阿部ブログ

日々思うこと

超正統派ユダヤ教ラビ・オバディア・ヨセフ師がお隠れになりました

2013年10月08日 | 雑感
イスラエルには、チーフ・ラビと称されるユダヤ教ラビが存在する。それも二派。即ちアシュケナジ(ヨーロッパ系)と、スファラディ(東方系)。チーフ・ラビは、150人のラビから選挙で選ばれ任期は10年。
今のチーフ・ラビは、アシュケナジは、ラビ・ダビッド・ラウ。スファラディは、ラビ・イツハク・ヨセフである。この二人のチーフ・ラビは、何処かの国の議員と同じ二世のラビで、ラビ・ダビッド・ラウは、前アシュケナジ・チーフラビのラビ・イスラエル・ラウの息子で、ラビ・イツハク・ヨセフは、前スファラディ・チーフラビ・オバディア・ヨセフの息子である。

今日10月7日午後、前スファラディ・チーフラビ・オバディア・ヨセフ師が、心不全・腎不全で意識不明のまま、エルサレム市内の病院で死亡した。93歳。
オバディア・ヨセフ師は、1973年にチーフ・ラビに53歳で就任。1984年には、ユダヤ教正統シャス党を設立し、政界における正統ユダヤの地位を確立した立役者。シャス党は、現政権に、副首相を含む閣僚4人を送り込み、イスラエルの政策立案に大きな影響力を行使出来る立ち位置にあり、かつ、超正統派ユダヤ教徒に強い影響力を持っている。シャス党は、現在、党首が2人いる2頭体制で、ヨセフ氏亡き後、シャス党の分裂の可能性を含め今後の動向が注目される。

生前のオバディア・ヨセフ師は、過激な発言で物議を醸していた。パレスチナ自治政府のアッバス議長やパレスチナ人は「地球上から消えるべきだ」とか、「神は、パレスチナ人たちに疫病をもたらすべきだ」とか、「ホロコーストで殺害されたユダヤ人は、罪人の生まれ変わりだったから罰を受けた」とか、ハリケーン・カテリーナに被災したアメリカに対し「ガザからユダヤ人を追い出した罰だ」などなど、話題に事欠かない宗教指導者だった。
 
オバディア・ヨセフ師の葬儀の為、エルサレムを中心とする交通網は麻痺状態に陥っており、全イスラエルから葬儀に参集する人たちは85万人以上でイスラエル建国史上最大の葬儀で混乱状態だが、こんな時にテロが起きないか、心配している。
お願いだから、死者に鞭打つような企ては、止めて欲しい。超正統派ユダヤ教徒は、所謂、ユダヤ原理主義者で、イスラム原理主義者と同じ。このタイミングでのテロなどは、本当に中東戦争に繋がりかねないと深く懸念する。

過去ブログ「旧約の民の食事規定 ~カシュルート~