「奇跡を生む病院」(2)
昨年の夏、腸ねん転で入院した時のエピソードです。
私の向かいのベッドに尿管結石らしい年配の患者が運ばれてきた。
3~4人の看護師が付き添っているらしく、カーテン越しに彼女たちの会話と病人の呻き声が途切れ途切れに聞こえてきた。
「体温は?」
「39度9分です」
「処置を急がないと・・・」
突然、看護師たちの声のトーンだ上がって、アニメ動画の森の妖精のような声色になった。
~♪ドレミ~、♬ミミミ~
「ミヤモトさ~ん、聞こえていますか?」
「針を入れますよ~、我慢してね~」
森の妖精になった看護師たちは、『回転木馬』のメロディーで合唱を始めた。
ぐるぐる回る回転木馬、ぐるぐる回る王子様。幼い王子は木馬に乗って森の中を駆けていた。ピョンと兎が跳び出した。ヒヒーン、木馬は前足跳ね上げた。
ビューンと小石が飛んできて、王子の脇腹貫いた。
「痛い!」
森のニンフが、駆けつけた。
「治療は任せてください、王子様」
「処置をしますよ、王子様」
「あらら、血管が見えないわ」
「右がダメなら、左でどう?」
「やっぱりダメだわ」
「どれれ、わたしがやってみる」
「痛いですよ、我慢しててね、王子様」
「泣いてもいいけど、王子様、絶対に動かないでね」
「イタイッ!」
どすの効いたソプラノが、「ダメ!動かないで‼ さあみんな、しっかり押さえていてちょうだい」
「うまくいったわ。これでOKよ」
「もうすぐ楽になりますからね、ミヤモトさん」
「いもり池」と山頂雲隠れの「妙高山」
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