阿部ブログ

日々思うこと

政府CIOの遠藤紘一氏の活躍に期待~オープンスタンダードな公共システムへの移行~

2014年02月21日 | 雑感
リコー出身の遠藤紘一氏が、内閣情報通信政策監に就任したのは、昨年の6月。それ以前は、内閣官房・政府情報化統括責任者と言う名称で、2012年8月に就任している。所謂、日本初の「政府CIO」だ。
遠藤氏は、政府CIOで中央省庁のシステム、特に社会保険庁システムや国税庁のKSKシステムなどにも過去から現在に至るまで鋭くメスをいれて頂き、官僚とITベンダーの癒着の膿をさらけ出して欲しい。

さて、政府CIOとしては、地方自治体のシステムについても視野に入っており、全国1742の自治体に、情報システムも1742が存在するという、極めつけの無駄についても言及しつつあり、豊臣秀吉ではないが、是非とも自治体システムの『全国統一』を成し遂げて頂きたいと切望する。
財政的に極めて厳しい地方自治体のシステムに寄生しているのは、NTTデータ、富士通、NEC、日立製作所など公共部隊だ。各社固有のシステム方式に自治体システム全体を自縄自縛させてしまう「ベンダー・ロックイン」状態にして、安くて良い他社製品があっても「仮にそのシステムを導入しても当社のシステムと接続は出来ませんよ~トラブルになっても当社は知りませんよ~」と自治体の担当者に囁くと、世間知らずの役人は、調達を諦めてしまう。そもそも自治体の担当者とITベンダーは癒着しているパターンが多いし、意識の高い首長がベンダーロックインを排除しようとしても、信用できる専門家もいない中、困難を極めるのが現実だ。
このベンダーロックインからの脱却の成功事例と言えるのは、札幌市だろう。札幌市は市長の直轄部隊に、独立行政法人 産業技術総合研究所の和泉憲明主任研究員をリーダーに選任し、100%とは言えないものの、日本ユニシスのベンダーロックインを解除する事とに成功している。またシステム開発は分割発注されて、札幌市内のシステム開発会社が受注しており、地域の活性化にも寄与している。

遠藤氏は、政府CIOとしては当然の発言ながら、自治体システムのクラウド化で業務の標準化に賛意を示している。
特に自治体のシステム共同化を進める事が重要として、神奈川県下の14市町村がシステム共同化を行い経費を47億円から32億円に削減した事例を挙げている。因みに神奈川県庁は、県内に政令指定都市が3つ(横浜、川崎、相模原)もあり、県庁としての仕事らしい仕事は殆ど無いのが実情~
神奈川県と異なり埼玉県では、システム共同化がまとまっていない。県内23町村のうち18町村は参加だが、残りの5町村は参加しないと言う。遠藤氏は、なぜ参加しないのかを聞きたいとも発言している。そうだ、是非とも聞いて欲しい。そして住民にも公開するべきだ。

地方自治体のシステムが自治体の数だけあると言うのは、日本の統治機構を表象する現象で、江戸時代の藩幕体制の残滓が残っている。悪いとは言わないが、自治体システムの統一化は是非とも行わなければならない。ここは自治体のシステム調達権限を停止して、抜本的にオープンスタンダードなアーキテクチャで再構築が必要である。つまり地方自治体の自由裁量権を一時的に剥奪して国家の意思を貫ぬく統治能力を再獲得する事が必要と考える。
最後に提案だが、自治体システムの全国統一を成し遂げた後は、法律の制定と言う立法行為と併せて、自治体が実務を行う上で即座にインストールして使えるアプリケーションも法律と一緒に配布するべきだ。立法(法律)とITの一体化が今後のトレンドとなるだろう。

過去ブログも参照~
社会保険庁のシステムとNTTデータにみる政府系システムの無駄~やはり全体最適化が避けて通れない~

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