阿部ブログ

日々思うこと

原子力発電所における電源喪失

2011年06月06日 | 日記

2010年6月17日、福島第一原子力発電所二号機において電源喪失事故が発生し、燃料棒の頭が露出する直前まで進行した。
原子力発電所における電源喪失が、重大な事故を招く事は311以降、国民が広く知る事となったが、この電源喪失事故によりメルトダウン寸前まで至った極めて重大な事故の発生だったが、この事故が広く知られる事はなかった。

6月17日の電源喪失直後、直ちに発電機と原子炉が緊急停止。だが、原子炉内部での沸騰が続き、内部の水が急速に失われていった。結果としてメルトダウンは免れたものの事故の発端となった電源喪失事故の原因は特定されず、その後も、すっ呆けて東京電力は二号機の運転を継続したまま311を向かえた。
この事故を311以降に知った時、やっぱり原子力は止めたほうが良いと考えるようになった。尤も、核廃棄物の問題もあるが、電源喪失を防ぐのは早々簡単ではなさそうだ。常に想定外と言うか人知を超える事態が発生するものだから。人間の浅知恵をあざ笑うかのように~

原子力炉が緊急停止すると発電機も停止し発電しなくなる。ここで非常用発電機が始動する事となるが、今回の福島原発の核事故のように非常用電源が確保できないと、発電所ながら電気が無く、外部から電力を供給しなくてはならない。常に冷やし続ける必要がある固体核燃料棒を冷却するには、当然ながら電気が必要だから。即ち既存の送電網から原子力発電所に電力を供給する事となる。311のように出来なければ、終局メルトダウンに至る。

電源喪失事故は、アメリカでも発生している。
アラバマ州で最大級のトルネードが発生し、同州北部にあるブラウンズフェリー原発の原子炉3基が電源喪失する事故が発生している。(ちなみにここの原子炉はGEのマークⅠ型沸騰水型炉)
 外部電源喪失事故は、原子力発電所をトルネードが襲ったからではない。この発電所に電力を供給する送電線が破壊されたのだ。それもブラウンズフェリー原発から十数kmも離れた所の送電線が破壊されたのであるが、外部電源が喪失した直後にバックアップのディーゼル発電機が正常に作動し、事なきを得たが、太陽からの強烈な磁気風や電磁パルス攻撃などにより大規模に電力網が機能不全、若しくは破壊された場合には、多数の原子力発電所への送電が停止する。

正常にディーゼル発電機が作動すれば良いが、そうでない場合には最悪311の福島のようになるのは避けがたい、また電力網で一番の脆弱性を指摘されている高圧発電機が各所で破壊された場合には、その復旧は数ヶ月、数年を要すると考えられるので、非常用ディーゼルもいつまで稼動し続けるのか。。。
 
 巨大な原子力発電所の建設と運用に関しては、海外も含めた複雑な利権が絡んでいるだろうから、そうそう原発全部を廃炉にすると言う議論にはならないだろうし、住民と国民が如何に反対しようが、今作りかけの原発の建設は続くと見ている。
 でも、これまた人知を超える想定外が起きて本当に止めようとなるような気がしてしょうがない~今度は関西電力内だろうか。
「もんじゅ」は大丈夫か?

今、シェール・ガス革命による三次元探査、水平掘削、水圧破砕などの技術開発が実を結び、強固な砂岩から抽出するタイト・オイルが取り出せるようになっている。この資源量が半端じゃない。在来型石油の埋蔵量1兆3000億バーレルの5倍以上に達すると予測されており、しかも生産コストも1バレル当たり30ドル以下で、今後さらにコストは着実に下がるだろう。それと開発する掘削深度が1000メートルから3000メートルであり1ヶ月程度で掘削出来るので、早期に生産を開始する事が出来る。海底油田の場合には、5年の月日と100億円以上の投資が必要で、これもメキシコ湾での事故を見ても高いリスクを背負い込んでの事業となる。
 
シェール・ガスやタイト・オイルなどの非在来型石油系資源の莫大な埋蔵量が確認される中、一旦核事故が起こると国家の存亡にも直結する、狭い日本において原子力発電を今後も続ける事が本当に最善なのか? エネルギー転換するなら今だろう。