阿波池田「禿頭」の酔っ払って候(元福寿司2代目)

ブログ開始9年目、75歳になった。家族、師、友にブログ通じ少しでも恩返しが出来れば幸いなり。

大石 邦子様を知る 3

2014年07月15日 23時22分50秒 | 日記
娘が自殺を図った時の親の気持ちは、経験者でないと分からない。

涙を流しながら、娘を抱きしめ、あんなに素直な娘だったのに

どうしたんだ、小さい時の記憶がよみがえります、保育園に車での送り迎え、

小学校の運動会で一緒に食べたお弁当、高校の部活、短大の部活の応援に

出かけた日々、就職試験に合格したときの、涙を流して報告してくれた

娘が・・・

親はどんなに手がかかろうが、お金がいろうが、娘がいるだけで

しあわせをもらえた、しかし、子供もは分からないのかも知れない。


ーーーーー


大石:  さっきの歌に、

 

     物投げて喚き疲れてひとりなり

       空し涙の耳に入りくる

 

そういう時期というのがありましてね。桜の季節だったですけども、やはりもうどうしようもなくなって、
あらん限りの大声で泣け叫び、物投げつけて大暴れしたことがあるんですよ。病院というのは窓一つ隔てて
、外と内側というのは、天と地程もの違いです。当時お花見の時季で、会津には鶴ケ城という城がありまして
、当時は私の寝ているところまで、桜並木が続いて、で、お花見の時季はぼんぼりが灯って、みんな枕の外は、
お花見見物というふうな長閑な足音なんです。私はもう自分で歩くことは出来ないなあと分かっていた時期でしたからね。
ほんとに今までで最大の大暴れですね。物を投げて、看護婦さんが吹っ飛んで来たんですよ。
その看護婦さん目がけてものを投げて、看護婦さんは私から投げつけられるものを避けるようにして、
よって来ましたけどね。もう何も言わないで私をジッと見つめるだけですね。私は何で怒らないんだ。
怒られること分かっているんです。自分のしていること、良いことだと思っていませんから。でも、怒らないんですよ。
そのうちに、私は投げるものが無くなって、根も尽きちゃって、涙も。そうしたら、看護婦さんは徐に床に膝をつくと、
私の頭を抱き寄せるようにして、涙を拭いてくれたんですよ。怒られるなあと思ったですよ。そうしたら、看護婦さんは、
「ちょっとだけ桜を見て来ようか」と言ったんですよ。これはもう全く意外な言葉。私はその時、お花見の人達の足音で
自分のヒステリーが誘発されたなんて、今だから考えられるんです。その時、そういうことは思っていませんからね。
看護婦さんはそう言って、私を負んぶして、真夜中の細い階段を下りて行ってくれたんですね。私は未だにその看護婦さんの
背中の温かさを忘れないですよ。あの時、「こんなことするなら、この病院に居て貰わなくたって、あんた一人ぐらい居なくたって、
この病院、少しも困りません」とか言われても仕方がない状況なんですね。また、そういうことを言われている人も沢山あったんですよ。
でも、その時に、そう言わずに母親が子供を抱き寄せるように私を抱き寄せて、涙を拭いて、母親が背負うように、私を背負って、
夜の階段を下りて行ってくれた看護婦さんの背中を胸に感じながら、私、その時、何であんなことしたんだろうと。
あんなことしたって、どうしょうもないんだ。耐える以外ないんだ。看護婦さんに謝ろう。と思ったですね。
そしてああ、この人は二十代で二度と治ることのない傷害を負って生きていかなくちゃならない
、私のこの心のやり場のなさとか、悲しみとか、切なさを、この人は何も言わないけども、
一緒に背負ってくれたんだという思いがして、私、あの看護婦さんに出会っていなかったら、恐らく人生は変わっていたと思います。

 

金光:  もうその看護婦さんの場合はよく気持が分かって下さっていたんですね。

 

大石:  そうですね。やはりその人の心の目の位置まで下りて来てくれていた人だったんだと思いますね。

 

金光:  その時期にそんなことをしても、「あなた無駄よ」とか、そんなことを言われたって受け付けられる状況じゃないわけですね。

 

大石:  そうですね。どうしていいか分からないものを、ありのままに抱き留めてくれた。受け入れて貰えたということは、
非常に、逆に反省させられると言うか、

 

金光:  それは甘えてはいけないということは、もう承知の上でやっているわけですから。ただ、そこのところで、
そういう優しさがなくて、「あんた、ダメでしょう」と言われたって、それは本人にとってはなんか残酷な、
酷いことを言われているような感じに受け取られるだけでしょうね。

 

大石:  そうですね。拒否されたと思うでしょうね

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See you tomorrow!
コメント
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