①ズボンのすそを縛って、それを肩にのせてプールに飛び込んで、まさか素手で溺れている人の救助に向かうのでしょうか。それは絶対にだめです。日頃から訓練されていない素人に素手での救助は絶対に無理。
②ペットボトル救助は、背浮きができる人に補助的に浮き具を提供するために行われます。背浮きで安定しているなら、その安定な姿勢を崩すような体勢でペットボトルを受け取るなどありえません。
③ポリ袋に空気を入れるような余計なことは教えない。背浮きで安定して浮くことができたら、その姿勢を崩さずにプロによる救助を待つべきです。日本赤十字社大阪府支部の職員の方が同じ番組内で、明確に分かりやすく解説されていた通りです。

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大学院入試

2011年07月04日 07時26分19秒 | 長岡技術科学大学の広報
本日は、大学院入試です。
外部からも多くの受験生が大学院入学を目指し受験に来ます。
今日の長岡技術科学大学周辺も曇り空でとくになんら支障のない環境にあります。
時間に余裕をもって会場に入ってください。

なお、本日は平日のため学内の冷房の使用が制限される可能性が大です。
節度を保った涼しい格好で試験に臨んでください。

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明石のため池事故

2011年07月04日 06時59分25秒 | 水難・ういてまて
小学生3人が亡くなった事故について。
新聞報道によれば、ウエイディング中の沈水による溺死のようです。
このようなときには、回復動作により浮きあがり、背浮きで救助を待つようにします。

http://hts.nagaokaut.ac.jp/survival/river.htm

ただし、靴やサンダルをはいていないと、確実に背浮きに移れるかどうかは本人の能力に依存することになります。新聞報道によれば、今回の事故現場には陸上にサンダルが脱いであったということから、背浮きに移行するのがむずかしかったかもしれません。

靴やサンダルが水死から生還する最後の命綱であること、これだけでも知っていれば生還のチャンスが多少増えたかもしれません。知っていたかで、助かる命があります。



なお、素人による入水して素手での救助は絶対に無理です。救助に向かった大人が死に、要救助の子どもが助かった例がこの最近かなり目立ちます。
①訓練されていない人が飛び込んで泳いで救助した例を美化しない。
②水難を見たら聞いたら、119番。(海上では118番)
③テレビなどで、泳いで救助に行けなどと、絶対に言ってはいけない。


着衣泳のホームページ http://hts.nagaokaut.ac.jp/survival/surindex.htm
水難学会 http://wr.umin.jp/

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