阿部ブログ

日々思うこと

中国の高齢者人口と流動人口と留守児童問題

2016年11月27日 | 雑感
新華社(10月27日)が、「北京・天津・河北養老フォーラム」が開催されたと報じており、全国老齢工作委員会弁公室の李志宏・副主任の発言を掲載している。李副主任は、2020年の失能老人(介護老人で自分で自立した生活できない高齢者)は4200万人で、80歳以上の高齢者は2900万人と推定。中国も日本同様に急速に高齢化が進みつつあり、要介護や空巣(独居の高齢者)が深刻で、貧弱な中国の高齢福祉サービスを圧迫し、機能不全に陥りつつあるようだ。
しかしながら、これをビジネスチャンスと捉える事もできる。日本貿易振興機構(JETRO)が『日本シルバー産業企業リスト』を公表しており、日本企業の関心の高さを示している良い報告書である。現時点で中国のシルバー市場は3兆元と云われており。2050年には5兆元に達すると予測されている。今後、日本企業が中国のシルバー産業に進出するのではないか。

若年層にも様々な問題がある。中国政府の民政部によると、中国の農村部で両親が都市部に出稼ぎに出て家に残されている16歳未満の子供は、902万人に達しているとしている。民生部は、留守児童と呼んでいるが、そのうち9割以上が中国の中部と西部に集中している。902万人のうち、祖父母と一緒にいる子供は805万人で、親類縁者や知人に預けられている子供は30万人。問題は、田舎に残っている親が保護者としての能力がない場合で、この留守児童は31万人。そして36万人は本当の意味での留守児童で、誰からも面倒も受けていないという。これは深刻な問題だ。民生部が把握していない留守児童もいるだろうから。
中国国務院新聞弁公室は、農村部の貧困人口は、5575万人に減っているとしており、貧困率は5.7%に低下と発表している。国連が作成した
『2015年ミレニアム開発目標報告』は、中国の極度な貧困状態にある人口の割合は1990年の61%から2002年の30%へと低下し半減しているとしているが、基礎となる中国政府の統計が信用に足らないので、正確な実態は不明だ。

この留守児童の問題は、中国の莫大な流動人口にある。
国家衛生・計画出産委員会は、「2016年中国流動人口発展報告」を発表し、2015年の流動人口が2億4700万に達したと発表している。これは中国の総人口のなんと18%である。国民6人のうち1人は流動人口となる。流動人口も若年層で増加している。新世代(1980年以降に生まれた人)の増加が著しく、全体の48.8%を占めており、1990年代生まれは11.2%。つまり、若年層の流動人口は、51.1%と圧倒的だ。