阿部ブログ

日々思うこと

マクフェイトの「The New Rules of war」を読了

2019年11月02日 | 雑感
ショーン・マクフェイトの「The New Rules of war : Victory in the Age of Durable Disorder」が興味深い。読後の印象は、米軍版「ハイブリッド戦略」の薦めである。
マクフェイトは、米第82空挺師団の出身で、現在は、国防大学とジョージタウン大学で教授を務めている。退役後に、大学に入り経済学等を学んだようだ。

『The New Rules of War』では、航空母艦や軟なF35戦闘機などの高価な兵器は削減せよとしている。賛成だ。現代戦においては、政治戦略、プロパガンダ、サイバー攻撃、国際的な法律規範などを武器として新たな土俵での軍事活動、諜報活動を行えと言っている。例えば、中国の南シナ海進出を抑止したいのなら、中国に裏口であるウイグル自治区への多面的な工作を行うことが有益で、少数民族の反乱活動を支援すれば中国共産党の関心は重点を移すだろう・・・。

また、ロシアのクリミア侵攻では、特殊部隊、FSBの諜報工作部隊やサイバー戦などを駆使した隠密活動が有効であったことを思い起こせと言っている。そして彼は、アフリカでの傭兵経験から、戦争は真に政治的でありテクノロジーでは解決できないとしている。正論だ。

軍事力よりも明白な証拠があるのに否定する「もっともらしい否認」が有効だといっている。その通りで、日本もプロパガンダ組織を持つべきだ。福島香織さんが翻訳した「中国の大プロバガンダ~恐るべき「大外宣」の実態」が参考になる。