阿部ブログ

日々思うこと

リチウム関連企業

2010年11月25日 | 日記
(1)SQM(Sociedad Quimica y Minera de Chile S.A.)
SQM社は、炭酸リチウム(Lithium carbonate)の生産能力は40,000㌧で世界最大で、シェア31%を誇る。2005年に水酸化リチウムの生産を6,000㌧/年の規模で開始し、2007年にはリチウム関連製品28,600トンを生産。2008年には42,000トンまで生産能力を高める計画。
SQM社の主要製品は肥料でリチウムではない。同社は肥料の世界シェア49%を占め、この他ヨウ素の生産の世界シェア33%を誇る。

(2)Chemetall Foote
Chemetall Foote社(本社:フランクフルト)は、1923年のMetallgesellschftによるリチウム生産が端緒となり、2004年にRockwwodグループ(米国)に買収され参加企業の1社となった。現在は同グループの Chemetall Group の Lithium Division(従業員2,829名)。リチウム部門は、炭酸リチウム、水酸化リチウム、金属リチウム等を生産しており、金属リチウムでは世界シェア50%を占め、炭酸リチウムでも30%のシェアを握る。
2007年の同社はアントファガスタ(Antofagasta)のアタカマ湖に23,000トンの生産施設と、米国ネバダのシルバーピーク(ラスベガス北方350km)に生産施設を持つ。同社の2008年のリチウム生産は、炭酸リチウム2,700㌧、水酸化リチウム4,000㌧規模で、生産される炭酸リチウムは米国、ドイツ、台湾の同社工場の原料として輸出されており、2008年~2009年には現在の生産能力を約20%増強する計画で、2020年には炭酸リチウム50,000㌧、水酸化リチウム15,000㌧に生産を拡大させる予定。

(3)FMC Lithium(USA 100%)
FMC社はノースカロライナに本社を置き、主として肥料、農薬、産業用化成品製造のメーカーで、ソーダ灰の生産では世界最大。
1986年にLithCoを買収しリチウム生産事業をスタートさせた。当初はスポジュメン(リチア輝石)からのリチウム生産だったが、アルゼンチン北部Sala de Hombre Muerto塩湖において、FMC社の子会社 Empresa Minera de Altiplano S.A が1998年から生産を行っている。生産能力は、炭酸リチウム12,000トン、塩酸リチウム5,500トン。2003年に塩酸リチウムの生産能力を7,250トンに増強している。2007年の炭酸リチウムの生産量は8,500トン程度にとどまっている。
Salar de Hombre Muerto鉱山は、アルゼンチンのCatmarca州北西部、Salta州との州境付近の標高4000mに位置するHombre de Muerto塩湖にあり、この塩湖から高濃度のリチウムを含むブラインを4台の大型ポンプでポンプアップし、吸着・蒸発させてリチウム塩を回収している。Empresa Minera de Altiplano S.AはSalta州に塩化リチウム精製プラントがある。

(4)Admiralty Resource
Admiralty Resource社は、Sala del Rincon (Salta Province)において冠水からリチウムを生産する施設を2008年より稼動させ、生産能力は炭酸リチウム10,000トン、水酸化リチウム4,000トン、塩酸リチウム3,000とされている。

(5)Talison Minerals(オーストラリア)
Talison Minerals社のGreenbushes鉱山は、リチウム鉱物(リシア輝石精鉱)の世界シェア60%を生産し、中国で精製される炭酸リチウム原料の2/3を供給している。2007年に親会社が Sons of Gwalia社からResource Capital Fund社に替わった。同社はパース南東250kmのGreenbushesに世界最大のタンタル鉱床、及びスポジュメン(リチア輝石)鉱床を所有する。スポジュメンの資源量は3,550㌧(Li2O : 3.31%)。

(6)Tantalum Mining(カナダ)
ベルニック湖(Bermic Lake,Manitoba)のリシア輝石鉱山で1986年から生産開始。

(7)Avalon Venture(カナダ)
オンタリオ州のKenora鉱山で葉長石鉱物から湿式抽出法でリチウムイオン電池向けリチウム回収技術を開発するベンチャー企業。

(8)GlobeStar Mining(カナダ)
同社は、ケベック州のMoblan近郊のペグマタイト(巨晶花崗岩)鉱床の試掘をしており、セラミック、ガラス向けのリシア輝石やその他の鉱物生産のフィージビリティ・スタディ(F/S)を実施中。

(9)Nordic Mining ASA(フィンランド)
同社は、国内の炭酸リチウム生産企業Keliber Oy社を買収し、2010年に炭酸リチウム6,000トンの生産を目指して、フィンランド西部のLantta市近郊でスポジュメン鉱床の開発Keliber Oyプロジェクトを進行中で、これが完成するとヨーロッパで最初の自社鉱山による炭酸リチウム生産施設となる。この鉱床はフィンランド地質調査所が計5,500mのボーリングを実施し、Measured 170万㌧(リチウム純分)、Indicated,Inferred 併せて295万㌧の埋蔵量が確認されている。
Keliber Oyプロジェクトでは年間4,000㌧の炭酸リチウムを、粉砕→磁選→摩鉱→浮選の後、湿式加圧浸出方式で生産し、副産物としてタンタルも生産する。

(10)中国企業
中国でのリチウム鉱石生産は1950年代半ばのKokotay鉱山からロシアへの精鉱輸出が最初で、その後1970年代後半までに20のリチウム化合物工場が操業するに至り、1980年代より塩湖の冠水探査を展開し、1990年代、青海省Qinghaiで塩化リチウムの生産を開始。
中国はオーストラリアに次いでリチア輝石から炭酸リチウムを生産する。また中国にとっての最大のリチウム資源はやはり冠水で、最近高いマンガンを含有する冠水からのリチウム抽出技術を完成させ、本格的な生産に入っている。

・Xinjuang Nonferrous Metals社(Mingyaum Jiangsu Province)は、国内産のリシア輝石とチリとオーストラリアから輸入した鉱石から炭酸リチウムを生産している。

・Tibet Lithium New Technology Development社は、2005年に西チベットのZabayu Salt Lake で5,000トンの炭酸リチウム生産を開始している。現在の生産能力は20,000トンに増強されていると推測されている。

・CITIC Guoan Lithium Science Technology社は、2007年 Taijinaier Salt Lake (Qinghai Province)において中国最大となる炭酸リチウム向上を稼動させた。

・Qinghai Salt Lake Industry Groupは、2008年にChahar Salt Lake(Qinghai Province)において、10,000トンの炭酸リチウム生産施設を建設し生産を開始。

・Sterling Groupは、中国最大のリチウム埋蔵量を誇る四川省の Jianjika鉱床の開発を計画。予定では当初生産47,300tpy精鉱量となる。


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